日本三大古湯に数えられる白浜温泉と、バラエティに富む温泉施設・温水プールを水着で楽しめる「クアハウス白浜」。ここは、『日本の渚百選』に選ばれた美しい白良浜ビーチまで徒歩5分の好立地にあり、夏は海水浴、冬は湯治や保養を目的に、ひっきりなしに人が訪れる健康型総合リゾート施設です。
「クアハウス白浜」は、閉塞感のある客室の浴室の刷新を目的に、旧館特別室のリニューアルを実施。三世代が一緒に宿泊できる機能的で情緒あふれるお部屋へと生まれ変わりました。
ご要望&解決
住友林業の施設リニューアルでは
このように解決しました
古さの目立つ旧館特別室のリニューアルにあたって、住友林業ホームテックが受けた要望は、「せっかくリニューアルするのなら、部屋のグレードを上げてほしい」というもの。もともと特別室は8人が泊まれる大きなお部屋。2~4人が宿泊できるスタンダードなお部屋と比べて稼働率の低さが課題だったといいます。
その特別室は、太平洋に面した白良浜を二方向から臨める抜群のロケーション。浴室からもその勇壮を大いに堪能できるはずが、それを切り取る腰窓はあまりに小さく、「暗く、景色も見えないので、閉ざされた空間のように感じました」と、担当は当時のことを振り返ります。そこで住友林業ホームテックは、「お風呂に入りたくなるお部屋」をコンセプトに、ご予算の大半を浴室に投入。既存の浴室を見晴らしの良い半露天風呂へとリニューアルすることで、お部屋のグレードを高め、単価アップを図るプランを提案しました。
リニューアルのポイント
「お風呂に入りたくなるお部屋」に向けて、まずは海に面した壁をはつり、大きな窓を確保。建具には折れ戸を用い、全開できるようにしました。そして、浴槽はヒノキと十和田石でできた趣ある製品をセレクト。壁には石材のタイルを合わせ、ムードある間接照明とともにグレード感ある雰囲気に仕上げています。
「クアハウス白浜には充実した大浴場が完備されていますが、お部屋のお風呂にも入ってみたいと思っていただけるよう、露天風呂のような開放的な浴室にしました。おじいちゃんとお孫さんが一緒に入浴するシーンをイメージし、洗い場も広く取っています。大きくなった窓からは、美しい白良浜と太平洋を眺めることができ、季節のよい時期は開け放って入浴いただくことで紀州の自然をいっそうお楽しみになれます」(担当者)
また、洗面脱衣所とお風呂の区切りにガラスを使用することで、水まわりが明るく広く見通せるようにしたほか、大人数部屋であることを加味し、2つの洗面ボウルを用意。お客様の使いやすさもしっかり考慮しています。
お部屋も、もちろん拡充を図っています。支配人様のオーダーは大きく二つ。一つは、3階特別室で使われている、「松島のシンボル、五大堂が彫られた見事な欄間をそのまま活かしてほしい」というもの。そこで、住友林業ホームテックは、欄間を既存のまま、ベッドルームと和室を区切るふすまの上で活用する一方、ベッドルーム側にはあえて壁を設け、ふすまを閉めたときに、しっかりと区切られた別の空間として機能することを意識しました。
「特別室は3世代でのご利用を想定しています。お子さんや、おじいちゃんおばあちゃんが早めに就寝したとしても、和室の声が気にならないよう配慮しました」(担当者)。
もう一つは、「部屋食ができる設えに」というもの。そこで、特別な和紙でつくられたふすま紙を採用し、室内をシンプルに見せながらも落ち着きと高級感を備えることで、紀州の海の幸、山の幸がテーブルに並んだとき、その彩りが引き立つようにしたほか、座卓から違和感のない位置にテレビを設置するなど、ご利用者様の過ごし方に思いを巡らせた空間構成を重視しています。
また、担当者は「当社からはワーケーションスペースの設置を提案しました」と話します。3階特別室は和室を洋のベッドルームへと変更したことから、布団の収納量も半減。そのため、二間あった押入れを一間にし、余ったスペースに一枚板を渡した作業スペースを造作しました。「これからの時流を考えると、ワークスペースはあるに越したことはありません。補助金の活用ができる(※当時)ことも後押しになりました」(担当者)
リニューアルの成果
老朽化に加え、特別室の稼働率の低さも課題にあった、クアハウス白浜。仮に稼働率はそのままでも、1部屋単価を上げられるのなら“稼げる部屋”になるはず、というのが支配人様の期待でした。『海の日』のリニューアルオープンに合わせ、一泊当たりの料金も平日はそれまでの2万円台から3万円台、休日は3万円台から4万円台へと値上げに踏み切ったものの、ふたを開けてみれば、リピーターのお客様をはじめ、非常に好評であり、それが呼び水となって稼働率も上昇しているといいます。
「支配人様からは、この2つの特別室だけで200万円の売り上げが上がったと伺っています。オープンから11月末までの5カ月足らずで、早くも良い結果が出たとお喜びの声を聞き、私たちも嬉しく思います」と、担当者は表情を緩めます。レジャー性を備えた年中お客様の絶えない施設でもあるため、営業を続けながら工事を実施できた点もまた大きく評価される事例となりました。
オーナー様からの声
8人が宿泊できる特別室の稼働率の低さが経営課題としてあり、それならば部屋のグレードを高め、一人あたりの単価アップを図ろうと、リニューアルを計画しました。しかし、その結果は稼働率向上と単価アップの両方に貢献することに。美しい白良浜をパノラマで眺望できる見晴らしのよさと、開放的で高級感ある半露天風呂は、早くも当ホテルの目玉です。宿泊されたお客様から評判を聞き、新たなお客様がお越しになるという良いサイクルも生まれています。