外壁は紫外線や風雨の影響で劣化が進みます。古くなると見た目が悪くなるだけでなく、雨水の侵入や内部構造の劣化につながります。ひび割れや色あせが発生したり、外壁を触った時に白い粉がつくような状態になったら再塗装が必要な時期です。
外壁をリフォームすることで、家の印象は大きく変わります。また、遮熱性能や断熱性能を高めることで、より暮らしやすい住まいになります。
最新のトレンドや各素材の特徴を参考に、外壁リフォームから暮らし方を変えてみませんか。
外壁の種類
外壁材は「モルタル」「窯業系サイディング」「金属系サイディング」が主流で、そのほかにタイルや木(焼杉など)を使用したものなどがあります。まずは我が家の外壁の種類を確認し、どのようなメンテナンスやリフォームが適しているか検討しましょう。
モルタル
セメントと砂、水を混ぜて練り上げたものを下地として壁に塗り、その上に塗材を吹き付けたり、コテなどで塗って仕上げたものです。1980年代まで主流でしたが、施工に手間がかかるため最近は少なくなっています。
- 耐用年数
- 約30年
- メンテナンスの目安・方法
- 10年程度:再塗装
25〜30年程度:再施工(張り替えも可能)
窯業系
サイディング
セメントに繊維質を混ぜ、板状に形成した外壁材です。現在では新築住宅の7~8割が窯業系サイディングを使用しています。
表面の加工で、レンガ風、木目調などさまざまなデザインがあり、耐久性や遮熱性を高めた製品など種類が豊富です。
- 耐用年数
- 約30年
- メンテナンスの目安・方法
- 10年程度:再塗装
25〜30年程度:再施工(張り替え)
金属系
サイディング
ガルバリウムやアルミニウムの鋼板を使用した外壁材です。
モルタルや窯業系サイディングに比べて軽量で建物への負担が少なく、耐震性や防水性が高い特徴があります。
- 耐用年数
- 約30年
- メンテナンスの目安・方法
- 10年程度:再塗装
25〜30年程度:再施工(張り替え)
外壁リフォームの費用相場
外壁リフォームの方法は大きく2つに分かれます。「塗り替え」 「張り替え」があり、左から順に価格が高額になります。
外壁リフォーム工事には足場が必要になります。屋根も一緒にリフォームするとコストメリットが生まれます。
参考費用
150万円~
※延べ床面積40坪程度の場合
費用変動の要素
少額
高額
- 塗り替え
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現状の外壁を高圧洗浄し、ひび割れなどを補修してから、高性能塗料を下塗り、中塗り、上塗りします。
- 張り替え
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既存の外壁を剥がして、下地からやり直して新たな外壁材を取り付ける方法です。モルタルなど、外壁材を選ぶことができます。
外壁リフォームの時期と方法
モルタルやサイディングの場合、10〜15年程度で再塗装が必要になります。以下のようなサインが出たら早めに再塗装しましょう。美しさがよみがえるだけでなく、亀裂などからの浸水を防ぎ、大切な家を守ることにつながります。
再塗装の目安は10年。こんな症状が出たら再塗装
以下のような症状が出た場合は、まず高圧洗浄で表面をきれいにし、ひび割れやコーキング部を補修してから、高性能塗料による下塗り、中塗り、上塗りを行います。
25〜30年経ったら外壁材の張り替えを検討
築25〜30年以上の住まいは、外壁材の張り替えの検討をお勧めします。10年目、20年目で再塗装をされた場合も、30年以上経ったら外壁材の張り替えの検討をお勧めします。
モルタルやサイディング壁の場合、新しいサイディングの重ね張りまたは張り替えをされるケースが多いです。
下地が腐食していたり、断熱や構造的な補強が必要な場合は、いったん外壁を剥がして下地をやり直してから、新たな外壁材への張り替えが必要です。
また、下地からやり直す場合は、モルタルやタイル張りなど外壁材を変更することも可能です。
現状の状態を確認して、今後のメンテナンス費用を含めたコストを考えた上で検討しましょう。
外壁リフォーム素材の最新性能・トレンド
再塗装時の塗料や、張り替えをするサイディングは、昔に比べて機能が進化し、耐用年数も向上しています。また、カラーやデザインも豊富です。新築時の外観に近づけるか、それともイメージを一新するか、お好みに合わせてご検討ください。
塗料耐久性、遮熱性、美観を高める塗装材
汚れがつきにくかったり、太陽光による温度上昇を抑えたりなど、塗料の機能は進化しています。カラーも豊富なので住まいの見た目を大きく変えることもできます。
サイディングの場合、主に「シリコン系」「遮熱系」「フッ素系」の塗料があり、モルタルの場合はさらに素材感がある「骨材系」の塗料も選択できます。
タイル調やレンガ調サイディングなど、サイディングの柄に凸凹模様がある場合は、2色の塗料で仕上げる場合もあります。
塗料の種類によって耐用年数が異なり、基本的に耐用年数が高いものほど価格が上がります。それぞれの特徴をご紹介します。
耐久性が高い:シリコン系塗料耐用年数10〜15年
種類が豊富でスタンダードな塗料です。お手頃価格で耐久性も高く、壁面を長期間美しく維持できます。
人体に影響する可能性がある藻やカビの発生を抑える効果もあります。
遮熱性が高い:遮熱系塗料耐用年数10〜15年
太陽光による室内温度の上昇を抑えます。冷房の負荷を削減し、省エネ・節電効果が期待できます。外壁の温度上昇も抑えるため外壁自体が長持ちします。
汚れにくく耐久性が高い:フッ素系塗料耐用年数15〜20年
塗装の寿命が長く、耐久性に優れた塗料です。また汚れが付着しにくく、汚れても雨水で汚れを落とす性質を持つため洗浄効果が高く、きれいな状態を長期間維持できます。
シリコン系・遮熱系・フッ素系塗料のカラー(一例)
デザイン性が高い:骨材系塗料耐用年数15〜20年
骨材系塗料は、貝殻などの自然素材を生かした風合いと美観に優れた塗料です。
住友林業オリジナルの「シーサンドコート」は貝殻やサンゴ、マイカ(雲母)などを使用。貝殻やサンゴは粒の形や大きさが異なり、表情豊かな仕上がりになり、マイカは日に当たるとキラキラと輝き、高級感が漂います。
防水性、耐久性にも優れ、大切な住まいを長期間美しく保ちます。
骨材系塗料のカラー(一例)
外壁材きれいが長く続き色柄豊富な窯業系サイディング
セルフクリーニングできれいが長続き
最近の窯業系サイディングは、表面塗装の親水性の保護膜によって、表面についた汚れを雨水で浮かせて落ちやすくなっており、以前に比べて洗浄効果が高く、きれいな状態を長期間維持できます。
さらに光触媒のパワーで汚れの付着力を弱める製品など、セルフクリーニング機能が充実。汚れや色あせを長期間防げるので、10年程度で必要だった再塗装工事までの期間を大幅に延ばすことができ、ランニングコストを抑えられます。
ケイミューの「光セラ」の例
光触媒パワーの「分解力」「超親水性」で、汚れの付着力を弱め、強力に洗い流します。
豊富な色柄で外観のイメージチェンジが可能
窯業系サイディングはデザインが豊富で、シンプルなものから、レンガやタイル、木目調などさまざまなタイプがあります。
最近は凹凸の厚みがあり、陰影のある表情が楽しめるものが人気です。
ケイミューの「光セラ」の例
外壁材シンプルで耐久性が高い金属系サイディング
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最近の金属系サイディングは、耐食性に優れたガルバリウム鋼板を使用し、断熱材が組み込まれているものが多いため、断熱性に優れ省エネ効果があります。また、窯業系サイディングやモルタルの外壁に比べて軽量なため、建物の躯体にかかる負荷が少なく、地震の影響をを受けにくくなります。他の外壁材で起こるひび割れや凍害などの心配がありません。
デザインは、金属の質感を生かしたスッキリしたタイプや、自然素材の質感を表現したものなどがあります。シンプルかつ重厚感がある仕上がりを求める方にお勧めです。
外壁材旧家などで人気の焼杉
住友林業のリフォームでは、木の外壁材もご用意しています。
焼杉は国産杉の表面を焼いたもので、自然の木目の美しさが味わい深い外観を演出します。
モルタルやサイディングの外壁をリフォームで焼杉にして、これまでの外観の印象を大きく変えることもできます。
杉を焼くことで防虫・防腐効果を有し、耐久性が高まります。木材は細胞内に空気の層を形成しているため、熱伝導率が低く、断熱効果も期待できます。また、モルタルやサイディングに比べて重量が軽いため、躯体にかかる負担も少ないのが特徴です。
外壁リフォームのポイント
定期的な点検早めのチェックで外壁を長持ちさせる
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雨や風に耐える外壁は、年月を経るとどうしても劣化してきますが、材質や住宅の環境によってその時期や程度はさまざまです。
ひび割れなどが発生しても、それが建物に影響を与えるものなのか判断するのは難しいでしょう。また、見た目に問題がなくても、下地や壁の内側がダメージを負っているケースもあります。定期的に専門家のチェックを受け、早めに対応することが大切です。弊社までお気軽にご相談ください。
タイミング屋根リフォームや太陽光発電の設置も検討を
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外壁再塗装の際には、破風板や軒裏の再塗装もご検討ください。
また、外壁リフォーム工事では足場を組むので、屋根のリフォームや太陽光発電設備の設置を同時に実施することで、個別に足場を組む費用や時間を節約できます。
太陽光発電を導入する場合は、エネルギーを有効に活用できる蓄電池の設置も併せてご検討ください。
リフォームのヒント部分的な外壁リフォームも可能
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玄関の位置や窓の大きさを変更するリフォームの際に、外壁の一部の改修が必要になる場合があります。その際、建物全体ではなく、例えば1階部分のみや、1面のみの外壁を張り替えるなど、部分的なリフォームも可能です。
その場合、他の外壁部分の色・デザインに合わせたものにするか、あるいはアクセントとしてテイストが大きく異なるものにリニューアルするか、好みに合わせたリフォームが可能です。
リフォームのヒント外壁の色は自由に選べない?
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自治体によって、街の建物の色や高さ、外観等を規制する景観条例が施行されています。すべての住宅が条例の対象になるわけではありませんが、ご自身の自治体の条例を確認しておきましょう。
また、条例で問題がなくとも、あまりに派手な壁の色だと近隣住民とのトラブルの元にもなりかねません。事前の説明やあいさつが必要になるかもしれません。
住友林業のリフォームなら工事の品質管理を徹底
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例えば、外壁の再塗装の場合、下処理をしっかりするかどうかで、仕上がりやその後の耐久性が大きく変わります。
住友林業のリフォームでは、事前の洗浄はもちろん、古い目地の取り除きやひび割れの補修などをしっかりと行ってから下地処理を実施します。それらの作業を工事担当がチェックするなど品質管理を徹底しています。
また、下塗り・中塗り・上塗りに必要な塗料の量を施工面積から算出し、事前に既定量の希釈材を混ぜた状態で現場に搬送。最適な分量で塗装することで、塗材の性能や美しさを最高の状態で仕上げます。
リフォーム工事の流れ
外壁塗装と屋根塗装を同時に行った場合の流れをご紹介します。
工事にかかる日数約14日
工事に要する日数や施工内容については、リフォーム内容により変わる場合があります。
1日〜
3日目外壁塗装/足場設置〜高圧洗浄
4日〜
6日目外壁塗装/下地処理
7日〜
10日目外壁塗装/塗装
完了
11日・
12日目屋根塗装/高圧洗浄〜塗装
13日・
14日目養生、片づけ
完了
外壁リフォームで利用できる補助金制度
外壁の断熱性能を向上させることで、自治体の補助金・助成金が活用できる場合があります。適用できる制度については、お気軽にご確認ください。
各自治体の補助金 | 自治体によっては、外壁や屋根、窓の断熱工事についての補助金制度があります。 |
※それぞれに要件・条件があります。
外壁リフォームした方の感想
実際に外壁リフォームした方から、こんな声をいただいています。
リフォームのきっかけ
母屋に住んでいた両親が亡くなったことをきっかけに、生活の場を母屋に移すため、全面リフォームを選択。
「外観はサッシの交換に併せて、南の壁面は漆喰塗り、北側はガルバリウム張りにして化粧直しした。古民家の良さが蘇った。家に来てくれる人がみな、「落ち着く」と言ってくれる」
リフォームのきっかけ
震災で内壁が落ち、屋根も瓦が落ちてしまった。屋根は先に直したが、壁はそのままになっていたので、全面リフォームをすることにした。
「外壁は地震対策として軽くするためにサイディングを勧められた。安っぽくなるのでは、と心配だったが、黒と白のツートンにしたことでモダンな感じに仕上がって良かった」
リフォームのきっかけ
いずれは住み継ぐことを考えていた築100年の母屋に手を入れて快適に暮らせるようにしたいと、リフォームに踏み切った。
「旧家の風情を残しつつスッキリと一新するため、また耐震性を高めるためにガルバリウム鋼板を外壁と屋根に採用。メンテナンスも楽になった。打ち合わせ当初、やりたいことをなかなか表現できずにいたときに、資料やイラスト、立体的な図面で可視化してくれる細やかさが良かった」
外壁リフォーム事例
外壁の再塗装で見違えるほどきれいな外観に
築34年が経ち、外観の汚れが目立っていました。そこで、外壁を貝殻やサンゴが入った天然素材のシーサンドコート仕上げに再塗装。見違えるほど明るくきれいになりました。
外壁の一新で美しさと耐久性を向上
築20年が経ち、今の生活に合わせて水まわりやリビングのリフォームを決意。外壁も老朽化して見栄えが悪くなったのでリフォームで一新。新築のような美しさと耐久性がよみがえりました。