旧家の意匠
歴史ある家には、かつての職人たちの技が生きています。現代の科学では計り知れない、人の手にしかできない精密な技術や、日本独自の芸術的なデザインが随所に見られます。伝統的なものが失われつつある現代において、旧家・古民家をリフォームして住み継ぐということは、文化を次世代に伝承するということでもあるのです。
梁とは、建物の水平方向に架けられ、屋根や床の荷重を柱に伝える材のこと。梁の端に柱がある「大梁」と、柱に直接つながっていない「小梁」とに大別できるが、架け方によってさまざまな呼び名がある。旧家・古民家の梁は太くて逞しいが、実は梁は、その固さで家を支えているのではなく、曲がろうとする力と曲がるまいとする力のバランスで支えているのである。旧家・古民家の梁には曲がり木を使ったものが多く、意匠としても美しい。
建具は、建物の開口部に設けられる開閉機能を持つ仕切り。出入のほか、通風、採光、遮音、防犯などさまざまな用途に応じて、デザインも多岐にわたっている。細かい細工は日本人の真骨頂。単に機能を果たすだけではなく、意匠にも凝ったものが多い。旧家・古民家のリフォームの際には、断熱の観点から既存の建具をサッシに交換することもあるが、その美しさは捨てるに忍びないため、ほかの場所に移設して再利用されることが多い。
天井では、日本家屋ならではの意匠の数々が、旧家・古民家特有の趣を生み出している。旧家・古民家には地元の木が使われていることが多く、天井の梁や木組みはその土地の歴史を感じるものとして、かけがえのないものである。その素材をどう残すか、どう活かすか、それは旧家・古民家リフォームの重要なテーマのひとつと言える。
欄間に施される透かし彫りは、隣室とを完全に隔てないための知恵でもある。とは言え、美しさには目を見張るものがある。後世に伝えていきたい日本の技術と美意識の象徴と言えるだろう。
屋根は、雨や雪、強風や日差し、気温の変化、粉塵などから家を守る役割を担っている。屋根のデザインは、その土地の気候風土によってさまざま。素材も、茅、藁、瓦などに分かれる。また、軒下の梁をはじめ、あまり見えないところに、強度とは関係ないにもかかわらず意匠を施したものが多く、屋根自体のフォルムと共に、ぜひ残したいもののひとつだ。リフォームの際、歴史を刻んだ瓦の一部を外装や内装の一部に用いる人もいる。
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