Vol.04『20代の家主』大阪府岸和田市K様邸 築約90年
趣ある岸和田の街並み。その旧家に迎え入れてくれたのは若い女性だった。
昔ながらの風情あふれる街並みに自然にとけ込む、美しい外観。
12メートルほどもある間口が醸し出す、堂々とした風格。築90年を超えるというその旧家に迎えてくれたのは、20代の若い女性だった。
「間口が広いので、目立つでしょう。街の風情を守るためにも古く美しいまま残したかったんです」。
「もういちど、旧家らしさを取り戻したかったんです」
この旧家。実は、今回のリフォーム前は長い年月の中で幾度となく改築が重ねられていたのだそうだ。
「家の至る所が現代の設備や仕様に変えられていて、この家の元々の形が分からなくなっていたんです。」そこで、もういちど旧家らしい姿に再生することを決心したのだとか。
理想は「京の町家」。日本の伝統と品格が感じられる家にしたかった。
「“昭和30年代”や“大正ロマン”など部屋ごとにテーマがあるんです」と楽しそうに案内してくれた。
しかし、それらの建具はどのように集めたのか。
「この家に残されていた建具や、代々受け継がれてきた建具を使いました。それに、壊される予定の旧家から、この家のものと同じガラスを見つけ、利用することにしたんです。」
「季節ごとに建具を変えようと思うんです」
「庭をのぞむ渡り廊下の風情がとてもいいんです」と、うれしそうに語るK様。お母様は、雰囲気のある内玄関がお気に入りなのだとか。
「今考えているのは、季節ごとに建具を変えること。
家の中にいながら四季を感じられると素敵ですね」。
その語り口から、この家を愛し、生活のひとつひとつを心から楽しんでいる様子が伝わってきた。
大阪府岸和田市 K様邸のリフォームデータ
所在地 | 大阪府岸和田市 |
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築後年数 | 約90年 |
総工事床面積 | 220.24㎡ |
工事期間 | 6ヶ月 |
歴史を刻んだ古い家を、現代に美しく再生。
思い入れのある建具はできるだけ残しながら、生活に関わる部分はコンパクトにして、暮らしやすく快適に。
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外観(リフォーム前)
外観(リフォーム後)
日本庭園と、伝統的な建築様式の旧家。その佇まいはまるで旅館のよう。
洋室
大正ロマン風に、天井、照明、窓ガラス、襖の取っ手をコーディネート。
和室
めずらしい模様のすりガラスや、格子等、既存のものを活かした。
玄関
既存の建具のほか、複数の家の建具をうまく組み合わせて配置。
渡り廊下
庭をのぞむ風情のある渡り廊下。