Vol.02『5代目の決断』茨城県つくば市 S様邸 築約120年
茨城県つくば市。築120年になるその旧家は悠然とたたずんでいた。
木と漆喰のコントラスト。
鮮やかな外観がひときわ目をひくその旧家は、もともとは養蚕用の造りの家だったのだそうだ。
「この家を建ててから私で5代目。築120年になるんです」リフォームでよみがえったその姿は、とてもそんなに年を重ねているとは思えない。
堂々としたその風貌にしばらく見とれてしまった。
「リフォームを決断するのに何年もかかりました」
「母がお嫁に来たときにお風呂を増設したそうです。土間は、父の手で板張りしたと聞きました」しかし、そうしたリフォームでは限界があり、暮らしにくくなってきたのだそうだ。「どのようにリフォームすれば良いのか、5年以上悩んでいました」しかし、リフォーム会社に相談してみると、その悩みはどんどん解決に向かっていったのだと言う。
「床の下から100年以上前の丸太が現れたんです」ご主人は誇らしげに語った。
S様邸はもともと風土にあった地元の木を使っており丈夫だったため、耐震補強も今ある基礎を強化するにとどめ、傾きも無理に直さなかったのだと言う。
「工事中に思わず感動する出来事がありました」床の下から大引に使用している古い丸太が現れたのだとか。
100年以上前に置かれたそのままの姿が今目の前にある、そう思うとなんとも言えない気持ちになったそうだ。
「前からある柱や梁まで生まれ変わったみたいです」
「旅館みたい、とよく言われます」
玄関に入ると目に飛び込んでくる古い梁や柱は以前のまま残したものなのに、リフォームしてからほめられるようになったのだそうだ。
広く明るく生まれ変わったダイニングでは料理が得意なご主人が友人をもてなすこともあるのだとか。
次は誰を招こうか、楽しそうなご主人にこちらまで楽しい気分になった。
茨城県つくば市 S様邸のリフォームデータ
所在地 | 茨城県つくば市 |
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築後年数 | 約120年 |
総工事床面積 | 212.86㎡ |
工事期間 | 6ヶ月 |
風と光を招き入れて心地よさを増した古民家。
広い玄関をあえて残し、一間もの廊下を東西に配置。
玄関の格式をあげるとともに広い家の中にも風や光が通りやすくした。
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玄関(リフォーム前)
玄関(リフォーム後)
玄関の広さは活かしながら明るく生まれ変わった。新旧の素材が調和するように、 床にはウォルナットを使い、壁は漆喰、新設した柱と梁には塗装を施した。
廊下
通風、採光、動線の軸になる広々とした廊下。 床材は無垢のウォルナット。
リビング・ダイニング(リフォーム前)
リビング・ダイニング(リフォーム後)
大家のバランスを保っている構造材などは残しつつ、開口部をデザイン。暖かく、明るくなったダイニングで過ごす時間が増えたそうだ。
柱
ご主人が子供の頃に背の高さを刻んだ後が残っている玄関の大黒柱。