「改築」「改修」「改装」「増築」の違い 我が家のリフォームはどれ?
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リフォームやリノベーションに関する、さまざまな用語がありますが、その違いについてよく知っているという人は、少ないのではないでしょうか。何気なく使っている言葉でも、意味の違いがトラブルを生むことも考えられます。
本コラムでは、リフォームやリノベーションにまつわる用語の意味や違いを解説します。
「改築」「改修」「改装」「修繕」「増築」の違い
リフォームには下記グラフのように「設備の改善・変更」「内装の模様替え」をはじめ、バリアフリー化や間取りの変更など、さまざまな内容があります。改築や改修などの意味や違いは、この「どこを、どうリフォームするか」が大きく関係しています。
国土交通省「令和元年度 住宅市場動向調査報告書|P.235 7.リフォーム住宅に関する結果 (2) リフォームの内容」より転載
文字のひとつひとつに注目してみると、大きく2つの内容に分類されます。
「改」の文字は「改良」「改善」の意味を持ち、既設の状態よりもさらに性能を大きく向上させ、より住み良い状態に改良しグレードアップさせる工事を意味します。一方、「修」の文字には「修理」の意味があり、老朽化した箇所や欠損した部分を直し、元の性能を取り戻す工事を、それぞれ表しています。
改築
外壁や屋根など、建物の一部を壊して新しく張り替えたり、間取りを変更したりするなどの大規模なリフォームです。ただし、建物の床面積はそのままで、建物の形状も大きく変更しないものを指します。全面リフォームやフルリフォーム、スケルトンリフォームも「改築」に含まれます。
改修
老朽化や破損してしまった箇所を修理し、さらに高機能の設備などに取り替え、性能を向上させるものです。住まいの問題点を改善させる目的のため「改善リフォーム」と呼ばれることもあります。浴室やキッチンなどの部分リフォームや、バリアフリー化、断熱リフォームなどの事例が多く見られます。
改装
外壁や屋根、住宅内部のクロスや床など、内外装材を新しくするものです。構造部の解体や間取りの変更はともなわず、表層面だけを新しいものに張り替え、建物の見た目を一新させるリフォームです。外壁や屋根工事では、必要に応じて防水などの下地工事や、シーリング補修なども同時に行います。
修繕
老朽化などにより壊れたり欠損したりした部分を、元の性能に戻すものです。災害などで建物の一部が壊れた場合などにも行われます。
民家リフォームでは改築や改修と同時に行われることも多いため、修繕工事という名称はあまりなじみがありませんが、マンションやビルの外壁メンテナンスなどでは「大規模修繕工事」として、足場を組んで行われる姿がよく見られます。
増築
床面積が増えるリフォームです。二世帯住宅化など、住宅の規模を大きくしたい場合に行います。増築と同時に、既存の住宅の改築なども行う場合は「増改築工事」となることもあります。「10㎡以上の増築」「準防火地域、防火地域での増築」のどちらかに当てはまる場合は、建築確認申請が必要となります。
▼それぞれの工事個所と工事内容
|
床面積 |
間取り |
主な工事個所 |
工事内容 |
---|---|---|---|---|
改築 |
そのまま |
変更する |
建物全体 |
大規模なリフォーム |
改修 |
そのまま |
そのまま |
老朽化した箇所 |
従前より高性能なものにリフォーム |
改装 |
そのまま |
そのまま |
外壁、屋根、内装 |
内外装リフォーム |
修繕 |
そのまま |
そのまま |
壊れた箇所 |
従前と同等に回復させるリフォーム |
増築 |
増える |
変更する |
平屋を2階建てに 離れの新設など |
居室や浴室の増築、サンルームの設置など |
改築の具体的事例
静岡県 H邸(木造 築29年/リフォーム面積182㎡/費用2,800万円)
リフォーム事例:静岡県 H邸
改築では外壁や内壁を撤去して行う工事も多いため、耐震補強工事などもスムーズに行えます。また設備のサイズやデザインに合わせて間取りや内装を決めることができるので、リフォームの中では特にプランの自由度が高いでしょう。
リフォームのなかでは比較的費用が高く、工期も長いものになりますが、改築を実施することで新築に近いグレードの住まいを実現できます。中古物件の購入を検討している世帯にもおすすめです。
▼工事内容
- 地震対策
- 断熱工事
- 間取り変更
- 設備機器交換
改修の具体的事例
福岡県 T邸(木造 築22年/費用600万円)
リフォーム事例:福岡県 T邸
従来よりも機能的なものにリフォームする改修では、バリアフリー工事も多く含まれます。さらに断熱工事や断熱効果のある設備機器の交換にすることで、冬場の発生が懸念される浴室でのヒートショックの防止に効果があるほか、省エネ化にもつながります。
▼工事内容
- 断熱工事
- バリアフリー
- 設備機器交換
- 省エネ
- 内装劣化による修繕
改装の具体的事例
岡山県 M邸(木造 築20年/リフォーム面積169㎡/費用200万円)
リフォーム事例:岡山県 M邸
外壁に目立ったキズや欠損がなくても、細かいヒビやコーキングなどの劣化により、ヒビ部分やサッシとの境界部から雨漏りを起こしたりすることもあります。外装は建物を守ってくれる鎧(よろい)のようなものでもあり、非常に重要な役割を持っているのです。
外壁材の張替えだけでなく、下地処理や防水工事、コーキングの補修など、必要な処理をしっかりと判断し施工する技術が必要となります。
▼工事内容
- 外壁メンテナンス
修繕の具体的事例
兵庫県 M邸(木造 築24年/リフォーム面積150.91㎡/費用200万円)
リフォーム事例:兵庫県 M邸
水回りの設備機器の寿命は約20年であるため、築24年の住宅では設備の多くが取り替えしてもよい時期を迎えています。実際には30年以上問題なく使える製品がほとんどですが、水漏れなどの大きなトラブルが発生する前に修繕を行うことで、老朽化が住宅に及ぼす被害を最小限に抑えることにもつながります。
修繕とはいえ、現在の設備機器は20年前と比べて「消費電力や消費水量を抑える」「掃除がしやすい」「家族全員が使いやすい」という具合に進化しているため、必然的に新築時よりも性能が向上します。
▼工事内容
- 内装劣化による修繕
- 設備機器交換
増築の具体的事例
愛知県 N邸(木造 築9年/リフォーム面積62㎡/費用1,900万円)
リフォーム事例:愛知県 N邸
既存の住まいが手狭になったと感じても、築年数がまだ浅い、住宅自体に問題点がないという場合は、リフォームの必要性がいまは無いと判断するケースも少なくないでしょう。お子さんがいる家庭では、いずれそれぞれの個室が必要になったり、収納物が増えてきたりすることも予測できますが、実際にリフォームを行うタイミングの判断は難しいものです。
早期にリフォームを行うメリットは、必要な部分の工事だけを行うので工期が短く済むことや、入居したままの工事も可能な場合があるという点です。築年数が古いほど必要なリフォームも多くなってしまうため、工期や工費、仮住まいなど、かかる費用や手間も増えてしまいます。また、増築に合わせて造り付けの棚や遊具などの木工事を行うことで、家族の生活や住まいに合わせた、より良い環境を実現できるのです。
▼工事内容
- LDKの一部増築
どのタイミングで、どれを実施するべきか
リフォームを行うタイミングは、それぞれどういうときでしょう。ここでは、その判断軸や時期の目安について解説します。
改築のタイミング
耐震リフォーム、間取り変更リフォームなど、大規模な工事を必要とする場合には、「改築」を実施すると良いでしょう。一般的には新築よりも工事費が安く、そのぶんの予算を広い敷地や庭などに回せるため、あえて新築ではなく中古物件のリフォームを選択する世帯も増えています。
改修のタイミング
築30~40年以上の住宅では、断熱材が未施工であったり、高齢者にとって危険な造りであったりするケースも少なくありません。また、これらの住宅では、電力や水道といったエネルギー消費も近年施工された住宅と比べると大きい場合がほとんどです。断熱材の施工、ユニットバスへの取り替え、手すりの設置などは、リフォームでは優先して実施したい項目です。
改修では、住宅の高性能化を目的としているため、省エネ化やバリアフリー化などではリフォーム補助金の対象となります。リフォームが必要と感じた段階で、まずは高性能化を目指す「改修」を考えてみると良いでしょう。
改装のタイミング
外装の劣化は雨漏りなどの内部の問題に加えて、見た目の悪さなども目立ちやすいものです。改装は建物の表面だけを一新させるものですが、当然、下地や防水などの処理も行いますので、構造部分を守るための工事でもあります。
また、内装では壁紙の貼り替えなどでお部屋の雰囲気を変えるだけでなく、和室をフローリングに変更するなど、生活に合わせた機能へ変更したい場合にもおすすめです。
修繕のタイミング
高性能な設備に変える必要がない箇所や、こだわらなくてもいい部分の補修は、従来の水準まで状態を回復させる、修繕工事が良いでしょう。従来どおりに回復させるといっても、劣化がひどい場合には設備の取り換えや、壁の張替えなどを行います。
無駄な費用を抑えつつ、劣化や破損の問題を解決し、新築時と同様の品質を取り戻すことが可能です。
増築のタイミング
家族が増えるなどをきっかけにリフォームを行う場合、既存の住宅ではスペースが足りず、間取り計画がうまくいかないないケースが考えられます。特に二世帯同居などで浴室やキッチンを世帯で別々にする場合、一世帯分の住宅よりも広い床面積を必要とします。
この場合、建築基準法上、増築可能な敷地であれば、床面積を増やすことが大きな解決策となるでしょう。
なお、子育てや三世帯同居に適した環境整備のためのリフォームは、補助金の対象になります。出産や同居のタイミングに合わせて早期のリフォームに着手するのも良いタイミングと言えます。
まとめ
一般的には混同しがちな用語ですが、「改築」と「増築」については、規模により建築確認申請が必要になる場合もあり、申請書類や図面上では明確に使い分けられています。しかし、リフォーム会社に相談する場合にはこれらの違いを知っておく必要は、ほぼありません。改修や改装、修繕など、明確な定義がない用語に関しては、建築主とリフォーム会社側での認識の違いが発生する場合が否定できないからです。
最初の段階で、建築主とリフォーム会社の間で認識がすれ違ってしまうと、工事内容や費用のすり合わせにも時間がかかってしまいます。そのため、用語の違いはあまり気にせず、「どこを」「どう」リフォームしたいのかをしっかり伝えることが大切です。
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