後悔しない床暖房リフォーム メリット・デメリットを解説

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年齢を重ねると特に気になる冬場の寒さ。床暖房の導入を検討される方も多いでしょう。置き型タイプの暖房器具はつまずいて転倒する恐れがありますが、床暖房なら安心です。日常生活のリスクを減らすこともできるでしょう。

本記事では床暖房の種類、メリットとデメリットを解説します。床暖房にはさまざまな種類があり、特徴も異なります。各ご家庭に合わせた床暖房を導入できるよう、それぞれのポイントを確認してみましょう。

床暖房とは

熱の伝わり方には床からの熱が空気全体を暖める「輻射熱」、足裏から直接身体を暖める「伝導熱」、空気を循環させて部屋を暖める「対流熱」の3つがあります。そのうち、床暖房は輻射熱、伝導熱を用いてお部屋を暖めるのが特徴です。湯たんぽやホットカーペットと同じように触れた部分から直接温まるため、体内の血液循環を促し、低い室温でもからだ全体を温めることができます。すべての床暖房においてこの効果が期待できますが、暖める方法や設置の仕方によって、コストや施工方法などは異なります。

その床暖房の種類ですが、「温水式」と「電気式」の2つに大別されます。温水式は、温かい水を循環させて暖める方式、電気式は床下にある熱源に直接電気を通して暖める方式です。
温水式の水の温め方には電気・ガス・灯油・太陽光などがあり、温め方によって導入コストや工事内容、月額費用も異なります。また、温水式は熱源機も一緒に設置する必要があるため、導入費用が電気式よりも高くなる傾向にあります。
なお、床材にも「分離型」と「一体型」があります。熱源が床内部に組み込まれているかどうかで施工スピードやコストも異なります。一体型は、その名のとおり床材の内部に熱源が組み込まれているため、設置スピードも早く済みます。そして、分離式には一体型よりも仕上げの種類が豊富な点が特徴です。

床暖房のメリット

床暖房は部屋全体が暖まること以外にも、多くのメリットがあります。工事にかかる時間コスト、導入にかかる経済コストを上回る良さを感じられた方は、早めの導入を検討してみませんか。ここでは、そのメリットを順にご紹介します。

安全・安心

電気設備機器が原因の火災事故は平成26年以降増加傾向にあります。(※1)令和2年中の出火原因のトップ10には「電気ストーブ」「コード」「コンセント」がランクインしており(※2)、使い慣れているはずの電気設備が火災の原因になりうることを示しています。
なお、火災による死傷者の75%は高齢者です。(※3)灯油ストーブや電気ストーブなどの置き型タイプは、つまずいて倒したり、消し忘れたりといった理由から火災の危険性がともないます。
一方、床暖房では低温やけどを心配される方もいますが、その確率はかなり低いといえます。低温やけどは、45℃の温度のものが皮膚に3時間程度接することによって引き起こすといわれていますが、床暖房の床表面温度は約25〜30℃です。(※4)とはいえ、外の気温や建物自体の断熱性能にもよるため、肌の弱い方は長時間の使用を避けたり、直接床に寝転ばないようにしたりなど、気をつけるとよいでしょう。

ほこりがたたない

エアコンやファンヒーターなど温風を送って部屋を温める暖房器具は、風によってほこりが舞い上がることがありますが、床暖房はそのような心配がありません。フィルターに付着したほこりを取り除くといったお手入れも不要なぶん、手軽さもあるでしょう。
小さなお子さんのいるご家庭では、ハウスダストによるアレルギーを気にする場合もあると思いますが、床暖房なら清潔な空気を保つことができます。

足元が暖かい

暖かい空気は部屋の上部にたまる性質があります。そのため、部屋を暖めても足元は冷たいということが起こりえます。特に窓が多いお部屋では、エアコンからの温風が冷たい窓面で冷やされてから足元に当たるため、より冷えを感じるものです。その点、床暖房は足裏から温かさを感じられるため、不快な冷えを感じずにすみます。からだの冷えはさまざまな不調を引き起こします。健康のためにも足元の冷え対策として床暖房は有効です。

床暖房のデメリット

メリットの多い床暖房ですが、導入を検討する際に知っておきたいポイントがあります。高額な買い物になるため、デメリットもしっかり把握し、自分たちの暮らしにフィットするのか十分検討しましょう。

乾燥

床暖房は気流を発生させないため、エアコンによる暖房と比べ、皮膚から水分が蒸発しづらいといわれています。乾燥対策としては、加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したりすることが有効でしょう。観葉植物を室内に置いて定期的に水やりをするのもおすすめです。

初期費用が高い

床暖房は設置面積や形式により費用幅がありますが、100万円を超えることも多く初期費用が高くなる傾向にあります。一度設置してしまえば、30年はメンテナンスがいらないと言われるものもありますが、不具合が生じれば、メンテナンス費用もかかります。導入費用に見合う効果を得られるか、またメンテナンスが必要になった場合の費用も捻出できるか、今後のライフプランを踏まえて検討する必要があるでしょう。

暖かさを実感できるまでに時間がかかる

電気式の床暖房は比較的早く暖まりますが、温水式の場合は床全体が暖まるのに多少の時間がかかります。朝起きてすぐに使用したいときなどは、タイマー機能を活用するのがおすすめです。

床暖房で快適な暮らしを手に入れよう

寒い季節はなんとなくからだが動きづらく、気持ちが塞ぎがちな方も多いでしょう。床暖房を導入することで、からだの冷えだけではなく、心の冷えも解消できるかもしれません。

なお、戸建やマンションなど住宅の種類によって導入できる床暖房は異なります。また、床暖房の導入にあわせて、お部屋自体の断熱を見直すこともおすすめです。お部屋を効率よく暖め、快適な暮らしを送りたいものです。

※1 東京消防庁「令和3年版 火災の実態」p.37 図1-3-2

※2 東京消防庁「令和3年版 火災の実態」p.36 表1-3-1

※3 東京消防庁「令和3年版 火災の実態」p.30 図1-2-2

※4 日本床暖房工業会 Q&A 「温水床暖房の暖房性能について