外壁リフォームの種類と費用は?施工例とともに詳しく解説

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戸建てに住む人の多くは、「劣化」や「キズ」「汚れ」を機に、リフォームを考えているようです。アンケートでも、その動機として住宅の傷みや汚れを挙げるケースが多いことが分かります。中でも外壁の劣化は、人目にも付きやすく気になる部分ではないでしょうか。

国土交通省「令和2年度 住宅市場動向 調査報告書|P24 リフォームに関する意思決定(1)リフォームの動機」からの引用

しかし、外壁はリフォームする面積が大きく足場も必要なことから、リフォームの中でも費用が高額になりやすいといえます。施工方法や外壁材の種類によっても、費用に大きな差が出るため、内容の選択が難しいリフォームでもあります。

実際、外壁リフォームにはどのような施工方法があって、それぞれにどのような種類の建材があるのでしょうか。

今回は、外装リフォームに関する種類や、それぞれのメリットデメリットを解説します。

外壁リフォームの施工方法

(引用)リフォーム事例  住友林業のリフォーム

外壁リフォームの施工方法は大きく分けて3つあります。ひとつは、既設の外装材を撤去し、新しい外装材に張り替える「張り替え」です。なお、既設の外装材の上に別の外装材を張る「重ね張り」を選択した場合は撤去費用がかからないため、張替えよりも安く施工できます。2つ目は「塗装」です。最も手軽に行える外壁リフォームであり、ほとんどの外装材に施工できます。3つ目は「補修」です。その名の通り、傷んでいるところを修復するリフォームです。

これらのリフォームに使われる外装材にはどのような種類があるのでしょうか。

張り替え材の種類と特徴

(引用)リフォーム事例  住友林業のリフォーム

外壁を張り替える場合は以下のような外装材を選択できます。それぞれの特徴や、おおよその費用、耐久年数などをみてみましょう。

サイディング

戸建て住宅で多く使われている外装材です。ボード状の建材を張り付けていくもので、施工のしやすさ、耐久性の高さに加えて、デザインが豊富なことから人気です。原料となる素材により、以下のような特徴があります。

窯業系

木繊維やセメントなどを材料とし、窯で焼き上げて作るサイディングです。施工しやすく耐久性も高いため、コストバランスに優れていています。あたたかみのある意匠に仕上がります。

金属系

「金属系サイディング」と総称される、ガルバリウム鋼板やアルミニウム合金塗装板は、スタイリッシュでクールな外観に適した外壁材です。耐久性に優れており、メンテナンス周期も長めですが、塩害に弱く、海岸沿いなどの潮風にさらされる地域には不向きな面もあります。

樹脂系

塩化ビニル樹脂で作られるサイディングです。軽量で建物への負担が少なく耐久性、耐震性に優れています。ただし、製品のほとんどが北米メーカーに限られ、国内では取扱業者が少ない外装材です。

木質系

木材と同じく断熱性に優れており、天然木ならではの風合いを外観に取り入れたい場合におすすめです。ただし、国内では取り扱いが少なく、施工できる業者も限られます。

タイル

土や粘土などで製造される天然素材です。ナチュラル、レトロ、シックと、デザインも豊富です。耐久性や耐火性にも優れ、物理的な衝撃が加わらない限り、ひび割れも発生しにくいでしょう。一方、ほかのサイディングよりも施工の手間と時間がかかるため、施工費が高くなる傾向にあります。

ALCパネル

正式名称を「軽量気泡コンクリート建材」といい、珪石、セメント、生石灰、発泡剤のアルミ粉末を主原料に、高温高圧蒸気養生により製造される外壁材です。鉄骨造のビルや倉庫、大型施設の外壁にも多く使用されています。軽量かつ丈夫で施工しやすいことから、コストパフォーマンスに優れるものの、見た目は単調になりがちです。

モルタル

左官職人が外壁にモルタルを直接塗装する外装です。職人個人の技術が仕上がりに大きく影響するため、業者の選定も大きなポイントです。

耐火性が高い点、天然素材を使用している点で日本の気候に適しており、手塗りならではの模様や風合いを出せるというデザイン性もあります。その一方、表面がひび割れしやすく、苔などが付きやすいため定期的なメンテナンスが必要です。

張り替えのリフォーム費用と耐用年数の比較

外壁張り替えリフォームの、種類ごとの費用と耐用年数の目安(戸建て住宅での平均費用)です。もちろん、施工業者や建材メーカーによって、費用に差があります。重ね張りでリフォームを行う場合は、少し安くなります。

(画像)筆者作成

塗装リフォームの概要

(画像引用)フリー画像  写真AC

外壁の塗り替え費用や耐用年数は、塗料の種類によって大きく違います。ここでは、それぞれの塗料の特徴をみてみましょう。

ウレタン塗装

ウレタン系樹脂を使用した塗料で、住宅の外壁塗料では最も一般的な材料です。弾力性があるため耐久性に優れ、柔らかいので施工しやすいメリットがあります。

アクリル塗装

アクリル系合成樹脂を使用した塗料で、費用が安いことが特徴です。一般的には内装用塗料として使用されることが多い塗料のため、短期間で塗り替える予定の場所や、一時的な塗装などでは使用しやすい材料でしょう。

シリコン塗装

シリコン(アクリルシリコン)系樹脂を使用した塗料です。機能、費用、耐久性のバランスが良く、近年では人気の高い外壁塗料です。防水性も高く、色褪せにくいメリットもありますが、他の塗料と比べるとひび割れやすいというデメリットもあります。

フッ素塗装

蛍石を原料としたフッ素を含む合成樹脂塗料です。紫外線や汚れに強く、耐久性や防水性に優れ、劣化しにくいという高機能で、さらにメンテナンスまでの期間が長いという特徴があります。高層ビルや商業ビルにも多く利用されています。

ラジカル塗装

2012年ごろから流通し始めた新しい材料であるため普及率は低いのですが、機能面と費用、耐久性のバランスがよい最新塗料です。フッ素塗料レベルの機能性ながら、シリコン塗料ほどの費用感のため、コストパフォーマンスが非常に高い塗料と言えるでしょう。しかし、最新塗料であるため、実質的な耐久年数が明確ではないという面もあります。

塗装のリフォーム費用と耐用年数の比較

塗装の耐用年数はサイディングなどと比べて短く、気候や日照時間などの環境の影響も受けやすくなります。

(画像)筆者作成

なお、塗装リフォームには「ローラー塗装」「はけ塗り」「吹付け塗装」といった施工方法があります。一般的にはローラー塗装を行ったうえで細部をはけ塗りすることが多いのですが、面積が広い場合は吹付け塗装を行うこともあります。
こうした塗装方法によっても、材料費や施工費に差が出るでしょう。

(画像)筆者作成

外壁リフォームにかかるその他費用

(画像引用)フリー画像  写真AC

足場

外壁リフォームでは、高所作業を含むため足場の設置が必要となります。足場の設置には10万~20万円の費用が掛かるため、屋根リフォームも同時に行えば、費用を抑えることができます。

補修費用

費用は、補修の種類によっても異なります。

コーキング(シーリング)補修

・コーキングの打ち替え:15万~20万円

・古いコーキングの撤去:3万円程度

サイディングなどの外装材の繋ぎ目に施工されているのがコーキング、またはシーリングです。耐用年数の長い外装材を施工していた場合、コーキングが先に耐用年数を迎えてしまうことも多くあります。

クラック補修

・1カ所につき、2,000~4,000円程度(ひび割れの大きさによる)

ひび割れなど、部分的な補修を行う方法です。

高所の補修の場合、補修箇所が少なければ高所作業車を用いることができますが、作業車が入れない、補修箇所が多い場合は、足場の設置が必要です。

クリーニング(高圧洗浄)

・2万~4万5,000円

苔や汚れは、外壁クリーニングでキレイに落とすことができます。洗車と同じように、「洗浄+汚れを防ぐコーティング」などの+αの機能が加わることにより、費用に差が出ます。

少額で真新しい外壁の美しさを取り戻すことができるため、定期メンテナンスとしてもおすすめです。

まとめ

(引用)リフォーム事例  住友林業のリフォーム

外壁のリフォームは、住まいが生まれ変わったような美しい見た目を取り戻すだけでなく、雨水や湿気の侵入、腐食から住まいを守るためのリフォームでもあります。機能的な外装材を施工することで、遮音性や断熱性も高められるため、生活の質や住まいの快適さを向上させることにも役立つことでしょう。

外壁は住まいの「顔」であるとともに、家を守ってくれる「鎧」でもあります。どんな性能がよいのか、どんな機能が私たちの生活に合っているのかという点も重要視しながら、外壁リフォームを検討してみるとよいでしょう。