「リフォームの仕上がりが不満!」そんな時に知っておきたい法律のルール

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リフォームは金額の大きな買い物です。事前にしっかりと打ち合わせを行い施主のニーズを反映できればいいのですが、業者側の聞き取り不足や提案不足などにより、仕上がりに不満が出てくることもあります。
一方、施主側がニーズを十分伝えきれていなかったため、業者側に落ち度はなくとも仕上がりに不満が出てしまうというケースもあるでしょう。

ちょっとしたコミュニケーションのズレで工事のやり直しなどのトラブルに発展した場合、誰がどう責任を負うべきなのか。
今回は、リフォームでありがちなトラブル事例と対処法や、未然に防ぐ方法などを紹介します。

リフォームでありがちなトラブル4選

2020年の住宅リフォームにまつわる相談のうち、仕上がりや契約に関するトラブル相談の割合は67.4%です。(※1)
これは2014年から右肩上がりに増加しており、業者と施主の間の意思疎通がうまくいかない事例が増えているということがいえるでしょう。ここでは、具体的にどのようなトラブルがあるのか、またその対応方法を解説します。

見積書の内容が不明瞭

建築工事の見積書には「壁工事一式」や「建具工事一式」など"一式"という単語でまとめられている項目があります。こうした場合、具体的にどこの壁を下地から交換するのか、壁紙だけ張り替えるのか、どの扉をどの型番の扉に変更するのかなどが書かれておらず、各部材にいくらかかっていて、職人さんひとり当たりの単価がいくらかということが明記されていません。ですので、相見積もりを取っても、業者ごとにどの部分に費用がかかっているのか、また不要な工事をしようとしていないかなどの精査ができません。一方、各工事内容を素人である施主にもていねいに説明してくれる業者も存在しています。見積書でわからない項目があれば、必ず質問するようにしましょう。

追加工事の費用はかかるのか

ユニットバスを交換しようとしたら、下地が腐っていて追加の施工費用がかかった、というような話があります。リフォームは解体後に初めてわかることも多いため、こうしたケースも覚悟しておきましょう。このようなリスクを予測し、その際の費用について事前に取り決めをしておくのがおすすめです。
また、このほかにも経験の浅い業者が注文内容ぴったりの予算組みでスタートしたところ、解体後に次々と追加予算が発生することになった、という話もよく耳にします。起こりうるトラブルを想定し、施主が負うであろうリスクに関して説明し、余裕を持った見積もりをしてくれる業者を選ぶことが大切です。

契約内容と施工内容が違う

「キッチンのグレードが違う」「壁紙の型番が違う」という施工トラブルもよく耳にします。また、扉の両面を塗装する予定だったのに片面しか塗られていないということもあります。返品・交換する場合、商品を購入する際に適用されるクーリングオフ期間は8日間という原則がありますが、業者が開封していた場合、それができない場合があります。
また、契約書の内容があっていた場合は業者側の発注ミスですが、契約書に記載された内容が施主の希望と異なる場合、契約時にきちんと確認をしておかなかった施主のミスともいえるでしょう。再工事となると、レンタルスペースや仮住まいの契約をしていた場合、延長したぶんの費用負担が発生することもあります。

工事終了後の不具合

施工後の保証期間は、その範囲と内容を保証書の形にしっかり残しておきましょう。リフォーム後は、「貼ったばかりのクロスが剥がれてきた」「交換したばかりの給湯器が壊れた」などさまざまな不具合が想定されます。もし保証期間にも関わらず対応してくれない場合は、このあと紹介する第三者機関に相談するか、保証期間内に修繕依頼をした旨を内容証明郵便で業者宛てに送付しておきましょう。
また、目がチカチカする、咳き込むなどの体調不良が現れた場合は、シックハウス症候群が考えられます。リフォーム工事で住宅の機密性が上がり、空気が滞留することにより建築資材に使われる物質の影響を受けやすくなることがあるのです。
もし症状が現れたら、シックハウス症候群を診断してくれる病院の受診、地方自治体の保険センターへの相談をしましょう。

リフォームトラブルを防ぐためのポイント

引用:PhotoAC「Kumaroku

リフォームに関するトラブルは日常生活に密接に関わってくるため、なんとしてでも避けたいものです。信頼できる業者にお任せすることが一番ですが、リフォームを滞りなく完了させるためには施主側で気をつけるポイントもあります。

綿密な打ち合わせを行う

業者との打ち合わせが始まる前に、下記のポイントを必ず押さえておきましょう。

  • 自分たちがイメージしているリフォームの内容を書き出しておく
  • 取り入れたいデザインがあれば、住宅情報誌やカタログをカラーコピーし、参考資料として用意しておく
  • 見積もり金額だけではなく、工事内容や範囲・流れも確認する

施主のニーズをどうやって実現するかを考えるのが業者の仕事です。要望があれば、伝わるまで説明しましょう。伝えるための資料を用意すれば打ち合わせもスムーズに進みます。
また、リフォーム業者は予算の安さで選ぶのではなく、自分たちのやりたいリフォームを実現してくれるかどうかで選びましょう。見積もり金額だけではなく、工事内容を確認することで、本当にイメージが共有できているかを確認できます。

打ち合わせ記録を必ず残し共有する

打ち合わせ時は、決めたことや選んだ型番など、内容を必ずメモするようにしましょう。同時に、業者も同じ内容のメモをとっているかを必ず確認します。クロスや水まわりの型番ミスはよくあるトラブルのひとつですが、打ち合わせの議事録が共有されていないため、起きることが多いようです。
対面での打ち合わせ以外にも、電話やメールでやりとりをするうちに最新の決定事項がどれかわからなくならないよう連絡方法をメールに統一するのもおすすめです。
工事が始まったあとに現場で変更になった箇所がある場合にも必ず記録を残し、金額が発生する場合は「追加見積もり書」として書面を残しておきましょう。

契約書には必ず目を通す

契約書には、工事期間、工事金額のほかに保証内容や万が一工事が続行できなくなった時の対応方法についても明記されています。トラブルが起きた際に、施主側にどのようなリスクがあるのかきちんと理解するようにしましょう。
また、一度契約書に捺印をすれば、「思ったものと違うから」と工事中止をお願いしても、居住に問題がない部分に関しては施主側に損害賠償が問われる場合があります。疑問に思ったことはそのままにせず、その場でわかるまで説明してもらうことが大切です。

完了検査はくまなくチェックする

工事が完了すると施主と業者立ち会いのもと、完了検査を行います。完了検査では以下のチェックを必ずするようにしましょう。

  • 契約内容と相違がないか(型番、色、向き、素材など)
  • 床や壁に傷やへこみがないか(工事箇所以外にも搬入経路など)
  • 取り付けた設備の動作確認
  • 扉の開閉確認

完了検査確認書(※2)には必ず双方の署名捺印があることを確認します。また、入居後に瑕疵(ひご)が見つかった場合の保証内容と範囲、連絡先も確認しておきましょう。入居後に気づくことがあるかもしれません。
ただ、完了検査でOKを出している以上、後からやり直してほしいというのは難しいことが多いものです。完了検査時に、本当に問題がないかていねいに確認しましょう。

※2 住友林業ホームテックでは「工事完了立会確認書」という名称で対応しております。

トラブル解決に頼りになる第三者機関

気をつけていてもトラブルが起きてしまった場合、無理せずプロに相談するのも解決への近道です。時間が経つほど、瑕疵が悪化したり、法的効力の及ぶ期間が迫ってきたりするため、早めの相談がポイントです。
ここでは、消費者の味方になってくれる代表的な第三者機関をご紹介します。

住まいるダイヤル

国土交通省から指定を受けた住宅専門の相談窓口「住まいるダイヤル」。住宅に関する広い知識を持つ一級建築士の資格を持つ相談員が対応してくれます。
住宅リフォーム専用の番号があり、契約前の見積もりに関する相談から、各種紛争の解決手続きまでサポート可能です。対面での相談を希望の場合は、弁護士と建築士のペアに対し、原則1時間無料で相談が可能です。

国民生活センター

消費者の相談窓口として力になってくれる独立行政法人です。平日昼間の電話相談や土日対応の窓口など、消費者の立場に立ったサポートを提供しています。局番なしで「188」にかけると、各地域の消費者相談窓口を紹介してくれる消費者ホットラインも便利です。
これまでの消費者トラブル事例も豊富のため、類似の案件があれば対応方法など参考になるかもしれません。

地方自治体における住宅関連NPO

民間NPOのなかには、住宅関連の相談窓口を設けていることがあります。それぞれのNPOが独自のサポート体制を持っているため、気になる団体があれば思い切って相談してみましょう。地域に根ざしてリフォーム支援や補助を行っている場合、リフォーム業者にも詳しく、法律的知識以外にも得られる情報があるかもしれません。

まずは落ち着いて工事内容を振り返りましょう

今回は、リフォームにまつわるトラブル事例や、それらを未然に防ぐポイントなどを解説してきました。
大きな買い物であるリフォームを気持ちよく進めるためには、施主側の心構えも重要です。業者は施主が望むリフォームを実現してくれるパートナーです。より良い協力関係を築けるように、ポイントを押さえて進めていきましょう。

もしトラブルが起きても慌てずに、これまでの工事記録を持って第三者機関に相談しましょう。現在起きているトラブルがどうやったら収まるのか、また責任の所在はどこにあるのか、工事記録をメモや写真に残すことで素早い解決に動けます。

※1 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2021 資料編」 1.電話相談全体(1)相談件数の推移 [表5]

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