広さにこだわるのもオススメ! 劇的に印象が変わる「洗面」と「浴室」リフォーム

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1平方メートル(1m×1m)という広さを、広いと感じるでしょうか、狭いと感じるでしょうか。LDKや個室で見ると、1平方メートルはあまり広く感じないかもしれません。正方形の8畳間に1平方メートルを追加しても、部屋の幅が30cm足らず広がるだけです。何も言われなかったら広くなったことにも気付かないかもしれません。

しかし、同じ1平方メートルが洗面室や浴室、トイレなどのサニタリー空間に追加されるとどうでしょう。よくある一坪の洗面室の場合、約55cm幅が広がることになります。面積にして1.3倍です。この55cmが秘める可能性はとても大きいものです。

今回はそんな「水まわりの広さと機能性」に注目して、リフォームを見ていきましょう。

脱衣と洗面を分けるリフォーム

まずは、よくある洗面室を思い浮かべてみましょう。洗面台や洗濯機、浴室の掃除道具などが置かれ、日常的でプライベート性の高い場所です。しかし、その場所には家族以外にも多くの人が出入りをします。家に遊びに来た子どもの友だちが手を洗いに入ることもあるでしょう。また、このご時世では、多くの来客が率先して洗面室を利用したいと申し出るのではないでしょうか。しかし、洗面室には洗濯物など他人に見られたくないプライベート性の高いものや、ハンガーや洗剤など生活感にあふれた物が並んでいます。来訪者もマナーとして手を洗いたいものの、ここに足を踏み入れることに対し、少し申し訳ない気持ちにもなります。

一方、近年はデザイン性豊かな洗面台が多く製造されるようになりました。洗面台そのものは他人に見られて恥ずかしいものでもありません。そこで、いままで一室だった洗面室を、もう一室増やしてしまうのはいかがでしょうか。ひとつは、浴室に隣接する脱衣室として、もうひとつはパブリックな洗面空間として壁や建具で仕切らずにオープンな場所とする間取りも考えられます。
洗面台をオープンにすることで、手を洗うことに対する心理的な障壁が下がります。近年は、玄関付近に小さな手洗器を置き、帰宅後すぐに手洗いうがいが済ませられるようなプランも多く見かけるようになりました。プライベート性の高い洗面室ではなく、オープンな玄関や廊下に洗面台があれば、来訪者にも気兼ねなく利用してもらうことができます。家族間でも同じく、誰かが入浴していても気にせずに洗面台を利用することができるでしょう。

脱衣室側にもメリットがあります。広い脱衣室をランドリースペースも兼ね、作業台やハンガーパイプ、収納棚を置いてみましょう。脱衣、洗濯、乾燥、収納、着衣という一連の流れを一室で済ますことができるようになるため、洗濯にまつわる家事動線が短くなり、家事の時短につながります。

図)一般的な洗面室、浴室の配置例 筆者作成

図)洗面と脱衣室を分ける例 筆者作成

多種多様な浴室のリフォーム

画像引用

浴室のリフォームと聞くと、どのようなイメージがあるでしょう。ユニットバスの壁の色や浴槽の形、シャワーヘッドの機能など、こだわりたい部分は多くあると思います。しかし、そもそもユニットバスとはどんなものを指すのでしょうか。また、ユニットバス以外にはどんな選択肢があるのでしょう。

「ユニットバス」とはその名のとおり、浴槽・床・壁・天井・ドアがユニット化されたものです。防水性や機能性の高さ、施工の早さ、掃除などメンテナンスのしやすさなどの利点があり、多くの住宅で使われています。

防水性の高いユニットバスの利点を活かしつつ、ユニットバスよりもデザイン性にこだわりたい時に使えるのが「ハーフユニット」です。これは浴槽や床、腰高までの壁など下半分がユニット化されたもので、壁の上部や天井には木やタイルなどの仕上げ材を自由に選ぶことができます。浴室の大きさ、浴槽や水栓のレイアウトは固定されますが、壁や天井の素材次第で雰囲気は大きく変わります。さらには、壁に設置するタオル掛けや鏡、小物置き場、シャワーなどを自由に選んでレイアウトできるので、カスタマイズする楽しさがあります。

ハーフユニットよりもさらに自在にデザインを行うときは「在来工法」が用いられます。浴槽をはじめ、床、壁、天井を自在に選ぶことができます。浴室の大きさや形状、レイアウトを自由に決められる点が最大の特徴です。洗い場を広く取る、シャワーを複数設置する、ベンチを設ける、ホテルのように洗面台を設置するなど、考えはじめるとワクワクするアイデアが浮かんできます。

家族が成長していくと、仕事や学校から帰ってくるのが遅くなってしまうことも多いと思います。家族みんなが疲れていて早く寝たいのに、ひとりずつ入浴するのを待っていると就寝時間が遅くなることもありそうです。そんな時には「シャワーブース」を新設することもおすすめです。畳半畳分のスペースに設置することができ、スペースも費用も抑えることができます。普段はシャワーだけで済ますという人も多くいますから、浴槽のないシャワーブースは意外と重宝する存在です。

トイレのリフォーム

トイレこそ、収納力や機能性が求められる場所です。住宅の中で人が滞在するもっとも小さなスペースですが、そのわりには滞在時間や利用頻度のとても高い場所です。また、他の場所以上に衛生さを求められる空間なので、掃除などメンテナンスがしやすく、整理がしやすいことも求められます。さらには、立ち座りの動作や狭い中での移動もしなくてはなりません。

人はずっと健康でいられるわけではありません。年齢を重ねれば手の届く範囲は狭くなりますし、ゆっくり慎重にしか動けなくなってしまいます。トイレは使う人を選ばない場所ですから、誰にとっても安全で使いやすい場所でなくてはなりません。

そのようなトイレには、どのような空間づくりが求められるのでしょうか。収納ではトイレットペーパーやサニタリー用品、掃除道具をしまうことが想定されます。家族が増えると、赤ちゃんや高齢者のオムツ用ゴミ箱を置く場合もあるでしょう。
高齢になった時のために手すりを設置することになるかもしれないですし、買い物が大変になると、出掛ける回数を減らすためにトイレットペーパーや掃除道具をまとめ買いするかもしれません。そうなると、大容量の収納も必要です。

下図の左上はよく見られるトイレのレイアウト例です。畳1畳ほどのスペースに手洗い付きの便座が置いてあります。このレイアウトではトイレットペーパーなどをしまっておける収納力がありません。手洗い水栓も便座の奥についているので、手を洗う際は狭いスペースの中で腕を伸ばした体勢になります。

一方、左下は便器を手洗いの無いタンクレスに取り替え、手洗い器付きの収納棚を追加したレイアウト例です。タンクレス便器にしたことで便器の奥行きが抑えられ、そのスペースに棚を設けることができました。これによって、収納力が増え、手洗いの際の安全性も確保できています。
左上はトイレの幅を少し広くし、側面に手洗い器付きの収納棚を追加したレイアウト例です。収納が確保できたことはもちろんですが、棚板が手すりの役目も果たし、トイレ内での移動を助けてくれます。

図)筆者作成

窓やドアの位置、トイレ周囲の間取りなどにもよりますが、長く安全に快適に使えるトイレにするために、できる手立てはたくさんあります。

終わりに

外出先で、気に入ったトイレのある店をいくつかリストアップしている、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。「トイレがきれいだったから」「使いやすかったから」という理由で外出先を決めることもあるかもしれません。サニタリー空間をきちんと考えることは、それだけで大きな魅力となり、安心感や快適さを与えてくれます。
まして、自宅のサニタリー空間となれば、家族全員が日に何回も使う重要な場所です。それぞれの家族の数だけ、快適なサニタリー空間の答えは違ってくるものです。洗面台やユニットバス、便器といった製品のデザイン性や機能性に注目することはもちろん大切ですが、そもそもの「空間」にも、ぜひ目を向けてみましょう。住まいがより充実するきっかけになるかもしれません。