リフォーム時の近隣あいさつは、どのタイミングが正解? 手土産は必要?

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リフォーム中は工事車両や人の出入り、騒音などさまざまな部分で、近隣に何かしらの迷惑をかけてしまうものです。これらに端を発する近隣トラブルを回避するためには、リフォーム時のあいさつがカギとなります。

あいさつの目的は「リフォームの許可を得るもの」ではなく、「リフォーム期間中に迷惑をかける」ことを事前にお知らせすることです。特にマンションは住民の生活空間が密接しているため、騒音や振動などが気になります。とはいえ、近年では、隣人や別フロアの住人と面識がないことも多く、なかには隣人との関わりを避けている人もいるでしょう。また、フルタイムで働く世帯の場合、日中は留守にしていることも考えられます。
こうした事情から、いつ、誰に、どの範囲まであいさつに伺えばよいのかは、悩ましい部分かもしれません。

この記事では、リフォームのあいさつの範囲やタイミングなど、近隣トラブルを未然に防ぐ方法をご紹介します。

リフォームのあいさつは必ず済ませましょう

リフォームを行う場合、近隣へのあいさつは必ず行うようにしましょう。床や壁などの解体撤去を含む工事では騒音が発生しますし、クロスの貼り替えなどの軽微なリフォーム、騒音の少ないリフォームであっても、業者の出入りや建材の搬入などで廊下やエレベーターを占領してしまうことが考えられます。また、接着剤や塗料のニオイがベランダや廊下を通して、他の住居に侵入したり、ホコリやチリが近隣のベランダの洗濯物を汚したりしてしまうかもしれません。作業車の駐車などで迷惑をかけることも多々あるでしょう。つまるところ、リフォーム工事では、「音を出さない」「物音を立てない」「近隣に迷惑をかけない」は、ほぼ不可能です。そのため、当該期間中は、洗濯物を外に干さない、解体撤去の日は外出するなど、近隣の人たちが対策を取りやすくするためにも、あいさつは前もって行うことがベストです。
また、マンションではリフォームが可能な範囲が、規約で決められています。そして、リフォームを行う場合は許可を得る必要があるため、その際に近隣への対応はどのように行えばよいのかを、管理会社や管理者に聞いてみるのも良いでしょう。

あいさつまわりの時期と範囲

上述のとおり、あいさつは工事が始まる前に必ず済ませておきましょう。今の住まいをリフォームする場合はもちろん、これから引っ越し予定の住居をリフォームする場合でも、工事前のあいさつが原則です。

リフォームのあいさつをするうえで伝えておきたいのは、以下の情報です。

  • リフォームの場所
  • リフォームの期間
  • リフォームの内容
  • リフォーム会社と担当者、問い合わせ先

マンションの場合は「リフォーム場所=住んでいる部屋」がほとんどですが、戸建て住宅では倉庫や離れ、車庫など建物が複数にわたることもあるため、どこをリフォームするのかをしっかりと伝えましょう。このとき、重要になるのが、リフォームの期間と内容です。これをしっかり伝えることで、相手はどれだけの期間、どんな騒音が発生するのかをあらかじめ知ることができます。

もしものトラブルや問題に備え、リフォーム会社の連絡先を伝えておくことも大切です。リフォーム中は別の場所に仮住まいしていることもあり、住人同士で直接やり取りできないこともあります。しかし、連絡先として、住人個人の連絡先を教えるのは個人情報保護の面からおすすめできません。リフォームに関しては、必ずリフォーム会社に連絡してもらうように伝えましょう。

なお、何度か訪問してもあいさつ先が留守の場合は、文書であいさつしておくとよいでしょう。「何度か伺いましたが、お留守でしたので文面にて失礼いたします」という一言を添え、直接あいさつをするときと同様、リフォーム場所、期間、内容、リフォーム会社と連絡先を記載し、お知らせします。この場合も、個人情報などは記載しないよう気を付けてください。

ちなみに、あいさつに伺う一般的な目安は、俗にいう「向こう三軒両隣」です。これは表3軒、裏3軒、両隣の計8軒」です。しかし、実際には、リフォーム場所の建物を中心に放射線状に3軒先まで、と考えたほうが良いでしょう。騒音等の影響は「半径〇km先まで」の広い範囲に及ぶため、あいさつは斜め向かいや斜め裏の住宅にも欠かさずしておきたいところです。なお、マンションなどの集合住宅の場合、その目安は「両隣・上3軒・下3軒の計8軒」になりますが、エレベーターや廊下といった共用部分を使用することから同フロア全ての住民に迷惑をかけることとなるでしょう。したがって、可能なら、同フロアの住居には一通りあいさつをしておくと安心です。10軒以上が同じフロアにある場合は、3軒より先には文書でのあいさつでも良いでしょう。
マンションによっては、管理会社側からリフォームに関する文書を配布したり、掲示板で通知をしてくれたりすることもありますが、そのような場合でも。両隣・上3軒・下3軒の計8軒には、直接あいさつをしておきましょう。

手土産は必要?

(画像引用)フリー画像  写真AC

あいさつ先には手土産をお渡ししましょう。必ずではありませんが、「迷惑料」の意味も込めて、用意をおすすめします。高いものを持っていく必要はないので、直接あいさつに回る全世帯に配っておいたほうが安心です。
手土産として選ばれているものには以下があります。

  • タオル
  • 洗剤
  • ゴミ袋

上記のように、好みの分かれるもの、賞味期限のあるものは避け、自分にも相手にも金額的に負担のない500円~1,000円の生活必需品や消耗品がよいでしょう。タオルなら1枚、洗剤なら1本、ゴミ袋なら10枚入り1組で十分です。ただし、いずれも熨斗付きがふさわしいため、ギフトショップなどで購入するのがおすすめです。
ギフトショップは専門店や百貨店、ショッピングセンターや通販で利用できます。表書きは「粗品」ではなく「御挨拶」としておくと良いでしょう。

リフォーム前のあいさつの注意点

リフォーム前にあいさつをしておくことは、近隣トラブルの予防線を張るためのものですが、トラブルは予期せぬところで発生するものです。たとえば騒音は、病気や障害の影響で特定の音にだけ恐怖を感じる、パニック発作が出るというケースがあります。電動のこぎりやグラインダーが高速回転するときのモーター音、物を引きずった際の摩擦音など、「一般的には大きな音ではないから大丈夫だろう」と思われるものが、トラブルのきっかけになってしまうこともあるのです。また、接着剤や塗料は、現在多くの製品がホルムアルデヒドを含まない安全な材料で作られていますが、それでもいずれかの成分にアレルギー反応が出てしまう人がいます。
いずれにしろ、「大きな音は出ないからあいさつに行く必要はないだろう」「健康被害の心配のない塗料だから大丈夫だろう」といった、一般的な視点で判断するのは危険といえます。あいさつに伺った先で、このような懸念の声があがった場合は、リフォーム会社に伝え配慮をお願いすることはもちろん、場合によっては担当者と一緒に再訪問して説明するなど真摯な対応が求められるでしょう。

まとめ

近隣トラブルを予防するためのリフォーム前のあいさつですが、日常的に関わらないお宅に伺うことも多く、足を運ぶことに不安がある人も多いかもしれません。実際、さまざまな人がいるので、予想外の応対をされることがないとはいえません。その場合は、近所の親しい人、マンションの管理会社や管理者に、どんな人が住んでいるのか聞いてみるのも良いかもしれません。過去に何かトラブルがあったり、問題が起きそうな人があいさつ先に含まれていたりする場合は、トラブル防止のためにこうした情報を教えてくれることがあります。
なお、出向いた先で、リフォームの内容や費用、支払い方法、家族構成、仕事などを根掘り葉掘り聞こうとしてくる人がまれにいることも考えられます。こうした個人情報や私生活に関わることはむやみに明かさないよう留意し、聞かれたくないことや答えたくないことに対してはどう返すのかも、事前に考えておくとスムーズに応対できます。
こうした事前の準備や下調べをしておくことで、時機を逃すことなく、安心してあいさつ回りができます。

リフォームを終えた後は、長くお付き合いしていくご近所さんです。お互いに気持ちよく住み続けるためにも、こうした心配りはしっかり行いたいものです。