子どもの事故はどこで発生する? 事例と対策をリフォームのヒントに活かそう!

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発達途中にある子どもは足元が不安定であり、転倒しやすいものです。大人にとっては何気ない場所でも事故につながるおそれがあります。事故を招かないためには、家の中の危険を取り除くことが必要です。

この記事では、東京都や東京消防庁、消費者庁の資料を基に、子どもに多い事故と事故が起きやすい場所の解説と、リフォームのアイデアをご紹介します。

子どもの事故の原因は

東京消防庁の資料によると、家庭内で起きる子どもの事故原因は、「挟まれ」「転落」「溺れ」「誤飲」「火傷」が挙げられます。
特に1〜2歳児の事故が多く、ひとりで立てるようになったり、歩き始めたりするタイミングで思わぬ事故が起きていることがわかります。

東京消防庁資料「年齢別の救急搬送人員(平成30年中)|p.1」より引用

平成30年では1年間に1万3,927名の子ども(12歳以下)が救急車で運ばれています。これは1日に約38人もの子どもが医療機関に搬送されるような事故に遭っていることになります。

挟まれる原因と対策

0〜12歳の子どもの挟まれる事故の原因は、「手動ドア」によるものが最も多くなっています。(※1)特に挟みやすいのは開き戸で、ドアノブではなく「蝶番(ちょうつがい)に指を挟む」ケースが多いようです。(※2)たしかに、蝶番には細い隙間があり、子どもの細い指が簡単に入ってしまいます。

こうした事故を防ぐためには、合成樹脂などでできた「指挟み防止グッズ」を活用して、蝶番の隙間を埋めると同時に、ドアにも「ドアストッパー」を設置するとよいでしょう。また、「ドアクローザー付きドア」へのリフォームもケガ予防に有効です。これは油圧によりゆっくりかつ自動的に閉まるドアであり、指の損傷を防ぐことに効果があります。

なお、ドア以外の挟まれる事故は、家具の隙間、ベッドと壁の間の隙間で起きています。「転落防止の柵を設ける」「ベッドと壁をくっつける」といった対策を行いましょう。

転落の原因と対策

東京都では平成27年〜令和元年の間に、5歳以下の子ども70人が住宅等の窓のベランダから転落し、救急搬送されています。(※3)。ベランダにはエアコンの室外機や植栽などが置かれていることも多く、通常は届かないはずの手すり部分も、それらを踏み台にすれば、簡単に届いてしまうものです。

転落事故を起こさないためには、ベランダに「転落防止用ネット」を設置することはもちろん、子どもだけで出られないようにすることが大切です。なお、サッシの鍵の開け方は子どもに教えなくとも大人を真似てできるようになるため、手の届かない上部に補助錠を設置する方法がおすすめです。

なお、室内ではベッドや棚に登って腰高の窓から転落するという事例も見受けられます。家具の配置上、窓の横に子どもが載れる台を置く場合は、窓に手すりを取り付けましょう。手すりの取り付け工事自体は1日程度で終わるため、負担も小さく済みます。

また、階段の手すりは筆者の経験上、80cm前後に設置されることが多く、90cm未満の子どもは手が届きません。階段からの転落防止のため、階段を使わないときはゲートを設置して登れないようにするなどの工夫が必要です。このほか、ソファや室内遊具などからの転落することも考えられます。こうした万が一に備え、床自体をコルクやクッションフロアなど、落ちたときの衝撃を和らげる素材に変更することもおすすめです。木製の床と比べ、おもちゃの落下等によってできる傷も比較的気にならなくなるでしょう。

溺れの原因と対策

0〜3歳の子どもが溺れる原因の1位はお風呂によるものです。(※4)低年齢の子どもは何が起きているのかわからず、静かに溺れてしまうといいます。「入浴時は目を離さない」が鉄則です。
なお、お風呂で装着するドーナツ型の浮き輪などもありますが、すり抜けてしまうこともあります。大人が洗い場で髪の毛を洗うとき、他の子どもを洗うときなど、そちらに気を取られないよう、絶えず注意が必要です。
また、入浴中ではなくとも、子どもがお風呂の扉を簡単に開けられる状態は非常に危険です。子どもは30cm程度の深さでも溺れます。浴槽に載って落ちたり、濡れた床で滑って頭を打ったりすることも考えられます。浴室扉をチャイルドロックがかけられるものに変更するなどの対策がおすすめです。

誤飲の原因と対策

窒息や誤飲の原因になるものには、カプセル錠やボタン電池、硬貨、プラスチック製の包み片などがあります。年齢によって与えるおもちゃのサイズ感には気をつけていると思いますが、大人の持ち物の置き場所や管理方法にも気を配る必要があります。

子どもは6か月頃から何でもつかんで口に入れるようになり、つかまり立ちが始まれば、低い位置にある引き出しを開けたり、テーブルの上に手を伸ばして物を取ったりもします。開き戸タイプの収納も簡単に開け閉めできるようになるため、指はさみ防止の観点から「ストッパー」を設置するといいでしょう。また、子どもの目につく場所に物を置くことのないよう大人しか届かない位置に収納を追加することもおすすめです。

火傷の原因と対策

火傷による救急搬送は1歳児が最も多くなっています。(※5) 食事中の汁物や麺類、お茶・コーヒーが主な原因ですが、炊飯器や電気ケトルによる事例も多くあります。炊飯器機や食洗機・加湿器の蒸気口は熱い湯気が出るので注意が必要です。
ガスコンロにはまだ手が届かなくとも、魚焼きグリルは引き出しのように開け閉めができます。調理中はキッチンに入ってこられないようにするなど工夫が必要です。また、調理中の電子レンジの側面やトースターは熱くなるため、手の届かない位置に移動するとよいでしょう。

また、暖房器具は使用する、しないにかかわらず、チャイルドロックをかけることが大切です。意図せずして子どもが暖房をつけてしまうだけならまだしも、火傷の恐れがあります。
使用時は子どもから目を離さず、必要があればベビーゲートを使用し、近づけないようにしましょう。

事前の対策で子どもを守ろう

家庭で起きやすい子どもの事故は、その原因をしっかり理解することで予防できます。また、1度対策したら終わりではなく、定期的に家の中の危険な箇所を見直し、子どもの年齢に応じた対策を講じることが大切です。

大人が思う以上に子どもの成長スピードは早いものです。早め早めの対策で、安全に過ごせる住まいづくりを行いましょう。