住まいの変化は屋外にも室内にも 新しい暮らし方に対応するリフォームの最新知識

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こだわりのマイホームを建ててからリフォームを思い立つまでには、10年や20年といった時間があっという間に経っているものです。こうした月日のなかで、住まいに関わるさまざまなことが進化したり、新たに登場したりも。そのなかから、スタンダードになりつつあるものがあります。とはいえ、毎日の暮らしで当たり前になっていることに対しては、こうした変化になかなか目が向かないものです。
しかし、せっかくリフォームの機会がやってきたのなら、新しいことにも目を向けて選択肢の幅を広げてみるのもよいかもしれません。

今回は、新たにスタンダードになりつつある、いろいろなリフォームの考え方をご紹介します。

屋外空間で変わったこと

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アナログなイメージの屋外空間ですが、電気を必要とする場面が増えてきました。たとえば、電気自動車の普及です。自宅で充電する際には、充電設備を用意する必要があります。
自宅の電源では充電スポットの急速充電とは違って時間がかかるものの、毎日欠かさず充電できるのが大きなメリットです。

近年は保護カバーや簡易錠のついた電気自動車用の屋外コンセントが発売されています。住宅の外壁に取り付ける壁付タイプや、駐車場に立てて使うスタンドタイプなど建物の配置や駐車場の状況に合わせて取り付けることができます。
どちらのタイプも新たな場所に設置する際には電気工事が必要になるため、電気自動車の購入を検討している場合は、リフォーム時の同時導入を考えておくとよいでしょう。

電気自動車の用途以外でも、屋外に電源を確保すると、活動の幅はグンと広がります。たとえば、高圧洗浄機や芝刈り機の利用時、庭でのホームパーティーで電気調理器を用いるとき、照明器具、防犯カメラの設置など、幅広いニーズに応えることができます。

このほか、屋外といえば、玄関ドアや門扉を電気錠とするケースも増えてきています。鍵穴に鍵を挿さなくとも、スマートフォンやカードキー、リモコンで解錠することもできるようになりました。また、インターホンと連動させ、お家の中に居ながら門扉や玄関ドアを開錠できる製品も出てきています。

来客の際に門扉まで出向いていけない場合、体調が悪く親族や友人に出迎えがなくとも家の中に入ってきて欲しい時など、インターホン越しに開錠・施錠できる点が魅力です。

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アナログな変化では、宅配ボックスや『置き配』に対応できる設備や配置が求められるようになりました。対面しなくても荷物を受け取れる宅配ボックスは、感染症対策だけではなく共働き世帯など不在がちの家庭や、リモート会議中で手が離せない場合でも、荷物を安心して受け取ることのできる優れものです。

宅配ボックスを設置しなくても、荷物を届けてもらえる置き配への工夫もされ始めています。雨が当たらないように庇(ひさし)や屋根のある場所をきちんと確保したり、道ゆく人から荷物が置かれていることがわからないよう隠れる場所に壁を配置したりなど、ちょっとしたリフォームで安心して頼める環境が整います。

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屋内のハイテク化

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住まいの中では、家電にまつわる環境が大きな変化を遂げました。住まいを計画する際には当たり前だった、「リビングには大きなテレビ、それを設置できるテレビ台」のコンビはいまも根強いニーズがありますが、そんなに遠くない未来にはスタンダードではなくなってしまうかもしれません。

テレビは薄く軽くなり壁掛けにされることが増えました。しかし、テレビ自体も、いずれは必需品でなくなるかもしれません。というのも、いまはパソコンやスマートフォン、タブレットから利用できる映像配信サービスは充実し、月額料金を払えば動画が見放題、無料のサービスでも過去一週間は見逃し配信を楽しめる時代です。放送中の番組を冒頭から追いかけて再生することができるテレビの内臓機能もスタンダードになってきており、少し前のような、AVデッキやDVD、Blu-rayソフトといった「物」を置く必要が薄れつつあります。

こうした必要性が問われる物とは反対に、必要不可欠になってきたのが、充電のためのスペースです。さまざまな製品がコードレスで持ち運べるようになりましたが、使わない時間は欠かさず充電する必要が出てきています。
たとえば、掃除機をどこに収納するのかは、新築の計画の際によく検討される項目のひとつであり、お掃除ロボットやコードレスのスティック型掃除機の充電を意図したものです。お掃除ロボットの場合、階段の一段目の下や造り付けの棚の下に充電スペースを設けることが多いです。掃除が終わるとその場に自動的に戻り充電するため、普段の生活のじゃまになることはありません。

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また、スティック型掃除機の場合は、収納や納戸の中に電源を設けるケースがあります。掃除機はどんどんスタイリッシュになり、居間や寝室に置かれていても違和感がなくなってきています。とはいえ、やはり掃除道具。心理的に見えない場所にしまっておきたい方も多いるものです。その場合には収納に電源を設けたり、居室でも掃除機が隠れる短い壁や凹みを設けたりすることがおすすめです。

住む人の居場所を増やす

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パソコンにLANケーブルをつないで、決まった場所で家族が順番にインターネットをする、という時代もありましたが、いまはタブレットやWi-Fiの普及で家中どこでも気軽にインターネットや動画の視聴、オンラインゲームが楽しめるようになりました。そのため、居場所に縛られない、その時々の気分に合わせた居心地の良い「場」が求められています。たとえば、窓際で風や景色を感じながら過ごせるようなベンチは、タブレットや読書に格好の場のひとつです。
リビングにはソファだけ、ダイニングにはダイニングセットだけ、と使い方を限定してしまうと、居場所がない家人は仕方なく自分の部屋にこもることになります。しかし、マルチな用途に対応できる場を設けておくと、思い思いの使い方で自由に過ごすことができます。

たとえば、リビングや水まわりなど騒がしい場から離れ、遮光ができる内装と平滑で大判な白い壁を持った空間を造り、小さなプロジェクターと性能の良いイヤホンを持ち込めば、即席ながらも質の高いシアタールームにもなります。

また、在宅ワークの普及によって、小さくともひとりになれる執務スペースの需要も高まっています。完全に仕切らなくとも、途中まで壁を立てて周りの気配を少し遮るだけでもプライベート性が増し、家族の様子を気にしながらも作業に集中できるようになります。

このように、間取りを大きく変えなくても、少しの壁、少しの造作、少しの空間分けなどの工夫を加えることで、住まいに"場のバリエーション"をもたらすことができるのです。

まとめ

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住まいに関わる変化はこのほかにも、断熱や環境配慮への意識があったり、PM2.5など屋外環境の悪化やゲリラ豪雨の頻発などから室内干し需要が高まったりと、さまざまな場面、さまざまな視点から見られるようになってきました。

リフォームの際には、いまの暮らしの問題点を解消する目的だけではなく、これを機に新たな暮らし方を取り入れることにも目を向けると、さらに快適な暮らしへと変わるかもしれません。