「中古マンションを購入したい」 購入前に確認したいポイントを解説

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中古マンションは不動産の中でも価格が安くお手頃な物件ですが、新築とは違い劣化や以前の所有者の権利関係など気になる点も多々あります。新築のようにまっさらな状態ではないため、多角的な視点から物件の見極めをすることが大切です。この記事では、中古マンションを購入する際に注意したい点について解説します。

中古マンションの市場動向

中古マンションは新築マンションよりお手軽な価格で購入できるため、無理のない予算でマイホームを手に入れたい人にとっては魅力的な物件です。ここでは、中古マンションの市場動向について解説をします。

中古マンションの購入者は全体の12.5%

住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査」によると、中古マンションは2020年度の融資において全体の12.5%の割合を占め、新築マンション(8.5%)よりも多くなっています。これは2016年以降続く傾向であり、近年、立地の良い場所にある中古マンションを自分好みにリノベーションして、オシャレな住まいにするケースが増えていることがひとつの要因として考えられます。

住宅金融支援機構「2020年度 フラット35利用者調査|P2 1 融資区分(時系列・全体)」を基に作図

中古マンションの平均購入価格は2,971万円

「住宅取得の際にかかった所要資金(全国)」として一番高額なのは新築マンションの4,545万円です。なかでも首都圏の新築マンションの平均価格は6,584万円となっており、立地条件が良くグレードの高いマンションほど高額になる傾向があります。(※)
対して中古マンションの平均価格は2,971万円と、新築マンションよりも1,500万円以上下回っています。リノベーションをしていない状態のマンションはさらに安く購入できる場合もあるので、浮いたお金をリノベーション費用に充て、暮らしやすい間取りに生まれ変わらせるのもよいでしょう。

住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査|P9 5 所要資金(融資区分別・全国)」を基に作図

中古マンションを購入する際の5つの注意点

中古マンションの最大のメリットは、新築マンションよりも価格が安いことですが、まっさらの状態ではないぶん、さまざまな注意が必要です。ここでは、中古マンションを購入する際の5つの注意点について解説します。

1.登記簿を確認する

登記簿は不動産取引を安全かつスムーズに行えるようにするため、土地や建物の物件ごとに法務局が認めた所有権や抵当権等に関する情報を記録したものです。マンションの場合は建物の登記簿に「土地についての情報」も記載されているので、建物の登記簿を確認すれば事足ります。
登記簿を見て特に注意したいのは以下の4点です。どれも重要な情報です。

1.築年数

2.所有者

3.土地の権利形態

4.差押えや抵当権の有無

差押えや抵当権が登記されている物件は、売主が抵当権を抹消し担保権をきれいにしてから引き渡すことが前提となります。司法書士や金融機関の担当者の立ち合いのもと、決済時に買主が支払った代金で売主の借入金残額を一括返済し、所有権移転登記と抵当権抹消登記とを同時に行うのが一般的です。信頼できる宅地建物取引業者に依頼しましょう。

2.管理規約を確認する

管理規約はマンションの維持管理と区分所有者が快適に共同生活をするために、区分所有者が自主的に定めた管理組合のルールです。中古マンションでは、新築当時のままの管理規約を使っているところもあるので、国土交通省が公表している「標準管理規約の最新の改訂」の内容に沿ったものであることを確認しましょう。インターネットで手軽に調べることができます。
居住用のマンションとして購入する場合は、専有部分の用途について「専ら住宅として使用するものとし他の用途に供してはならない」などの規約があるほうが安心です。店舗や事務所などに利用できるマンションでは用途が異なり、住民以外のさまざまな人が出入りすることが考えられます。ペットの飼育を全面的に禁止する場合もあるので、ペットを飼っている人は注意が必要です。

3.管理費・修繕積立金の管理状況を把握する

マンションを購入した場合、自分が払うことになる管理費の金額だけでなく、現在の区分所有者に管理費等の滞納がないかを調べる必要があります。万が一、滞納があると特定承継人として自分が負担することになりかねないからです。
管理費や修繕積立金は、マンションを購入したら長く支払い続けることになるため、これらの収支、管理費等の変更予定などの管理状況がどうなっているのかを具体的に確認するようにしましょう。

4.修繕履歴・大規模修繕計画を確認する

古いマンションの場合、修繕費が高額になる傾向があります。専有部分だけでなく共用部分も「いつ・どの部位に・どのような」リフォーム・大規模修繕がされたのかを確認しましょう。特に水道の配管工事は専有部分にある枝管だけでなく、建物全体の本管の取替え工事が行われていたのかが重要なポイントです。水漏れ事故が発生すると建物内部を傷めるため、十分にチェックしたいものです。

5.地震や水害等の自然災害への対応

近年では大規模な水害が発生しやすくなっています。2019年10月の台風19号により川崎市の武蔵小杉駅周辺に建つタワーマンションが全戸停電したことは記憶に新しいのではないでしょうか。これは、下水を処理しきれず内水氾濫が発生したことが原因といわれています。
水害の他に地震などの自然災害も考えられるため、いざ非常事態となったときにどのような備えがあるのか知っておきたいところです。防災訓練の取り組みなどが行われているかも一緒に確認しましょう。

中古マンションを内覧するときの確認ポイント

ここでは中古マンションを内覧するときに、「確認したいポイント」を紹介します。

建物全体

中古物件は屋根や壁、基礎の状況などの外観から建物の管理が行き届いているかどうかがわかります。築年数が経っていても外観の美しいマンションは、日頃から管理が行き届き、建物の状態が良い場合が多いのです。このなかでも掃除がきちんとされているかは、最重要ポイントです。

場所

確認ポイント

エントランス

郵便受けからチラシなどがあふれていないか

共用廊下

ゴミや私物が放置されていないか

ゴミ置き場

ゴミ出しのマナーが守られているか

駐輪場・駐車場

駐輪・駐車のマナーが守られているか

外壁

ひび割れや剥がれなどがないか

植栽・外回り

植栽などの手入れがされているか

筆者作成

室内

住居用として購入する場合、日当たりの確認は必須です。明るいうちに見学して採光の状況を確認しておきましょう。実際に窓を開けて風通しや日差しの向きを確認します。
天井にシミがある場合は雨漏りや水漏れがあったことが考えられます。再び発生すると厄介なので、補修状況も聞いておくとよいでしょう。

場所

確認ポイント

風通し・採光

室内の日当たりや風通しの良さを確認

眺望

窓の景色はよいか

水回り設備

水栓金具や給水管が水漏れを起こしていないを確認

床にきしみやゆがみ、傾斜などがないか

ドアや窓などの建具

ドアや窓の開閉がしやすいか

天井・壁

カビ、クロスのゆがみ、ひび割れなどがないか

給湯器

直近の交換はいつ行われたか

筆者作成

まとめ

今回は、「中古マンション購入する際の注意点」について解説しました。
新築マンションより比較的お手頃な価格で買える中古マンションは、憧れのマイホームを無理のない範囲で取得することが可能となる手段です。近頃では大規模な間取り変更をして、今風のオシャレな住まいに造りかえる、中古マンションのリノベーションも注目されています。
今回紹介した注意点を意識しながら、ご自分のライフスタイルに合った素敵な住まいを、ぜひ手に入れてください。