からだにやさしいって本当? 床暖房の種類とリフォームで注意したいこと

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冬の暖房機器にはさまざまな選択肢があります。足元から暖まる床暖房もそのうちのひとつです。

床暖房は暖まり方にムラがないだけでなく、空気が乾燥しにくい、ほこりを舞い上げないなどの特徴があります。この床暖房にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。

今回はリフォームの際に検討したい床暖房の種類や、床暖房を導入する際の注意点をご紹介します。

床暖房の特徴

日本床暖房工業会によると、床暖房にはいくつかの特徴があります。

日本床暖房工業会ウェブサイト「健康的でクリーンなぬくもり:温水床暖房の特徴:温水床暖房とは」の情報を基に作図

上記の使用実感にも表れているとおり、床暖房はエアコンやファンヒーターのように風を感じることはありません。床暖房は床そのものが暖まるため、気流を発生させにくいことがその理由です。風が起こらないため、乾燥しにくいことも床暖房の最大の特徴といえるでしょう。
また、エアコンの場合、風があたる場所とそうでない場所で温度差が生じますが、床暖房はムラなく暖まるのも特徴です。ほこりを舞い上げないため、カビ・ダニの繁殖を抑える効果があることも大きなポイントです。このほか、小さいお子さんがいる場合は、ストーブやヒーターなど本体が熱くなるものに触れずに済むというメリットもあります。

床暖房の種類

床暖房には、床下にヒーターを入れて電気で温める「電気式」と、ガスでお湯を沸かし床下をめぐらせる「ガス式」の2種類に大きく分けることができます。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。

電気タイプ

電気式床暖房にも、いくつか種類があります。ひとつは、「蓄熱式」といわれるものです。これは深夜電力を利用してヒーターを温め、蓄熱材に熱をため込むタイプです。深夜電力を上手に使うことで電気代を低く抑えられますが、蓄熱材の導入が必要になるためリフォームで行うことの難しさがあります。
2つ目は「PTCヒーター式」です。薄型のヒーターを床下に設置する装置ですが、床高を上げる必要がないぶん、手軽さがあります。リフォームでの導入を手早くできる利点があります。
3つ目は「電熱線ヒーター式」です。これは、ホットカーペットをイメージするとよいでしょう。こちらも初期費用が安いという特徴があります。
最後に紹介するのが、「ヒートポンプ式温水床暖房」です。大気中の熱を取り込み圧縮する「ヒートポンプ」によって沸かしたお湯を床下に巡らせるもので、電気代の節約につながります。

ガスタイプ

文字どおり、ガスで沸かしたお湯を床下に巡らせて温める方式です。ガスでの湯沸かしはパワーがあるため、すぐに暖まるのが特徴です。

これらを比較したときの大まかな傾向としては、電気タイプの場合は比較的導入しやすいものの、特に電熱式の場合は温度ムラが完全には解消されないデメリットがあります。
一方のガスタイプ、あるいは電気タイプでもヒートポンプ式の場合は初期費用が大きくなります。配管の手間がかかりますし、その後のメンテナンス費用もかかりがちです。検討時に設置場所や面積の広さ、その目的に応じて、施工事業者に相談するのが良いでしょう。

導入や使用にあたって注意したいこと

床暖房は床面だけでなく、輻射熱(遠赤外線)、熱の伝導や対流によって壁や天井にまで暖かさが届くため、他の機器をあまり使わない、あるいは設定温度を下げることを考え、省エネを意識すると良いでしょう。たとえば、カーテンを厚手のものにする、床暖房の上にはカーペットを敷かないなどの工夫です。また、床暖房は運転をストップしてもすぐに冷めることはないため、長時間つけたままにしないことも大切です。外出前や就寝前は早めに電源を切るようにしましょう。

導入時に検討したい税制優遇

「床暖房の設置と一緒に窓や壁も断熱リフォームしたい」という場合には、省エネ改修による所得税控除の利用を検討すると良いでしょう。これは省エネ性能を向上させるリフォームをした場合、改修後居住を開始した年の所得税額が一定額控除される、というものです。これは、省エネ性能の高い住宅を国内に多く確保しておきたいという国の考えから導入されている制度です。
補助の基準となる2021年の「標準的な工事費用相当額」が国土交通省のウェブサイトに公開されています。年間所得などいくつかの制約はありますが、「標準的な工事費用相当額」の10%が所得税額から控除されます。2022年以降も制度は継続される可能性があります。最新の情報をチェックしておきましょう。

まとめ

床暖房の導入にあたっては、考えることがいくつもあります。初期費用はもちろんのことですが、月々どのくらい電気やガス代がかかるのかというランニングコスト、他の暖房機器より電気やガス代がどのくらい安くなるのか、それによって初期費用を回収できるのか......など、さまざまなことを計算する必要も出てくるでしょう。
家庭や家の間取りによって事情は違いますから、施行前にこれらの試算をしてもらうことも念頭に、上手に便利な暖房を取り入れたいものです。