減築リフォームとは? 家を小さくするメリット
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子育てが終わり、子どもが家を出ると、かつてはちょうどよい広さであった家が大きく感じられるようになり、使わなくなった部屋の掃除やメンテナンスが負担になってくることがあります。こうした場合に、家を小さくする減築によって負担を軽減し、夫婦2人にちょうどよい大きさにリフォームをする方法があります。
今回は、家を小さくして快適に住まう減築リフォームについて解説していきます。
家を小さくする、減築リフォームとは?
厚生労働省の調査によると、65歳以上の世帯構成として夫婦2人のみの世帯、単独世帯は年々割合が増えており、平成28年では夫婦2人が全体の38.9%、単独世帯が18.6%、2つを合わせると6割弱の高齢者がひとりまたは2人で生活をするようになっています。
反対に、昭和58年では46.7%を占めていた子夫婦と同居する世帯は、平成28年で11.4%にまで減少しており、子夫婦が家を出て親子世帯が別々に暮らすことが一般化していることがわかります。
このように、子どもが結婚すると夫婦2人、またはひとりで住むようになる世帯が増え、かつての子ども部屋が余った状態の家に住む世帯が増えていると考えられます。
厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果から グラフでみる世帯の状況|P9 家族形態別にみた65歳以上の者の構成割合の年次推移」の情報を基に作図
また、年代別にリフォーム工事の動機を調査した調査では、70歳以上になると修繕・メンテナンスのためのリフォームの比率が高く、60代を除く世代で修繕・メンテナンスの割合が最も高いことがわかります。60代で設備更新の比率が高いのは、築20~30年を迎え、老朽化した水まわり設備の更新が多くなるためと考えられます。
ここからは、高齢になっても住まいの修繕やメンテナンスが必要になることがわかります。
一般社団法人リフォーム推進協議会「住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査 第 11 回 調査報告書 平成31年2月|P33 検討中のリフォーム工事の種類 図2-3-2工事の種類【戸建て】年代別」の情報を基に作図
このように子どもが出ていった後の大きすぎる住まいを、床面積を減らしてコンパクトな住まいとすることで修繕・メンテナンスや日々の掃除の軽減を図ることができるのが、減築リフォームです。
減築リフォームのメリットは"負担の軽減"
減築リフォームには多くの魅力があります。この章では、住まいをコンパクトにすることで得られるメリットを解説します。
住まいの掃除やメンテナンスの負担が軽減できる
特に多い例は、子どもが家を出たあと、子ども部屋が余り、子どもの残した物がそのまま置かれ物置化することです。こうした部屋であっても掃除を行わなければならないため、高齢になるほど掃除が負担になってきます。使わなくなった部屋を取り除くことで掃除の手間が減り、日々の負担を軽くできます。
床だけでなく該当部分の屋根や外壁も同時に撤去すれば、定期的に必要になる建物のメンテナンス費用も軽減することができます。
家の荷重を軽くすると耐震性能の向上も期待できる
2階建ての住まいの2階を減築して平屋とする場合、家全体の荷重が軽くなり、地震時の負担を軽減できるので、耐震性能が向上します。また、過去の増築により複雑な形状の間取りとなっている場合、減築によりシンプルな間取りとすることで全体のバランスが良くなり、耐震性が向上することもあります。
住まいをコンパクトにして庭をつくる
家全体の面積を減らすことで、余った土地に庭をつくることもできます。敷地いっぱいに家が建っていた場合でも、減築により庭のスペースを確保して緑を楽しむこともできます。
引用)住友林業のリフォーム「旧家・古民家リフォーム」
光や風の抜ける明るい住まいへ
減築によって間取りを変えたり、2階の床をなくし吹き抜けをつくったりすることで、光や風が抜ける明るい住まいとすることも可能です。リフォーム前は暗かった部屋も、こうした工夫をすることで快適な部屋にすることができます。
減築リフォームの注意点
減築によって得られるメリットは多いですが、その際に注意したいポイントを解説します。減築を行う場合は建築士などの専門家に相談し、どのように住まいを小さくするか十分に検討することが大切です。
減築後の耐震壁のバランスに注意する
先述のとおり、荷重を軽減したり、バランスの良い間取りにしたりすることで耐震性を向上させられる減築リフォームですが、方法によっては耐震性が低下することもあり得るので、注意が必要です。地震の揺れには、建物の壁や床といった面の要素が抵抗することになります。たとえば2階の床を撤去して吹抜けをつくる場合などは、床による抵抗が難しくなる場合があります。
また、住まいの一部を1・2階ごと撤去したり、増築部分を撤去してその箇所を窓にしたりするにおいても、住まい全体の壁の量が減ることで地震への抵抗力が小さくなり、耐震性が低下することが考えられます。このような場合は撤去した壁に筋交いを入れたり、他の箇所に壁を増設して全体のバランスを保ったりすることで耐震性能を確保できます。いずれにしろ、専門家に慎重に検討してもらうことが大切です。
減築した箇所の防水の施工に注意する
減築を行う場合、それまで屋内であった箇所に新たに外壁や屋根を取り付けることになります。既存の外壁や屋根との取り合いが生じるため、こうした箇所の防水性を十分に確保して施工しなければ、雨漏りの原因となることもあります。リフォーム後、こうした不具合が起こらないように、設計の経験豊富な専門家や施工業者に依頼することをおすすめします。
減築リフォームの方法
減築リフォームといっても、その方法にはさまざまなパターンがあります。ここでは、事例を交え解説していきます。
2階建てを平屋にしてコンパクトな住まいへ
引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例」
使わなくなることが多い子ども部屋は2階にあることが多く、その2階全体を撤去して、平屋とする減築方法です。
建物の荷重が減り、耐震性能を向上させられると同時に、日々の生活における階段の上り下りがなくなるため、将来の高齢化に備えてバリアフリー化も図れる方法です。2階の外壁を撤去することで、建物のメンテナンスの手間を軽減することもできます。
2階の床を撤去して明るい吹抜けをつくる
2階の床の一部を撤去して、吹き抜けをつくる減築方法です。2階の窓から1階に光が入るようになり、開放的で明るい空間をつくることができます。床を撤去することで耐震性が維持できない場合は、吹抜け面にブレースなどを設置することで光を取り入れながら耐震性を確保することができます。
減築した部分の材料を再利用する
減築により解体した部分の建具や床材を再利用してリフォームを行うこともあります。費用を軽減でき、また住まいへの思い入れも大切に残すことができます。下記は、減築部分の木材を玄関の框(かまち)として再利用した例です。
引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例」
まとめ
子どもが住んでいるあいだはちょうどよい広さであった住まいも、夫婦2人で住むようになると部屋を持て余し、日々の掃除やメンテナンスがストレスとなる場合もあります。
一見、住まいを小さくすることはもったいないように思えますが、自身が高齢になるほど、大きすぎる家は負担が大きくなってくることもあります。
子どもが実家を離れ、親と子が別々の世帯で住むことが一般化してきた現在、減築によるリフォームは現代の住まいかたに合ったリフォーム方法のひとつであり、住まいを持て余すことなく、日々の家事やメンテナンスへの負担を軽くすることができます。同時に、コンパクトで使いやすい住まい、光の抜ける明るく開放的な住まい、耐震性に優れた住まいへとリフォームすることができ、安心で快適な暮らしを手に入れるためのひとつの方法と言えるでしょう。
「掃除やメンテナンスが大変」「夫婦2人で住むのに最適な住まいにしたい」など、漠然と思っている方は、本記事を機会に、減築リフォームについてご夫婦やご家族でぜひ話し合ってみてはいかがでしょうか。
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