いま、注目の「IoT住宅」 我が家の暮らしはどう便利に変わる?

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新聞やインターネットなどで「IoT(アイ・オー・ティー)」という言葉を見かけることが増えてきました。IoTは住環境の中にも導入されており、より快適な住まいに向け、さらなる進化を目指している最新技術です。

今回は、住まいに「快適」「便利」「安全」をもたらすIoT住宅にフォーカスします。

IoT住宅とは

IoTとは、「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」を意味します。このIoTを住宅に導入した快適かつ便利な住まいが注目されています。ここでは、まずIoT住宅について紹介しましょう。

1.IoTを導入して生活の質を上げられる住宅

あらゆるモノがインターネットにつながるIoTは、住宅分野でも導入が進められており、日々新しいサービスを提供しています。IoT住宅に住むと、たとえば下記のような生活が待っています。

  • 「おはよう」と一声かけるだけで、 照明やエアコンが一斉スイッチオン!
  • 就寝時、ベッドからスマホを操作すれば、家じゅうのエアコンや照明のオフを確認できる
  • 子どもが帰宅した様子が、勤務中の親のスマホに画像として送られる

2.スマホ・タブレットのアプリなどから簡単操作

操作を簡単にできるのも良い点です。IoTがさまざまな機器同士をリンクするため、スマホやタブレットなどの専用アプリで簡単に一括管理を行えます。使いたいものを何通りかに組み合わせて利用できる機能もあり、家族のライフスタイルに合わせた活用もできます。

IoT住宅で実現できること

IoT住宅は、フルタイムなどで毎日忙しく働く家庭の"有能な右腕"として活躍してくれる、頼もしい存在です。ここでは、IoT住宅で実現できることを解説します。

1.防犯対策の強化

第一にあげられるのは、「防犯対策を強化」できることです。たとえば、スマホと連動してドアや窓の鍵の施錠を確認できます。万が一、かけ忘れを発見してもスマホで施錠できるので、あわてて帰宅する必要はありません。鍵のタイプもさまざまです。スマートキーやスマートロックなどで簡単に鍵の開け閉めができます。金属錠は不要となるので防犯性が高くなるのも良い点です。また、子どもの見守りにも活用できるので、仕事で帰宅が遅くなりがちな両親も安心です。子どもが帰宅すると玄関の様子を画像としてスマホに送信する機能、電気の使用量の変化から子どもの在宅を通知する機能など、さまざまな方法で子どもの様子を知らせてくれます。

2.家事負担の軽減・時間短縮

IoT住宅は、家事負担を軽減するとともに時間の短縮にもつながります。たとえば、「外出先からスマホでお風呂を沸かす」「エアコンのスイッチを入れる」などを帰宅前に済ますことができます。なかにはお風呂掃除をしてくれるシステムもあり、帰宅後すぐに疲れたからだを癒せます。スマートスピーカーを使えば、揚げ物をしていて手が離せないときでもエアコンや照明を点けられるので、効率良い家事につながります。

3.温度のバリアフリーを実現

HEMS(ヘムス)と呼ばれるIoTは、温度のバリアフリーを実現してくれます。HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で使うエネルギーを節約する管理システムです。たとえば、エアコンの運転に連動して送風機が自動運転することにより、リビングエアコンの暖かい空気を、ダクトを通じて洗面室など室温が低い部屋に送り込めます。
全館空調システムを取り入れている住宅では、家じゅうの空気をきれいな状態に保ってくれるので、個別に空調する必要がありません。開放的な広いリビングや、吹き抜けを作りたい家庭に適しています。

4.不在再配達の削減

インターネットショッピングが当たり前になったいま、宅配便の再配達の削減も社会的な課題のひとつになっています。その点、スマート宅配ポストや宅配ロッカーは、住宅のセキュリティや居住者のプライバシーを確保しながら、この課題の解決に貢献できます。在宅・不在に関係なく荷物の受け取りや発送ができるので、コロナ禍で人との接触が制限されるなかでも安心して宅配便を利用できることは、私たちにとってのメリットといえるでしょう。荷物が届くとスマホに通知が届く機能もあり、受け取りを忘れる心配もありません。

5.省エネに効果的

HEMSをスマートメーターと連動させれば、省エネ意識が高まります。スマートメーターのデータを基に、ピーク電力が目標値を超えるとスマホにお知らせが届くシステムがあり、どの電気機器をどのくらい使用していたのかも確認できるので、家庭の省エネ実施度を把握しやすくなります。無駄な電気を使わなくなるので、家計の節約にも効果的です。

これからのIoT住宅でさらに期待できるサービス

近年のわが国では、住宅分野においても積極的にIoTの導入が進んでいます。ハウスメーカーなどの事業者に「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」を支援し、IoTの活用による住宅の市場価値の向上を図っています。
ここでは、「取り組むべきテーマ」として挙げられている以下の4項目(※)について解説します。

1.高齢者・障がい者等の自立支援

高齢者や障がい者がプライバシーを保ちながら、自立的に日常生活を送ることのできる住宅の実現が期待されています。たとえば、「ドアが自動で開閉する」「移動がしやすい」「自力で入浴や排泄ができる」など、日常的な動作が難なく行える住まいです。また、災害時にも自分の判断で避難が行いやすくなるよう、災害情報の通知や避難のための経路確保、移動支援なども必要とされています。

2.充実した防犯対策

IoT住宅では、防犯対策も期待できます。居住者の個人情報やプライバシーを守りながら、高齢者をはじめとする居住者が安心して住める安全な住宅を目指しています。このほか、地域の防犯・防災情報を共有して、犯罪や災害などに備えるシステムも必要です。スマホと連動したドアや窓の施錠確認や見守りサービスが、安心して暮らせる住まいの助けになりそうです。

3.健康の維持・増進

高齢者等にとって重要なことのひとつは、プライバシーを侵害されることがなく、病気を早期に発見できることです。その点、IoTによって住宅にいながら血圧や体温、脈拍などのバイタルデータを計測でき、遠く離れた場所にいる医師が診断できるシステムが確立されれば、高齢者が健康で自立した生活を長く送れる可能性が高まります。

4.コミュニティの維持・形成

IoTを活用し、高齢者などが地域のサポートを受けられ、人とのつながりを得られる仕組みも求められています。たとえば、マンションの居住者同士のコミュニケーションが活発化されれば、高齢者や子育て世帯が孤立することも少なくなるでしょう。
また、遠方に暮らす家族同士でスケジュールや家族の情報を共有することにより、遠く離れていても家族のつながりを保つことができます。

まとめ

IoTの活用は、住まいに「快適」「便利」「安全」をもたらすことにつながります。さらには、日々忙しく過ごす現代人の暮らしを助ける手立てにもなり、子どもからお年寄りまで安心して暮らすための安全性も期待できます。
なんだか未来の話のようですが、スマートスピーカーなど部分的に導入している家庭も少なくありません。ひとつを体験できれば、その便利さにきっと気づくことができるはずです。

【エビデンス資料】

※国土交通省「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)