ホルムアルデヒドだけじゃない! シックハウス症候群を防いで快適な住環境をつくりましょう
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近年の日本では、省エネルギー化に向けて高気密・高断熱に優れた住宅が提供されるようになりました。その一方、人工建材や日用品から揮発する化学物質が室内に放散されることにより、住む人にさまざまな健康被害をもたらしています。
室内の汚染された空気を吸うことで、体調不良を引き起こすことを「シックハウス症候群」と言います。
この記事では、シックハウス症候群の症状や原因、健康被害を防ぐための対策について詳しく解説します。
シックハウス症候群とは
新しい住まいで、かぜ等に似た体調不良が続くようなら、それはシックハウス症候群かもしれません。
シックハウス症候群とは、新築やリフォームした住宅に入居した人に、「目がチカチカする」「喉が痛い」「めまいや吐き気、頭痛がする」などの症状が発生する健康被害の総称です。原因の一部として、建材や家具、日用品などから発散するホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンほか)などの揮発性の有機化合物が考えられています。
化学物質濃度の高い空間に長期間暮らしていると健康被害が起きるリスクが高まるとされており、注意が必要です。
シックハウス症候群の原因
シックハウス症候群にはさまざまな発症要因がありますが、代表的なものとして次の4つが挙げられます。
1.化学物質による空気汚染
建材や塗料などから「揮発性有機化合物」と呼ばれる化学物質が住宅内に放散され、空気汚染することにより、居住者のからだに「眼、鼻、喉、皮膚の刺激症状」「頭痛」「倦怠感」などの健康被害をもたらすことが分かっています。
厚生労働省では関係省庁と連携して、シックハウス対策の総合的な推進に取り組んでおり、室内空気中化学物質の室内濃度指針値について下記のとおりまとめています。
毒性の例としては、ホルムアルデヒドは「ヒト吸入曝露における鼻咽頭粘膜への刺激」、トルエンは「ヒト吸入曝露における神経行動機能及び生殖発生への影響」、キシレンは「ヒトにおける長期間職業曝露による中枢神経系への影響」などが挙げられています。(※)
厚生労働省ウェブサイト「室内空気中化学物質の室内濃度指針値について(◆平成31年01月17日薬生発第117001号) 」、東京都福祉保健局「厚生労働省による化学物質の室内濃度指針値」の情報を基に作表
2.室内の気密性が高く換気は少ない住まい
近年の住宅では高気密化が進み、化学物質による空気汚染が起こりやすくなりました。一般的な石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質の放出がシックハウス症候群の起因になるほか、たばこの煙に含まれた有害な化学物質もその原因とされています。
人に与える影響は個人差が大きく、同じ部屋にいても影響を受けない人もいれば、過剰に反応してしまう人もいるなどさまざまです。
仕事などで日中、外出している場合は思うように換気ができない場合もあります。
3.細菌、カビ、ダニが繁殖
湿度が高くなるとカビやダニが繁殖しやすい環境になります。カビの胞子を吸い続けていると集中力が低下し、アレルギーの発症やからだがだるくなるなどの健康被害が起きることもあります。
エアコンやソファ、じゅうたんなどの掃除が行き届いていない、または室内の風通しや換気がよくないと発生するリスクが高まります。
4.日常生活用品
化粧品やタバコ、芳香剤、防虫剤、暖房器具など日常生活用品から発生する化学物質もシックハウス症候群を引き起こす原因になります。
新しい家具やカーテン、じゅうたん、家具や床に塗るワックス類にも化学物質を発散するものがあり、注意が必要です。
国土交通省「快適で健康的な住宅で暮らすために|P5 化学物質の主な発生源」から転載
シックハウス症候群にならないためには
せっかく新築した住まい、またはリフォームした住まいに住んでいても、健康被害が出てしまっては一大事です。ここでは、シックハウス症候群を防ぐための対策を3つご紹介します。
1.カビ・ダニ対策をする
健康な生活を送るためには、まず、カビやダニについての対策が必要です。日常生活を送るうえで、以下6つの点に注意しましょう。
適切な換気をこころがける
定期的に窓を開けて新鮮な空気を入れましょう。換気は湿気の除去に大変有効で、カビ・ダニ対策に最適です。
日照を利用する
太陽光は乾燥だけでなく殺菌効果もあります。畳やじゅうたん、寝具などに日光干しを行って、常に乾いた状態にしておきましょう。室内にも多くの日照が入るようにして相対湿度を下げると、防カビ効果がさらに期待できます。
通風を確保
壁や窓ガラスは、どうしても温度が低くなり結露が起きやすい場所であるため、カビが発生しやすい環境になります。対策としては、結露を起こしやすい場所の通風を良くすることです。家具の裏側や押入の奥などは風通しが悪いので、付近の通風を確保するようにしましょう。
換気システムを活用する
現代の高気密住宅では強制換気システムが整っています。これを活用すると室内の空気と外気が入れ替わるため、結露やカビの増殖を少なくすることができます。
こまめに掃除する
ダニやダニの死がい、ふんは、アレルギーやぜんそく、皮膚炎、結膜炎などを発症させ、重い健康被害をもたらすこともあります。食べかすやフケなどもダニのエサになるため、日頃からこまめに掃除や洗濯をして、室内環境をきれいにしておくことを心がけましょう。
床材などの素材にも配慮
床材などの素材はじゅうたんや畳より、フローリングにしたほうがカビやダニが多く発生しません。しかしながら、床材や床塗料には化学物質を放散するものもあるので、使用する場合はからだへの影響が出にくい素材を注意して選ぶようにします。
じゅうたんは、敷き詰めるタイプではなく置き敷きにして、定期的にはずして清掃しましょう。
2.化学物質対策をする
快適で健康的な住宅をつくるにあたっては、事前の対策が肝心です。施工前には工務店や設計者と十分に話し合い、工事のチェックポイントを確認しておきましょう。
業者とシックハウス対策について話し合う
リフォーム前には、施工業者と入念に打ち合わせをすることが重要です。業者に任せっぱなしにするのではなく、自分の希望をしっかり伝えて材料選びをしましょう。
いまは多くのハウスメーカーがシックハウス対策をほどこした商品を扱っています。納得のいくまでシックハウス対策がされている建材や接着剤の使用について話し合うことが大切です。
リフォーム時のチェックポイント
リフォームなどをする際には、あらかじめ確認しておきたい事項がいくつかあります。下記にチェックポイントをまとめました。
▼リフォームするときのチェックポイント
工事のステップ |
確認事項 |
---|---|
設計時 |
|
施工時 |
|
完成後 |
|
厚生労働省「健康な日常生活を送るために|P8-9 シックハウス症候群にならないために―②」を参考に筆者作成
3.化学物質の発生源となるものを減らす
建材以外にもカーテンやじゅうたん、家具などから揮発する化学物質や、日常生活用品などによって、室内空気が汚染されています。また、化粧品やタバコ、芳香剤、防虫剤、暖房器具などの日常生活用品から発生する化学物質も原因のひとつです。
日常生活で化学物質の発生源となるものは、なるべく減らすように心がけましょう。
シックハウス症候群を防ぐ暮らしかた
シックハウス症候群にならないためには建材や化学製品の使用だけでなく、日々の暮らしかたも重要です。まずは、日常生活に「換気」と「発生源対策」を取り入れることが、ひとつの対策になります。
ここでは、シックハウス症候群にならないための暮らしかたを、チェックポイント形式でまとめました。ぜひお役立てください。
シックハウス症候群を防ぐ暮らしかたのチェックポイント
- 日頃から窓を開けて換気している
- 湯沸器やガスコンロを使用しているときは、換気扇を常時稼働させている
- 既設の換気システムは常に稼働させており、定期的に清掃もしている
- 洗面所等の換気扇は、常に稼働させている
- 冷暖房時には、換気扇を稼働させたり、窓を開けたりして換気している
- 掃除機の紙パックは、防菌加工や防虫剤が含まれている物を使用していない
- エアコンの清掃は定期的に行う
- タンス・押入の防虫剤は、種類、用量を確認して使用している
- 室内で殺虫剤を使用しない
- 室内で芳香剤を使用しない
- 床にワックス剤をあまり使用していない。使用時には、十分に換気している
- 化粧品や香水等を使用した後は、十分換気している
- プラモデルの組み立てなど、趣味等で使用する薬品(シンナー、塗料、接着剤等)を室内で使用していない
岡山県「シックハウス症候群を防ぐための自己点検チェックリスト(1)」を参考に筆者作成
まとめ
今回は「シックハウス症候群」の症状や原因、ならないための対策について詳しく解説しました。
シックハウス症候群を防ぐには、新築やリフォームの際に安全な材料を選ぶことが必要です。最近ではからだにやさしい建材も開発されているので、施工の際には専門業者と入念に打ち合わせすることをおすすめします。
また、その他の対策として室内の換気をこころがけるようにしましょう。近年の住宅は特に気密性が高いので、換気をこまめにすることが重要です。
大切なマイホームで健康的に暮らすために、建材だけでなく日常生活も改善していきましょう。
※ 厚生労働省「室内空気中化学物質の室内濃度指針値について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3866&dataType=1&pageNo=1
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