いずれ車いす生活になるかも? 知っておきたいリフォームに必要な準備と介護保険の適用

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高齢になると、老化による筋肉の衰えや転倒などをきっかけに車いす生活になることは珍しくありません。また、車いす生活に至らなくても、足を悪くして歩行が不自由になることも十分に考えられます。

こうした将来のために、リフォームにあたって今から考えておくべきことは何でしょうか。介護保険に関する話題とともにご紹介します。

身体の衰えは70代から顕著に

厚生労働省の調査によると、肢体不自由や内部障害を持つ人は、70歳以上が圧倒的に多く、その割合は10年間で大きく増加しています。

国土交通省「車椅子使用者用便房等の利用者に関する統計データの整理(令和2年10月)|P7 身体障害者手帳所持者数、年齢階級別」より転載

こうした障害が発端となって足腰に不自由が生じ、結果、車いす生活に移行する人は実際多いものです。また、高齢になると骨が弱り、一度の転倒が原因で大腿骨を骨折し、車いす生活を余儀なくされるケースも珍しくありません。ある程度の年齢になると、車いす生活はいつ始まってもおかしくないのです。

高齢者に適した住まいにするためのリフォーム

さて、車いすでの生活を念頭に置いたリフォームでは、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは具体的な例をご紹介します。

まず、住まいのバリアフリー化は外せません。床の段差をなくす、廊下やお風呂、トイレといった要所に手すりをつけるのはもちろんのこと、キッチン設備を使いやすい高さに調整する、ヒートショック対策として浴室やトイレに暖房を設置する、車いすのまま入れるトイレを備える、台所や洗面所のシンクを車いすに座ったまま利用できるようにする、などさまざまなことが考えられます。
このほか、たとえば室内で転倒したり動けなくなったりしたときに家族や外部サービスにSOSを出すための通報サービスはぜひとも検討したいところです。

また、他には以下のような設備の導入も考えられます。

  • 広い動線の確保(家具の数や配置)
  • 引き戸、折り戸を利用してドアの開閉の不便さをなくす
  • ドアノブの位置を下げる
  • 昇降機付きの階段、エレベーターの設置
  • (電動車いすを利用する場合)充電用スペースの確保

こうしたリフォームを考えるうえで間取りの変更も選択肢に挙がってくることでしょう。実のところ寝室とトイレは隣接させたほうが使い勝手が良いですし、居室、キッチン、お風呂、トイレは同じ階に配置するのが適切です。

このほか、リフォームだけでなく、家電についても考える必要があります。冷蔵庫の高いところに入れているものが取れない、テーブルが低くて車いすが入らない、となるとその不便さがストレスになります。

リフォームに関する介護保険や補助金

バリアフリーリフォームには、国や自治体の補助を受けられるものが多々あります。

介護保険

要支援1・2、要介護1以上の認定を受けた場合、住宅改修には介護保険が適用されます。改修費用の1割または2割負担、一戸あたり20万円を上限に認められており、具体的には、以下が対象になります(※1)。

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止、移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(フローリングなど)
  • 引き戸等への扉の取り替え
  • 洋式便器等への便器の取り替え
  • その他、改築にともなう補強や給排水設備工事(手すり設置のための壁の強化など)

このほか介護保険では、福祉用具の「貸与」を受けることもできます。リフォームに関わるものとしては手すりやスロープが挙げられます。

税制上の優遇

バリアフリー改修工事を実施した場合、工事内容の条件はありますが、50万円を超える費用がかかった場合に所得税額の控除を受けることができます。下記の要件のいずれかに該当することが条件です(※2)。

  • 50歳以上
  • 要介護または要支援の認定を受けている
  • 所得税法上の障害者である
  • 高齢者等である親族と同居を常況としている

経験しなければ分からないことも

車いすなど日常生活への支障は、経験してみないとわからないことも多くあります。
筆者は、ある病気で1カ月ほど入院したことがあります。2週間の入院で済んだのですが、それだけで脚が明らかに細くなり、歩行の不安定さを案じられたため、移動にあたって車いすの利用を勧められました。まったく歩けないというわけではありませんが、思っている以上にふらつく自分に驚きましたし、座っていると上腕にも力が入りにくくなります。車いすを押してもらいながら自分で点滴を引いていくことが想像以上に大変でした。

車いす生活になって、できないことが増えると精神的にも弱ってしまいます。できることの数をできるだけ減らさないためにもリフォームの工夫を行い、いつまでも住み心地の良い住宅づくりをいまのうちから見据えておきたいものです。

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