リフォームの適正な値段は? 見積り方法とチェックポイントを建築士が解説
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リフォームは規模や内容により、新築と同等、もしくはそれ以上の金額がかかる大きな買い物です。部分リフォームであっても、数十万円から費用がかかるため、金額と見積り内容は特に注意して確認したい部分でしょう。
しかし、建築工事の見積りは内容が専門的かつ複雑で、細かい部分までなかなか理解しにくいものです。そんな状況ながらも金額が妥当かどうかを判断しなければならないので、見積りを依頼することに対し、不安も大きいのではないでしょうか。
今回は、見積りの内容や金額のチェックをするためのポイントや注意点をご紹介します。
相見積りを取ってもOK!
建築工事に関わる見積りでは、金額の比較のために数社から相見積りを依頼しましょう。「実際に工事を依頼するかどうか分からないのに、現地調査や見積りをお願いするのは申し訳ない......」と思うかもしれませんが、相見積りをとることは一般的なことなので、遠慮しなくても大丈夫です。
相見積りをすることで金額の比較ができるだけでなく、各メーカーの提案も知ることができるので、「どういうリフォームができるのか」の視点も参考にできます。加えて、暴利や手抜き工事といった悪徳業者からの被害を防止することにもつながります。
見積りの頼みかた
(引用)戸建てリフォームの流れ 03現地調査 住友林業のリフォーム
ここでは、見積りを依頼するために、どんな準備をしておくとよいのかをご紹介します。
- 現地調査
- 予算
- リフォーム内容
- 建築確認申請書や設計図書(あれば)
リフォーム会社が見積りを出すためには、「どこをどうリフォームしたいのか」という概要が必要です。まずはリフォーム会社が現地(自宅等)に訪問し、リフォーム箇所を調査します。予算が決まっている場合は予算も伝えましょう。
リフォームでは、既設の構造や、状態がどうなっているかが見積内容に影響します。たとえば、同じシステムキッチンのリフォームであっても、木造と鉄筋コンクリート造では金額や工事内容が変わります。また、耐震改修では、もとの耐震力がどの程度あるのかによっても違いが出ます。
耐震性能や住宅の詳しい構造は、建築図面である程度は確認できるので、建築確認申請書や設計図面をご自宅で保管してないかどうか、ぜひ探してみてください。
どの程度の希望、要望を出せばよいか
リフォーム箇所
リフォームがすぐ必要な箇所はもちろん、使い勝手に問題がある部分や、気になる部分についても、まずは相談してみることをおすすめします。のちのち個別でリフォームするよりは、まとめてリフォームしてしまうほうが全体的な費用が抑えられることもあるため、見積り金額を見てからどこをリフォームするか選ぶのも良いでしょう。
以前と同等の水準への補修か、品質向上か
リフォームの金額を決めるうえで重要なポイントのひとつが、グレードです。これまでと同等程度に補修するか、使い勝手や品質をグレードアップさせるかは、金額だけでなく生活のしやすさにも影響します。しかし、従前と同等程度で問題がない場合や、反対に使い勝手が変わると困るケース(視覚障害者や高齢家族、子どもが使いにくくなってしまうなど)もあるため、事前に家族で相談しましょう。
バリアフリーが必要か
高齢者が生活するためには、手すりや段差解消などの計画も必要です。また、足腰の状態や病気、障害などにより、車いすなどの福祉用具を使う場合はそれに合わせた設計が必要です。
電気かガスか
ガスからガスへ、電気から電気へのリフォームと比べて、ガスから電気、電気からガスへのリフォームは工事費用が高くなる傾向があります。とはいえ、使い勝手やランニングコストにも大きく影響する部分でもあるため、今だけでなく将来的にどちらが良いかを家族で相談しましょう。
現在の住まいに今後どのくらい居住したいか
将来どれだけの年数居住するかによって、材料や設備にどれだけの耐久年数が必要なのか変わってきます。また、子どもの独立後のこと、高齢になったときの設備のことなど、家族の将来を見据えた計画も必要です。
見積りでチェックしておきたい項目
(引用)フリー画像 写真AC
概算の時点ではまだ、リフォームの必要がない項目が含まれており、材料の設定も中~上のグレードで設定されているケースがほとんどです。そのため、予算よりも高い金額が算出されることも多いものです。そこから打ち合わせを重ねて不要な項目を削り、必要に合わせて材料や設備のグレードを調整し、予算に合わせていきます。
ここでは、見積りでチェックするべきポイントについてご紹介します。
リフォーム箇所
必要な場所が確実に含まれているか、または不要な箇所が含まれていないかを確認します。この場合、リフォーム箇所だけでなく、面積などのリフォーム範囲にも間違いがないかを確認しましょう。
リフォーム内容
相見積りをする場合、システムキッチンやユニットバスなどは、同じ製品もしくは同等品に統一すると金額の比較がしやすくなります。リフォームの要望や他社の見積りと違うところがないか、見積り項目をすり合わせて確認しましょう。相見積りで、他社との見積内容に違いがないかを確認するポイントは以下の3つです。
- 材料、設備のグレード
- 設備のオプション
- 数量
また、取付作業費などの経費はリフォーム会社によって金額に違いが出ます。その他、不明な項目がある場合は確認するようにしましょう。
保証やメンテナンスなどのアフターサービス
見積書には記載されませんが、保証内容やアフターサービスの内容も比較しましょう。リフォーム会社によっては、施工完了後の一定期間内に生じた不具合についての保証があったり、定期巡回などのアフターサービスを行ったりするメーカーもあります。同じ工事金額でも、保証やアフターメンテナンスの内容に差があるようなら、こちらも重要な判断材料のひとつになるでしょう。
追加工事の発生が考えられる項目の確認(見積書には記載されない項目)
耐震改修などは、壁の一部を撤去して内部の柱や基礎の状態を確認してみないと正確な工事費用がわからないこともあります。築年数が古ければ古いほど、柱や土台の腐食が考えられるため、補修などの追加工事が発生するかもしれません。相見積りや概算見積りの時点では、こうした見えない部分の補修費用などは含まれていないことも多いため、金額の大幅な増減が生じる部分の有無だけでも、確認しておくとよいでしょう。
リフォームの見積りでの注意点
(引用)戸建てリフォームの流れ 04お見積り・プランのご確認 住友林業のリフォーム
相見積りはあくまでも「概算」ですから、契約金額に直結するものではありません。打ち合わせや相談を重ねて、リフォーム内容と工事金額をすり合わせていきます。
最初の見積りで「金額がちょっと高いかな」と思うところがあったとしても、リフォーム内容を比較してみると、オプションやグレードの差額ということもあるため、金額ばかりに注目しないようにしましょう。また、概算見積りの依頼は無料の場合が多いのですが、地質調査や耐震診断、古民家鑑定など、専門業者の診断を必要とする場合は、調査料などの費用が発生します。
このように料金が発生する調査がある場合には、金額を確認したうえでお願いするようにしましょう。
まとめ
(引用)戸建てリフォームの流れ 05ご契約 住友林業のリフォーム
見積書は専門的な内容をはじめ、なじみのない製品名も多く、金額の妥当性はもちろん内容自体がそもそも分かりにくいものです。内訳に記載のある製品名などは、私たち建築設計士でさえ「これはどういうものですか?」と業者に確認することもよくあります。
見積書について、分からないことを聞くことは、いちばん大切なことです。手間かけさせて申し訳ないと思ったり、遠慮したりしなくても大丈夫なので、不安な部分はしっかり確認するようにしましょう。また、見積り内容についてどれだけていねいに対応してくれるかも、リフォーム業者選びの大切な判断材料です。
信頼できるリフォーム会社を見つけるためにも、相見積りを取ることは大切です。リフォーム計画は焦らずに進め、理想の住まいの完成を目指しましょう。
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