ファイナンシャル・プランナー に学ぶ リフォームの補助金

公開日: 更新日:

これからリフォームを考える方がもっとも気になると言っていい、補助金や減税の制度。「リフォームは、終の棲家への住宅購入のつもりで行いましょう」とファイナンシャル・プランナーの柴沼直美さんが言うとおり、リフォームは想像以上に費用がかかるからこそ、しっかり学んで制度をフル活用したいもの。今回はそんな制度のなかから"補助金"についてご紹介します。

今回の押さえポイント

  1. リフォームにはお金がかかる! 余裕のある資金計画を。
  2. 補助金の制度は厳しい! 条件を理解して計画を綿密に。
  3. 申請はプロに任せた方が無難。信頼できる業者を選ぼう!

【柴沼さんコメント文】

リフォームには、
①子供が巣立った後のシニア世代が残る人生をより快適に過ごす
②建物の消耗を早いうちから手当てして価値の低下を抑える
③より長く住み続けるための"2回目の住宅購入"
という役割があります。少子高齢化によって、シニアがより長く住めるよう、住宅リフォームの重要性はますます高まっているんですよ。

リフォーム費用は思いのほか費用がかかります!

私たち消費者は、リフォームに対して「怪我をしたときの応急手当」のようなイメージを持ちがちですが、実際は違います。水回りにしても、バリアフリー化にしても建物の土台から手を加えるため、最初にイメージしていた費用で収まったというケースは、実は稀なんです。ケースバイケースですが、マンションの場合トイレ単独で約20万円~、台所であれば約100万円~、関連個所もまとめてというなら数百万~数千万円以上という出費を覚悟する必要があります。(設備や素材によって値段は上下いたします。)

台所のリフォームは100万円~
(設備や素材によって値段は上下しますので目安と考えましょう。)

トイレのリフォームは20万円~
(設備や素材によって値段は上下しますので目安と考えましょう。)

リフォームに関する補助金とは?

そこで、リフォームにかかる費用を支援してくれる制度のひとつが、補助金です。国や自治体によっても条件や制度が異なりますが、リフォーム関連の補助金の目的は大きく2つに分かれています。
1つ目は、バリアフリー化。要支援・要介護状態などになった人が暮らしやすいよう、トイレや廊下に手すりをつけたり、床の段差をなくしたりするリフォームです。
2つ目は『長期優良住宅』のためのリフォームです。具体的は省エネのために断熱工事を行ったり、耐震の強化を行ったりするなど、より長く、より良好な状態で住むことができるようにする改修工事です。
このような目的があったうえで条件を満たせば、国または地方自治体から補助金を受け取ることができるのです。

リフォーム補助金を受け取るための条件

ここでいくつか、補助金を受けるための条件をご紹介しましょう。
一つめは、

a.一定の施工者に発注(工事請負契約)をしてリフォームし、所定の期間に契約・着工し、引き渡しを受けなければならない

つまり、仮に自分自身で工事をしても、その際にかかった費用を補助金として受け取ることはできないのです。また、所定の機関は、申請にかかる期間も決められているので、注意したいところです。

ほかにもたくさんの条件があります。

b.補助金等を除く標準的工事費が50万円を超えること
c.リフォーム後の床面積が登記簿上50㎡以上あること
d.リフォームする人の合計所得が3,000万円以下であること
e.リフォーム後、2021年12月末までに居住を開始すること

これら複雑な条件をすべてクリアしないと補助金を得ることはできないのです。

ここで注意しなければならないのは、補助金を受け取るための条件が非常に厳格で、柔軟には対応してもらえないということです。条件を検討し、手続きの煩雑さを考えた結果、申請を見送る方もいます。また、補助金をあてにしてリフォームをしたものの、条件に合致しないために補助を受けられなかったというケースでは、思わぬ費用増で家計を圧迫することもあるのです。

ちなみに、補助金は発行申請して受理された後に振り込まれるというシステムのため、初期の支払い分は自分で用意しなければなりません。補助金分をあらかじめ控除して支払うことはできないので、注意してくださいね。

補助金は自分からやってこない! 初期の計画を綿密に。

実際に、いくらもらえるの?

気になるのは、「いくらもらえるのか?」という点ですよね。
例えば住宅のエコリフォームでは、合計金額が5万円以上かつ、手摺の設置や廊下幅の拡張、耐震改修工事などを行った場合に、最大で30万円から45万円の補助金を受け取ることができます。
また、住宅のバリアフリー工事では、上限20万円で工事金額の70~90%の補助金を受け取ることができます。ただし、補助金の対象となるのは、自治体から要支援、要介護の認定を受けた方が住んでいる場合のみ。また、申請の際、ケアマネジャーなどから「工事の必要性の理由書」を作成してもらう必要があります。また、工事費用が上限の20万円に満たなかった場合は、差額分を次回のリフォーム工事に充当することもできます。ただし、介護保険は各市区町村といった地方自治体の運営事業のため、審査書類が違うことがあり、各自治体の窓口で確認する必要があります。

<補助金の要件と補助金内容>

 

リフォーム内容

補助金内容

バリアフリー

通路・出入口の拡張・階段勾配の緩和、床段差の解消・手摺設置などの工事

※50歳以上の人か、要介護・要支援の認定を受けている人、障がい者に該当する親族または65歳以上の親族と同居する人が対象

対象工事の9割、補助金限度180,000円、200,000円、500,000円など(自治体による)

省エネ

すべての居室の窓、床・壁・天井の断熱工事

最大1戸あたり120万円、100万円等(自治体による)

耐震

1981年5月31日以前に建てられた耐震基準に適合しない住宅への工事

補助割合2分の1等、補助金限度額300,000円、600,000円等(自治体による)
耐震診断、耐震改修設計・工事によって異なる。(ともに上限あり)

三世代同居

キッチン、浴室、トイレ、玄関のうち1つ以上を増設し、結果的にいずれか2つ以上の工事

リフォーム内容によって異なる(いずれも上限あり)

申請の手続きは煩雑。プロに任せたほうが確実

申請のタイミングは、各リフォームの工事内容や補助金を申請する先によって異なります。補助金は手続きの申請手順や申請事項・工事内容などの条件が合致していなければなりません。私たち消費者が手数料を節約するつもりで申請手続きに取り組んだ結果、条件がクリアできなかったり、書類の漏れがあったり、申請期間がすぎてしまったりといった残念な理由で補助金をもらえないケースが頻発しています。
また、工事請負業者や仲介業者が代理で行うこともできますが、不慣れな業者の場合スムーズにいかないことも多いので、リフォーム会社や不動産会社を見極めることも大切なのです。

信頼できる業者を見つけて、補助金申請をスムーズに!