介護リフォーム時に利用可能な補助金・制度を詳しく解説

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将来の介護を見据え、自宅のバリアフリーリフォームを検討されている方が利用できる補助金制度があります。2022年10月現在、『こどもみらい住宅支援事業』と『介護保険における補助金』の2つが利用できます。

介護生活が始まると、介護用品代やデイサービス利用料金など金銭的負担が増えていきます。制度を賢く利用することで、金銭負担を少しでも軽くしましょう。
この記事では、これらの制度について解説します。

バリアフリーリフォームに利用可能「こどもみらい住宅支援事業」

この制度は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、高い省エネ効果を持つ新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等の補助を目的としていますが、これらの世帯に当てはまらなくとも、一定の条件を満たすリフォームであれば、1戸あたり30万円を上限とした補助金を申請することができます。

支給の条件は、大きく2つです。

  • こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を締結したリフォーム工事であること
  • リフォームする住宅の所有者等であること

支給の対象となるリフォームは、「開口部の断熱リフォーム」「外壁、屋根・天井の断熱リフォーム」「床の断熱リフォーム」「エコ住宅設備の設置」の4つですが、これらいずれかのリフォームと同時に、「バリアフリーリフォーム」を行えば、補助の対象となります。(※1)

なお、子育て世帯、若者夫婦世帯でなくとも下記の条件をすべて満たせば、補助上限額が45万円に引き上げられます。

  • 不動産売買契約の締結時に完成から1年以上経過している住宅である
  • 不動産売買契約の締結が、2021年11月26日以降である
  • 売買代金が100万円(税込)以上である
  • リフォーム工事の工事請負契約の締結が、不動産売買契約の締結から3カ月以内である
  • 購入する住宅が「安心R住宅」である

手続きは、「こどもみらい住宅事業者」としてあらかじめ登録された新築住宅の建築または販売事業者、リフォーム工事の施工業者が行います。支給された補助金は、住宅購入や住宅改修契約の代金に充当する方法か現金で工事発注者に還元されます。

介護保険による補助金制度

介護保険の補助制度のひとつとして、要支援、要介護認定を受けている人が、自宅で安全に生活できる環境を整えるためのリフォームを対象に補助金が支給されます。
まず、支給の条件は下記のとおりです。

  • 要介護1~5もしくは要支援1~2の認定を受けている
  • 支給対象となる住宅改修の施工
  • 介護保険被保険者証に記されている住所地の住宅

支給対象となるリフォームは、以下の6種類です。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消(※)
  • 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(※)
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への取替え
  • その他上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
(※)玄関から道路までの屋外工事も支給可能

補助金は、申請者の介護保険利用者負担割合に応じ、リフォームにかかった費用の7~9割が支給されます。最大支給額は、「要支援」「要介護」区分にかかわらず、支給限度基準額20万円の9割(18万円)です。
ひとりにつき、生涯20万円までが支給限度基準額ですが、転居した場合や介護認定が3段階以上重くなった場合は、20万円までの支給限度基準額が再度新たに設定されます。

利用にあたっては、担当のケアマネジャーに相談のうえ、改修が必要な理由書、工事費見積書、リフォーム前の状況がわかる写真等を添えて、自治体に申請する必要があります。工事の前の申請が原則なので注意しましょう。なお、工事完成後は、領収書やリフォーム後の状況がわかる写真等の提出が必要です。

自治体によっては、独自で介護リフォームの補助金制度を設けていることがあります。介護認定されていなくても利用できるものがあれば、介護保険による助成と併用できないケースもあるため、利用できるかどうかはしっかり確認するようにしましょう。

介護リフォームを行うときの注意点

消費者庁によると、65歳以上の高齢者の転倒事故は、下記が原因で起こっているそうです。具体的イメージとして、「カーペットで滑る」「段差につまずく」「階段の上り下りで足元がぐらつく」「ベッドから起き上がるときに転ぶ」など、ちょっとしたことがその原因として考えられそうです。

消費者庁News Release 令和2年10月8日「10(てん)月10(とう)日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!

ご紹介したいずれの補助金制度も、こうした転倒事故を未然に防止するためのバリアフリー工事が対象です。
介護リフォームを検討する際には、介護士やケアマネジャーなどに相談してみると良いでしょう。介護者だけでなく介助者の身体的負担やストレスが軽減される方法や、介護者に自立を促せるリフォームなど、専門家の視点からアドバイスをもらえるはずです。

まとめ

介護リフォームは、要支援・要介護状態にある方が、自宅で安心して生活できる環境を整えるための改修工事です。高齢者の事故の多くは、自宅内での転倒、転落です。介護する人、される人の両方にとって心身ともに安心できる住まいとなるよう専門家の意見も交えながらじっくりプランニングをしましょう。

また、最初に紹介した「こどもみらい住宅支援事業」は、環境に配慮した省エネ住宅の拡充がひとつの目的になっていますが、断熱リフォームもまた、夏の熱中症や冬のヒートショック現象からからだを守ることのできる、"温度のバリアフリーリフォーム"です。光熱費のコストを抑えられるといったメリットも魅力です。補助金をうまく活用し、快適かつ安心な暮らしをぜひ実現してください。

※1 国土交通省「こどもみらい住宅支援事業

※2 厚生労働省「介護保険における住宅改修