暮らしの豆知識

住まいのリノベーションをするなら、水まわりのバリアフリーも同時に検討しよう

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家族の自宅介護が始まるときに考えておきたい、水まわりのバリアフリーについて解説します。

50代60代になると、両親や配偶者など家族の介護が始まるという方が増えてきます。
厚生労働省の調査(※1)によると、要介護者と同居している介護者(日常生活の援助などをする人)の年齢層は、約2割が50代、約3割が60代です。

自宅介護では、玄関や階段などのリノベーションが必要となることが多いですが、不便な水まわりも改善しておいたほうが良い場所です。特に1日に数回必ず使うトイレや、転倒事故の多い浴室をバリアフリーにしておくことで、安心・快適に暮らせる住まいとなります。

今回は、家族の自宅介護が始まるときに考えておきたい、水まわりのバリアフリーについて解説します。

住まいはデザインだけではなく機能性も重視を

元気なうちは、問題なく生活できていた住宅。
しかし、高齢になったり介護が始まったりすると、使いづらさを感じるようになるケースも多く見られます。

「身体機能が低下すると今の家では問題がある」と感じる高齢者は半数以上

内閣府が平成27年度に行った調査(※2)によると、現在住んでいる住宅の環境は、身体機能が低下して車いすや介助者が必要になったとした場合に、60歳以上男女の6割超が「多少問題がある」「非常に問題がある」と答えています。

現在の家の問題の第3位が「水まわりなどの設備」

介護をみすえたときに、どのようなリノベーションが必要となってくるのでしょうか。これも同じく、内閣府の調査(※2)から読み取ることができます。

Q.現在住んでいる住宅の問題点【複数回答】

第1位:住まいが古くなりいたんでいる(17.3%)

第2位:住宅の構造(段差や階段)や造りが高齢者には使いにくい(7.6%)

第3位:台所、便所、浴室などの設備が高齢者には使いにくい(7.3%)

キッチンやトイレ、お風呂などの設備が使いにくいという意見が、第3位となっています。
介護にそなえる意味でも、水回りのリノベーションは重要といえるでしょう。

60代70代になってわかる「住み心地の良さ」とは

なるべく自力で生活できる

介護を受ける人が、なるべく自分の力でも生活できること。これは、介護において住み心地の良い住まいの基本です。例えば、段差をなくす、トイレを使いやすくするなどのバリアフリー化で、介護を受ける人が介護者の手を借りずに行動しやすくなります。
介護を受ける人が、自分でできることは自分で行うようにすることは、体力・活力の低下を防ぎ、精神的にも自信を持つことにつながります。

介護者の負担が少ないこと

住まいは、介助をする人にとっても住み心地が良いことは大切です。
介護者には、体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。元気なうちは問題なく使えていた設備でも、体力的な負担が増えると急に不便に感じられることもあります。

古い設備や使い勝手の悪い設備は、改修する良い機会です。なるべく介護者のストレスや疲労が少なく済むようにしましょう。

リノベーションの具体的なポイントについて

トイレのバリアフリー

トイレでの排泄はデリケートな部分なので、なるべく介護を受ける人が自分の力で利用できるようにしましょう。

・寝室の近くに

高齢になると夜間トイレに起きることもあるため、トイレの場所は寝室の近くが適しています。昼間生活するリビング等のスペースからも近いと、なお介助しやすいでしょう。

・広いスペースの確保

トイレ内のスペースが狭いと、便器に腰掛けたり立ったりする動作がしにくくなります。車いすが入れる広いスペースをとっておくと楽に動くことができ、介助が必要になってからも無理なく動けます。

車椅子になったときのことを考え、入ってから向きを大きく変えずに座れる向きに便座を設置しておくことも大切です。

・出入りしやすくする

トイレの出入り口は十分な幅をとると、車椅子や介助者が必要になったときに使いやすいです。廊下との間に段差が生じないようにし、ドアも開閉しやすい引き戸などにしておくと良いでしょう。

・手すりの設置

手すりにつかまると、足腰に負担をかけず便器に座ったり立ち上がったりすることができます。また、便座を低すぎず座りやすい高さのものにしておくことも大切です。

浴室のバリアフリー

浴室はすべって転倒するなどの事故も多い場所です。転倒による骨折は寝たきりの原因にもなります。足腰が弱っても安全に使えるようにしておくと安心です。

完全に介助者が必要なのか、車椅子を使っているのか、なんとか自力でも入浴できるのか、身体の状態によっても必要となる改修内容は変わってきます。
現在の状況だけでなく、将来的な状況を考慮してリノベーションしておくと良いでしょう。

・広いスペースの確保

介助者が必要となったときのことを考え、浴室や脱衣所はゆったりとした広いスペースをとると良いでしょう。要介護度が高い場合、手すりなどの対応も必要です。

・すべりにくい床

浴室の床は、濡れてもすべらない床材に変えたり、滑り止めマットを取り付けたりすると安心です。また、床が冷たくならない素材のものにしておくと、ヒートショックなどの健康被害も防ぐことができます。
すべらない床や冷たくない床は、要介護者だけでなく、家族の入浴も安全で快適にしてくれます。

・浴槽に入りやすい

通常の浴槽につかるときには、足を大きく上げて浴槽をまたがなければなりません。高齢になるとまたぐときにバランスを崩し、大きく転倒する危険性があります。

浴槽の床を上げたり、低い浴槽に変更したりといった改修で、無理せず浴槽につかれるようになります。浴槽から立ち上がりやすいように、手すりを取り付けておくのも安心です。

浴槽を低くすることは、介助者の負担を減らすことにもなります。

・脱衣所と浴室の間の段差を解消

一般的に、浴室から外に水が流れていかないよう、脱衣所と浴室の間には段差が設けられています。車椅子を使用する場合だけでなく、介助者との入浴や1人での入浴時も、フラット化した方が安全です。

フラット対応のシステムバスに変えるほか、浴室にすのこを敷いて床の高さを上げることで段差を解消する方法もあります。

補助金の利用もおすすめ

住まいのリノベーションには、大きなお金がかかります。
国や自治体等では、介護リフォームに対して補助金の給付が受けられる制度も設けられているので、賢く活用しましょう。

介護保険にも住宅改修の制度があります

介護保険では、介護リフォームの補助金を受けられる制度が用意されています。
介護保険を利用するためには、自治体から「要介護」「要支援」などの介護認定を受ける必要があります。
在宅で生活し、住宅改修が必要な人に対しては、20万円までの住宅改修費の9割までを上限として支給されます。

介護保険が適用となる改修

  1. 手すりの取付け
  2. 段差の解消
  3. 滑りの防止、移動の円滑化等のための、床や通路面の材料変更
  4. 引き戸等への扉の取替え
  5. 洋式便器等への便器の取替え
  6. その他1〜5までの改修に付帯して必要となる改修

介護保険住宅改修制度を活用するなら工事前に手続きを

介護保険による介護リフォーム補助金制度を使う場合、工事前の申請手続きが必要です。
また、介護保険とは別に、助成金などを支給している自治体もあります。
住まいのバリアフリーを検討しているなら、まずは住宅改修についてケアマネジャーやリフォーム会社に相談してみましょう。

まとめ

水まわりをはじめとする住宅の使いづらい部分をバリアフリー化すると、介護を受ける人も介助する人もストレスなく日常生活を送ることができます。
身の回りの方の介護が決まっているなら、その方とも相談しながらプランニングすると良いでしょう。
介護リノベーションは、介護者が介護しやすくなるだけでなく、将来介護を必要とする人にとっても暮らしやすい家となります。
自分の家はどうできるのか? など興味がございましたらお近くの住友林業ホームテックにお尋ねください。

出典

※1 厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html

※2 内閣府「第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」(平成27年度)
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h27/gaiyo/index.html