インテリアのコーディネートをプロに依頼するには? 相場、注意点を詳しく解説

公開日: 更新日:

室内のリフォームは、水まわりや居室で多く行われており、設備の取り換えや補修などがメインです。壁に穴をあけたり壁を撤去したりすることも多く、ほとんどの場合で補修などの作業もともないます。

国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書|P.240 問6 リフォームの部位」の情報を基に作図

一般住宅では、設計士や内装事業者が内装の仕上げを決め、家主や家族が家具の購入をするため、インテリアコーディネーターにプランニングを依頼する機会は少ないでしょう。しかし、家具店や生活雑貨量販店などでは、プロのコーディネーターが厳選してレイアウトした家具などが並べられており、展示されたお部屋やインテリアに憧れを持つ人も多いのではないでしょうか。

今回は、知っているようで実はあまり知られていない、インテリアコーディネーターの役割、依頼の仕方や依頼時の注意点について紹介します。

インテリアコーディネーターの役割

(引用)リフォーム事例  住友林業のリフォーム

インテリアコーディネーターは、インテリアコーディネーションの知識を持ち、その役割を果たす、専門の資格者です。家具や内装材に関しての基礎知識だけでなく、建築構造や造作方法、内装仕上げの機能や工法に関する建築の知識も持っています。さらに、換気や採光、騒音などの室内環境、電気・給排水、空調などの住宅設備に関する知識もあり、より良い住環境を提案するスペシャリストなのです。
ではインテリアコーディネーターは具体的にどんなことをしてくれるのでしょうか。

家具選びとコーディネートの相談

ひとつは、住まいやお部屋に合った家具を選んで、コーディネートしてくれることです。現地や現場には入らず、現在のお部屋の写真などをもとにコーディネートの提案をしてもらうことも可能です。「お気に入りの家具に合わせて内装を変えたい」という要望にも、もちろん応えてくれます。

内装のプランニング

内装のプランニングを自分でやろうと思うと、実はかなりの時間と手間がかかるものです。居室の内装材は、壁・天井のクロス、まわり縁、腰壁、巾木、床材、カーペット類、建具、カーテン、照明器具の選定や配置、コンセントやスイッチなど、さまざまな建材が使われています。そしてそれらには、それぞれ辞典ほどの分厚さのカタログが存在しています。

選ぶのは色だけでなく、素材や模様、機能など、さまざまな種類があり、予算もあるなかで、それらの組み合わせまで考えていくのは、途方もない労力がかかります。その点、プロのコーディネーターはさまざまな建材に精通しており、状況に応じてスピーディに適切なコーディネートをしてくれるのです。

内装事業者の手配

実際に内装のリフォームを行う場合、施工事業者の手配をしなくてはなりません。しかし、インテリアコーディネーターに依頼すれば、施工事業者の選定や見積もりの整合性の確認、交渉までも行ってくれます。ただし、遠方のインテリアコーディネーターにオンライン相談などで依頼している場合は、対象地域の施工事業者を知らないため、手配できないケースもあります。

家具類の発注や組み立て・配置

金額や依頼内容によっては、家具の組み立て、配置までお願いすることも可能です。特に構造が複雑な家具や大型の家具は、組み立てが大変だったり、技術を要する場合があったりするため、依頼することのメリットは大きいでしょう。また、装飾品や美術品の配置なども細かな調整をしてもらえるほか、家具類の不具合などにもすぐ対応してもらえます。

コーディネートの依頼先と相場

(引用)リフォーム事例  住友林業のリフォーム

ここでは、実際インテリアコーディネーターに依頼するにあたっての問い合わせ窓口や、料金の相場についてお話します。

インテリア関連会社

インテリアコーディネートを専門に請け負っている会社は実はあまり多くありません。一般的には、建築やデザイン、インテリア関連の会社などが業務のひとつとしてインテリアコーディネートを請け負っています。
料金システムは会社によりますが、一般的には時間や内容、お部屋の広さによって設定されています。コーディネートの相談やプランニングまでなら5万円程度の金額ですが、家具の購入手配や組み立て、実際のお部屋への設置までを依頼する場合には10万円程度の予算をみておくとよいでしょう。もちろん家具の購入費や内装工事の費用は別途必要です。

家具店(購入、レンタル)

家具店では、購入したい家具のレイアウトやコーディネートの相談を請け負っているところも多いようです。たとえば、「ソファセットを購入したいけど、お部屋に入るかな? 狭くないかな?」といったような心配は、家具購入につきものです。そうした問題を解決してくれるのが、家具店でのコーディネート相談です。簡単な相談から実際のお部屋を参考にしたものまで、購入額や相談時間に応じてプランニングをしてくれます。相談や簡単なプランニングであれば無料で対応してくれるところも多いので、こうした部分もお店選びの基準になるでしょう。
実際のお部屋での組み立てや配置には追加費用がかかることもあります。コーディネートをしてもらえる範囲がどこまでなのか、またトータルの金額がいくらになるのかを、しっかり確認しておきましょう。

個人

ウェブサイトやブログ、SNS経由でコーディネートを請け負っている、個人のコーディネーターもいます。オンライン相談などで比較的気軽に相談できるため、非対面で完結できる内容の依頼であれば、遠方からでもOKな点はメリットのひとつといえるでしょう。
個人のコーディネーターは、相場(5~10万円)と同等の価格、もしくはそれよりも低価格で依頼できます。ただし、人気のコーディネーターは依頼が相場よりも割高になることも。個人差はかなり大きいといえます。

インテリアコーディネーターに依頼するときの注意点

インテリアコーディネーターは「最先端で、オシャレなインテリアを実現してくれる」というイメージがありますが、実際は少し違います。「インテリアコーディネーターとは、住まい手にとって快適な住空間を作るために適切な提言・助言を行う専門職」という定義(※)があります。つまり、インテリアコーディネーターの役割は、「快適な住環境をつくること」が大前提であり、そのあとに「オシャレ」「センスがいい」という要素が附随してくるものなのです。そのため、インテリアコーディネーターの仕事は、建築や環境などあらゆる知識や情報が必要になります。しかし、実際のところ、住宅に関する知識がない無資格者でもインテリアコーディネートを行うことは可能であり、その人がコーディネートの仕事を請け負ったとしても罰則はありません。

事実、有資格者で経験が浅いインテリアコーディネーターより、無資格だけど経験豊富なベテランのほうが良いプランニングをしてくれる、ということもありえます。しかし、無資格者の場合は、住宅の構造や住環境などの知識が浅いため、住まいの環境や住宅の構造に悪影響を及ぼすコーディネートをしてしまうおそれがあります。依頼はしたものの、プランに満足できない場合や、住宅へのダメージ、費用面などで不安がある場合は、工事の依頼や家具の購入をする前に、別のインテリアコーディネーターや内装事業者に相談するとよいでしょう。

まとめ

(引用)リフォーム事例  住友林業のリフォーム

現在はインターネットやSNSで、プロから一般の人まで、さまざまなコーディネートの事例を調べることができます。インテリアに特化した専用サイトやアプリもあるので、たくさんの事例のなかからお気に入りのインテリアやコーディネートを探すことも可能です。これらを参考に自分でコーディネートしてみるのもよいですね。

しかし、あえてプロのインテリアコーディネーターに依頼することのメリットは、やはり「住環境」を大切にしてコーディネートをしてもらえるところです。環境や住む人、そして住宅に優しいインテリアは、見た目の満足度だけでなく、耐久性の高さや快適さにもつながります。
家族の健康や、より良い住環境、長寿命の住宅を目指すのであれば、インテリアのプロに頼ることもぜひ考えてみてください。