リフォーム前に知っておきたい イメージに合った壁紙の選び方と貼り替えるときの注意点

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壁紙を変えるとお部屋の印象がガラッと変わります。室内環境にもよりますが、筆者の建築士としての経験上、壁紙の寿命は5〜10年程度です。傷みが目立ってきたら貼り替えを検討しましょう。

どのような壁紙を選んで良いかわからないという方のために、本記事では壁紙の選び方や注意点、お手入れの仕方を解説します。壁紙の性能自体も進歩しているので、色や柄などデザイン以外に、住環境の向上も叶えられるかもしれません。ぜひ参考にしていただければ幸いです。

壁紙の選び方

壁紙を選ぶためには下準備が必要です。ポイントを押さえて、理想のお部屋を実現させましょう。ここでは、いくつか代表的な壁紙メーカーもご紹介します。海外メーカーや量産していない壁紙は届くのに時間がかかることもあるため、リフォームスケジュールと相談しつつ選んでいきましょう。

どんな部屋にしたいのか、イメージをふくらませましょう

一番大切なのは、どのようなお部屋にしたいのか、具体的にイメージすることです。ライフスタイルや好みに合わせてどんな雰囲気のお部屋にするのか、言葉や写真で説明できるようにしましょう。
お部屋全体のリフォームもする場合、壁紙選びは間取りが決まった段階でスタートすることが多いでしょう。各メーカーのカタログはかなり分厚く何十冊もあるため、インターネットを利用したデジタルカタログを利用するのがおすすめです。実際の部屋の間取りを取り込んでシミュレーションできるカタログもあり、自宅で手軽に検討することが可能です。

壁紙メーカーを調べましょう

壁紙メーカーはそれぞれ得意とする自社製品を持っています。キャラクターとコラボレーションした壁紙や、自然素材にこだわった壁紙、抗ウイルス性の機能性壁紙など、多様な種類があります。

【主要壁紙メーカー】
  • サンゲツ
  • リリカラ
  • シンコール
  • トキワ
  • ルノン
  • 東リ
  • トミタ
  • イケダコーポレーション
  • 三洋 など

業界最大手である「サンゲツ」は製品開発も活発に行っており、消臭や防菌など機能性壁紙のラインナップも豊富です。また、「シンコール」はおしゃれな柄が多く、子ども部屋におすすめのキャラクター柄壁紙の品揃えが充実しています。このほか、スイスやドイツの自然素材でできた建材を専門に輸入する「イケダコーポレーション」が取り扱う、紙と木のみでできた壁紙、オガファーザーも人気です。耐用年数が長く、コストパフォーマンスが良く、からだにもやさしい点が人気の理由でしょう。
その他にも多くのメーカーがあるので、いろいろな会社のカタログを見比べ、検討するとよいでしょう。

床・壁・天井の色合わせを考えましょう

壁紙の色は床色との相性を考えると良いでしょう。基本的な色みを合わせておくと、お部屋全体に統一感が生まれます。木目調床の場合、同じ木目でもグレー調、イエロー調、レッド調と色みが変わるので注意しましょう。なお、色の濃さは床→壁→天井の順に薄くしていくと、天井が高く広く感じられます。反対にあえて天井の色を暗い色にすると落ち着いた印象のお部屋になります。
壁紙と天井の色を変えるべきか迷う方もいるでしょうが、基本的に変える必要はありません。壁紙の色は白っぽい色にしたほうが、お部屋全体が広く感じられます。

サンプルは大きいものを取り寄せましょう

壁紙を決める際は必ずサンプルを取り寄せましょう。ショールームなどに行けば、小さな壁紙が手帳のように綴じられた「色見本帳」で確認できますが、気になったものはA4サイズ程度でもらうことが可能です。
自宅の照明や日照度合いで確認すると、カタログで見ていたものより明るく感じることが多いようです。それが壁一面を覆うことになるため、自宅で確認をしないと貼り終えてイメージと違ったということになりかねません。サンプルを何枚も取り寄せるのは時間を取られるかもしれませんが、このひと手間を惜しまないことが理想のお部屋への近道です。

壁紙の種類と機能性

壁紙と一口に言っても、グレードや機能などさまざまです。張り替えを行いたい場所に求められる性能やテイストに合わせた壁紙を選びましょう。ここでは、一般的な壁紙の種類と機能性について解説します。

壁紙のグレード

壁紙はその厚さや材質、デザインにより価格が決まります。一般的によく目にする量産クロス「500番台」と、こだわりが現れる高級クロス「1000番台」に分類することができます。
「1000番台」は、メーカー希望価格が1,000円/m以上ということから、そう呼ばれるようになりました。実際はもう少し安価に入手できる場合もあります。一方、「500番台」は、150円/m程度で入手可能です。広い面積には量販クロス、玄関やアクセントウォールに高級クロスなど、予算や面積によって使い分けると良いでしょう。

壁紙の種類

一般的に広く使われているのはビニルクロスです。デザインや種類も豊富で数多く流通していますが、貼り付ける際に使用する接着剤に含まれるホルムアルデヒドが引き起こす人体への影響が懸念され、「F☆☆」~「F☆☆☆☆」で等級が決められています。揮発性が低く優れたものには、星4つの最高等級がつけられています。
ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を使用した「オレフィン壁紙」は耐久性・防汚性が高く人気が高まっているようです。また、お子さんがいるご家庭などは黒板のようにチョークで文字をかける黒板クロスやマグネットボードを貼るのもおすすめです。お子さんの成長の記録がお部屋で感じられるのも素敵でしょう。

▼壁紙の種類

ビニルクロス

安価で耐久性が高く、ラインナップも多いため広く流通している。

織物/布

シルクやサテンなど高級感を演出できるためホテルやレストランの内装でよく見かける。木綿や麻素材など種類は多い。

和紙/紙

パルプを使用した輸入壁紙のほか、和紙タイプなどもある。施工が難しく水拭きができない商品もある。

無機質壁紙

珪藻土、漆喰など無機質素材を使っているため不燃性が高い。通常の塗り壁よりもリーズナブルに質感を表現できる。

プラスチック系

ポリエチレン/ポリプロピレンといった合成樹脂をつかった「オレフィン壁紙」のこと。ビニルクロスに比べ耐久性が優れ、環境への配慮も期待される。

壁紙の機能性

機能性壁紙にはさまざまな種類があります。トイレや水回りには消臭効果や抗菌効果が高いものが人気です。またキッチンには防炎性が高いものがおすすめです。マイナスイオン効果のある壁紙もあり、寝室に取り入れる方もいらっしゃいます。また、ペットを飼われている方には、爪のひっかき傷がつきづらい耐久性の高い壁紙もおすすめです。防臭効果が加えられているものもあります。
このような機能性壁紙は先述した1000番台の高級クロスに分類されます。一般的に使用されている500番台のクロスの場合、フィルム汚れ防止などシンプルな機能のみのことが多いでしょう。

▼一般的な壁紙の機能
  • 消臭/ルームエアー
  • フィルム汚れ防止/抗菌
  • 耐久性アップ
  • 抗アレルゲン/抗ウイルス
  • マイナスイオン

壁紙のお手入れ方法【種類別】

張り替えた壁紙を長くきれいに保つためには、素材に合わせたお手入れが必要です。汚れた場合は、汚れに合わせた洗浄方法を選ばないと壁紙を傷めてしまうことがあります。ここでは、お手入れ方法を壁の素材別に解説します。

ビニル壁紙のお手入れ方法

汚れてしまった場合は、かたく絞ったスポンジや布で吸い取るように拭き取ります。それでも落ちない場合は中性洗剤を使用しましょう。最後は必ず壁に洗剤が残らないように水拭きしてください。
汚れ別にみると、タバコのヤニは中性洗剤にアンモニアを加えたもので拭き取り、最後に水拭きをするのがおすすめです。鉛筆は消しゴムで、クレヨンは中性洗剤をスプレーしてラップでおおって汚れを浮かせてから落とす方法が簡単です。油汚れはベンジンを使ってみましょう。いずれも、洗剤を使う場合は目立たないところで試してからにしましょう。

織物/布壁のお手入れ方法

布素材の壁紙は基本的に水拭きできません。もし気になる汚れがついたら、アイロンなどで汚れをゆるめた後、薄めた中性洗剤をつけた布でポンポンと押さえるように汚れを吸い取ります。必ず目立たないところで水染みができないか確認してからにしましょう。
表面についたほこりを落とす際はブラシをつけた掃除機で吸い取るか、洋服ブラシで優しく毛並みを整えるようにブラッシングしましょう。また、布は直射日光で変色しやすいため注意しましょう。

紙壁紙のお手入れ方法

撥水加工が施してあるものを除き、水拭きはできません。手垢や、ちょっとした汚れは消しゴムで擦れば落ちることもあるため、試してみましょう。
定期的なお手入れは他の壁紙同様、ブラシタイプの掃除機でやさしくほこりを吸い取ることです。紙壁紙は湿度調整をしてくれますが、過度な湿気はカビの原因になるため注意しましょう。

珪藻土壁紙

紙壁紙よりも強度は高いのですが、水拭きは避けるのが無難です。洗剤での拭き取りも避けたほうがよく、硬くしぼった布でやさしく叩くように拭くようにしましょう。定期的なお手入れ方法は他の壁紙と同様、掃除機で表面のほこりをやさしく吸い取ることです。

壁紙選びのコツを押さえてお部屋作りを楽しもう

壁紙はお部屋の雰囲気だけでなく、生活の質まで改善してくれる機能性も持っています。なんとなくお部屋の雰囲気を変えたいと悩んでいる方は、まずは各メーカーのショールームに行ってみるのもおすすめです。イメージがふくらみますよ。上手に壁紙を選んで気持ち良いお部屋を手に入れましょう。