老後も安全で快適に使いやすい、シニアのためのキッチンリフォーム
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年を重ね筋力や体力が衰えると、それまで当たり前にできていた動作が思うようにできず、長年使いなれたキッチンであっても思わぬ事故につながる可能性があります。今回は、高齢者でも安全で快適に使いやすいキッチンへのリフォーム方法について解説していきます。
高齢者がキッチンを使う際の危険性
内閣府の報告によると、65才以上での家庭内事故における発生場所で最も多いのは、「居室」と「階段」であり、筋力や視力の低下による転倒が主な原因となっています。次いで多い発生場所が「キッチン」。全体の17%を占めており、歩行や階段の昇り降りを除くと最も事故が起こりやすい場所であることがわかります。
では、キッチンにはどのような危険性があるのでしょうか。特に多いのが、ガスコンロの火の消し忘れ、やけどといった事例です。次いで着衣への着火や食器を落とすといったような事例も多く見られます。このような経験は特に高齢者になるほど起こりやすい傾向にあります。
このように、高齢になるとからだの衰えや物忘れが多くなり、普段の調理における何気ない行動で事故が起こる恐れが高くなります。
年を重ねると増えてくるキッチンへの不満
50才以上の方のうち、キッチンに対する困りごとで最も多いのは「機能性」です。コンロや水栓等の設備の老朽化が不満に挙がっていると考えられます。次いで、「使い勝手」「収納」「清掃性」に対する不満が高いことがわかります。
年を重ねて姿勢が変わり筋力が低下することで、日常的にできていた動作でも苦労することがあります。こうした使いづらさや危険性を見直してリフォームを行うことで、安心して快適に使えるキッチンとすることができます。部位ごとに安全で使いやすいキッチンとするためのリフォーム方法を解説していきます。
安全で使いやすいコンロにリフォーム
キッチンにおける最も危険な事故は、衣服への着火やコンロの消し忘れ等による火災事故です。長年同じキッチンのまま、ガスコンロを使っている高齢者も多いですが、燃え移りの心配がないIHコンロにリフォームすることで、火による事故を防ぐことができます。使い慣れたガスコンロからIHコンロに切り替える際、使い方に不安を感じる高齢者も多いですが、最近では音声ガイドが付いた製品や、高温のプレートに触れることによるやけどを防ぐために点灯によって高温であることを表示する製品もあります。
ガスコンロを使う場合も、シンプルなタッチ式のスイッチひとつをタッチしたり回転させたりするだけで温度調整や点火・消火ができる操作性のよい製品や、清掃時にIHコンロと同じようにほぼ天板がフラットになる製品なども見られ、従来のガスコンロに比べ、操作性や清掃のしやすさが向上しています。
前述したように、キッチンでの事故で最も多く見られる事例が「コンロの消し忘れ」です。特に高齢になると直前の作業を忘れてしまうことも多いため、IHコンロ・ガスコンロともに、一定時間が経過すると自動的に消火する、消し忘れ防止機能がついた製品を選定することが大切です。
簡単に掃除ができるキッチンへ
キッチンの清掃のしやすさも、快適に使うために大切な指標のひとつです。
天板の代表的な素材と言えばステンレスですが、最近では表面にエンボス加工がついたステンレス天板を使用した製品も多く見られます。微妙な凹凸があることで汚れがふき取りやすく、また傷が入りづらいという特徴があり、従来の天板に比べて清掃がしやすくなっています。
最新のレンジフードは非常に機能性が高くなっており、従来の製品から取り換えることで、掃除の負担を少なくできます。お湯を専用のトレイに入れるだけでフードの内部のファンとフィルターを自動洗浄する機能を持つ製品が各社から発売されており、日々のフィルターの取替えや油汚れの清掃の負担を軽減することができます。
低い位置に取り付けられるフードもあり、高齢のからだにも負担をかけずに清掃ができます。
水栓もさまざまな機能を持った製品があり、それまで使っていた水栓から交換することで日々の食器洗いも非常にやりやすくなります。
古いキッチンは給湯と給水が分かれて水栓が付いている場合やレバーが別々となっている場合も多く、調整を誤ってやけどをする恐れもあります。シングルレバーの混合水栓とすることでこうしたリスクを減らすことができます。
他にも幅の広いシャワーにより食器洗いの効率を向上させる水栓や、シャワーヘッドを伸ばしてシンクの内側を洗いやすくした水栓など、多様な使い方を想定した器具が各社から発売されていますので、自身の生活に合わせた器具を選定すると普段の食器洗いをストレスなく行えるようになります。
高齢の身体に合ったキッチンへ
年齢を重ねると姿勢が変わり、筋力や視力も衰えてくるため、それまで当たり前にできていた動作でも思うようにできないことも多く、使い慣れていたキッチンであっても身体に合わず不便になってしまうこともあります。
調理をするうえで大切なのはカウンターの高さです。姿勢が変わってくるとそれまで使っていたカウンターが高く感じることがあるので、少し低くすることで使いやすくなります。またシンク下等に扉を付けずオープン型とするとイスに座りながら作業ができ、長時間の調理や洗い物も楽にできるようになります。
高齢になると高い箇所の収納が取りづらくなり、姿勢を崩すことで食器の落下などの危険性も高まります。できるだけ楽な姿勢で食器や器具の取り出しができるよう、低い位置での収納を充実させることも大切です。
水はね等で床が濡れると転倒の危険性もあるため、床材を滑りにくい材料にすることも安全面で有効なリフォームです。また、洗面室や脱衣室など他の家事と合わせてキッチンの位置を見直すことで移動による負担を軽減させることもできます。そうした場合は、動線上の段差をなくす、ドアは引き戸にして筋力が衰えても容易に移動できるようにする、といった配慮が大切です。
まとめ
キッチンは新築当時、まさに体力のある年齢当時のからだの状態に合わせて作られることが多いので、年齢を重ねていくと使いづらくなったり、事故の原因になったりすることもあり得ます。また子どもが家を出て夫婦2人で過ごすようになると、料理の量も少なくなるので、大きなキッチンよりも効率が良く、楽に調理できるキッチンのほうが使い勝手がよくなることも考えられます。高齢となった身体と生活にフィットするキッチンの形を考えていくと、既存のキッチンでは無理が出てくることもあるのではないでしょうか。
現在では、コンロ、水栓、フードなど、それぞれの部位や器具で便利で安全な機能を持った製品が多く見られますので、古い器具から取り換えることで調理や清掃の効率が高まり、身体への負担や事故の危険性も少なくすることができます。キッチン全体のリフォームが難しい場合、部分的に最新の器具に取り換えるだけでも、使いやすさが格段に向上することもあります。特にキッチンは火を扱う場所であるため、ささいなことが重大な事故につながる危険性もあります。老後も安心して快適に料理を続けることができるよう、キッチンから住まいを見つめ直して見てはいかがでしょうか。
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