築100年の旧家をリフォーム|京風の伝統を残しながら快適に暮らせる家に再生

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京都府京都市にお住まいのS様は、現在築100年の住宅で暮らしている三世代のご家族です。水回りの動線が使いにくく、家全体を有効活用できないことに悩まされていました。
今回は「旧家の伝統を残しながら現代風の家へと再生した」リフォームの成功事例として、ご紹介をさせていただきます。ぜひ参考にしてください。

1.リフォームのきっかけ

ここではS様が築100年のご自宅を、リフォームすることになったきっかけについてご紹介します。

(1)家全体が寒く使い勝手が悪い

今回リフォーム工事をしたS様宅は奥様が生まれ育ったご実家で、お母様が一人暮らしをされていました。S様はご結婚後の10年間をマンションで暮らしていましたが、お母様と同居されることになり、ご家族で実家に戻られています。

しかし、住み慣れていたはずの実家とはいえ、機能的なマンションの生活に慣れていたS様は、しばらく住んでいなかった実家の使い勝手に問題を感じるようになったのです。トイレやお風呂が家の外にあったので、生活動線は良くありませんでした。また、築100年で土間が多い造りということもあり、寒さが厳しいのにも閉口したそうです。次第に「何とかしなければならない」と思うようになりました。

(2)たくさんある部屋が有効活用されていない

S様宅は部屋数が多く広い家ですが、冬は寒く間取りも古いため、すべての部屋が活かせていない状況でした。お風呂から上がって2階に行くときは、どの部屋も寒いため、1つの部屋に家族全員で集まっていたそうです。

ご家族5人で快適に暮らすため、今回のリフォームでは、間取り変更をして各部屋を有効活用しています。

(3)バリアフリー化が必要

S様のお母様は80代というご年齢のため、安全に家の中で過ごせるようバリアフリー化も必要です。以前の家では玄関ホールの土間の奥にキッチンがあり、食事をする場所である和室まで、わざわざ料理を運ぶ必要がありました。しかも、和室に入るときには、土間から高い位置にある上り框に上がらなくてはなりません。

万が一、足を滑らせて落下でもしたらケガの原因となってしまいます。そのため、段差を極力減らすということも今回のリフォームでは重要なポイントでした。

(4)大画面で映画を鑑賞したい

映画鑑賞を趣味とされているS様のご主人は、「音響の整った大画面で映画を鑑賞したい」という長年の夢がありました。普通のテレビ画面で見るのとは迫力がまるで違います。
今回のリフォームでは充実した「おうち時間」を過ごすために、プロジェクターを設置できるシアタースペースをリビングの間取りの中に取り入れています。

2.リフォームでのこだわりポイント

S様がリフォームする際に、特にこだわりたいポイントであげられたのは以下の5点です。

  • 寒さ対策と床暖房の導入
  • 使い勝手の良い間取り
  • 冠婚葬祭用に必要な和室
  • 2階天井の圧迫感をなくす
  • 古い竃(へっつい:薪でご飯を炊くところ)さんをリビングに設置

順を追ってご紹介しましょう。

(1)寒さ対策と床暖房の導入

築100年で土間が多い間取りということもあり、冬場の寒さが非常に厳しい状況でした。特に土間が寒かったので極力なくすことを希望されています。床暖房を設置して、足元から暖めることもリクエストされていました。

(2)使い勝手の良い間取り

生活動線を見直して、使い勝手の良い間取りにすることも重要なポイントです。
S様宅は旧家によくみられる「トイレとお風呂場が家の外」という、古いタイプの間取りでした。冬の寒い夜にトイレやお風呂を家の外で使うのは体が冷えてしまい、年齢に関係なくつらいものです。

水回りは健康に直接関わるエリアなので、体に負担をかけない仕様にすることがのぞまれます。したがって、今回のリフォームではトイレやお風呂場を家の中に設置しました。

(3)冠婚葬祭用に必要な和室

S様が居住されている地区は、冠婚葬祭をすべて自宅で行うのが慣わしとされています。
そのため、近隣の方や親戚をもてなすためにきちんとした和室が必要でした。
今回のリフォームでは、床の間のある6畳の和室を8畳に広げて、立派な和室をつくっています。

(4)2階天井の圧迫感をなくす

S様宅の2階は平屋に増築したもので天井が低いのが悩みでした。
天井が低いと心理的に圧迫感を感じてしまうため、居心地良く過ごせません。
そのため、今回のリフォームでは上の写真のように、梁を出して天井の高さを上げることにしました。部屋の空間が広がるだけでなく、どっしりとした木の質感も感じられる温かい雰囲気の部屋になっています。

(5)古い竃(へっつい)さんをリビングに設置

竃(へっつい)さんとは薪でご飯を炊くかまどのことで、昭和30年代頃まで一般家庭で使用されていた台所用品です。
S家のご先祖様が大切に使われてきた竃さんを、記念としてリビングに飾ることにしました。今では博物館にでも行かないと見られない貴重な古物品であり、S家の歴史を感じさせます。

3.【部位別】リフォームの内容

ここでは築100年のご自宅が、どのように快適な住宅に仕上がったのかについてご紹介します。

(1)京町家の伝統的な雰囲気がただよう建物

下の写真はS様宅のリフォーム前の建物です。
築100年という歴史のあるS様宅の外観は、下の写真のように経年による外壁の傷みが目立っている状態でした。全体的に劣化も進んでいます。

外観のbefore(ビフォー)

今回のリフォームで美しく修復された建物が下の写真です。
屋根瓦はそのままにして、虫籠窓(むしこまど)の傷んだ部分を新しい材料で修復しています。2階の外壁を白く塗り直し、庭の部分もきれいに舗装をして植栽も整えました。

京都には「京町家」と呼ばれる昔からの町家が多くあり、S様宅でも京風の伝統を受け継いでいます。

外観のafter(アフター)

(2)寒い土間が使い勝手の良いキッチンに

下の写真はS様宅のリフォーム前の土間キッチンです。
スペースは広いのですが、土間なので冬場は寒いのがつらいキッチンでした。
手前には昔懐かしい「竃さん」が置かれています。
食事をする場所は6畳の和室だったので、食事の配膳や片付けの動線も良くありませんでした。

キッチンのbefore(ビフォー)

リフォーム後、寒さが厳しく使い勝手が良くなかったキッチンは、下の写真のように機能的なキッチンに生まれ変わりました。
赤をメインカラーにした対面式のシステムキッチンで、家族との会話を楽しみながら料理ができます。カウンターのすぐ近くにダイニングテーブルがあり、料理の配膳や後片付けも効率良く行えるのがメリットです。

勝手口のすぐそばにパントリーが設置されており、買ってきた食料品をすぐしまえます。これからは暖かい室内で料理できるので、キッチンに立つのが楽しくなるでしょう。

キッチンのafter(アフター)

(3)大画面の映画が楽しめる快適なリビング

ご主人の夢であった、「大画面で映画が鑑賞できる」居心地の良いリビングが実現しました。プロジェクターを設置しており、スクリーンで映画を鑑賞できます。音響も良いので、まるで映画館にいるように迫力ある映像を楽しめるでしょう。

リビングの床材はウォルナット材を使用して、シックで上質な雰囲気を演出しました。床暖房を設置しているので、寒い時期でも足元から温かさを感じられる快適な空間です。
S家の歴史を見守ってきた「竃さん」をインテリアとして置いています。

(4)広々としたダブルボウルの洗面室

ダブルボウルの洗面台が設置された広い洗面室です。
忙しい朝でも家族5人が効率良く身支度できるように、洗面ボウルを2つ設置しました。

収納力がたっぷりな洗面台なので、美容グッズや日用品のストックがきちんとしまえるのもうれしいポイントです。土間付きの勝手口を設けたので、洗濯物を物干し場までスムーズに運べます。

(5)昔の面影を残した和室

冠婚葬祭などで使う和室は、昔の面影を残しています。
こちらの仏間は6畳から8畳に広げ、床の間や違い棚の床板にはケヤキを使用しました。
仏壇は既存のものをしつらえ、きれいに修復して受け継いでいます。

新旧を組み合わせることにより、以前の住宅の味わいを残しながらも、新しくきれいな和室へと生まれ変わっています。

4.リフォーム後の暮らしの変化

S様にリフォーム後の暮らしの変化について尋ねてみましたところ、以下のようなご回答をいただきましたのでご紹介します。

  • 使い勝手が良くなり居住性も高まった
  • 家全体を有効活用できるようになった
  • 気密性が高まり暖房効率が良くなった

以前は部屋と部屋との動線が良いとは言えず、冬の寒さが厳しい家でしたが、リフォームをすることにより使い勝手の良い快適な家となりました。

全ての部屋で居心地よく過ごせるようになったので、家全体を有効活用できるようになったそうです。気密性もアップさせ、すきま風が通ることもなくなりました。
以前はキッチンに立つのが億劫だったそうですが、今では気持ちよく家事ができると喜んでいただいております。

5.住友林業のリフォームについて

S様が当社にリフォームをご依頼されたきっかけなどについてお伺いいたしました。

(1)住友林業ホームテックを選んだ理由

ご主人がインターネットでリフォームについて情報を収集され、当社に資料請求をしていただきました。S様は当初、当社と別のハウスメーカーの2社を候補に考えられていましたが、当社が古い家の耐震性などを研究していることでご信頼を得られたようです。最終的に当社が工事を受注させていただくことになりました。

(2)住友林業ホームテックの対応

リフォーム工事に際しての当社の対応についてお伺いをしたところ、以下のようなご回答をいただきました。

  • 相談をすると丁寧に対応をしてもらえた
  • 良い方ばかりで相談しやすく安心感があった
  • 希望通りの仕上がりになった

工事中にはお客様からさまざまなご相談を受けましたが、その都度、丁寧に対応させていただいた点を高く評価してくださいました。スタッフとも相談がしやすく、コミュニケーションの点でも問題がなかったそうです。
お客様が思い描いていた通りの仕上がりを実現できて、当社としても大変うれしく誇りに思っております。

6.まとめ

今回は築100年の旧家を、居心地よく暮らせる現代的な住宅へと生まれ変わらせた、京都府のS様のリフォーム事例についてご紹介させていただきました。

京都の風情ある町家の面影を残しながら、耐震性を強化して安全に暮らせる住まいを実現しています。最大の課題であった寒さ対策も、床暖房を設置し気密性を向上させたことにより、暖かく快適に過ごせるようになりました。

先祖代々に受け継がれてきたS家のシンボル「竃さん」に見守られながら、これからもご家族皆さんで仲良く暮らされることでしょう。