先祖の思いを受け継ぐ築130年の古民家を風格そのままにフルリフォーム

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娘さんご夫婦(以後、S様)と同居をすることになったF様ですが、築130年という歴史のある古民家のため、いよいよフルリフォームしないと快適に住めない状態になっていました。

新築という考えもありましたが、F様ご家族はご先祖の思いを大切に受け継いでいきたいという思いが深く、現在の住まいをフルリフォームするというご選択をされたのです。その結果、伝統あるご自宅は古民家の趣を残しながら、重厚ある味わい深い雰囲気の住まいへと生まれ変わりました。

今回は、F様ご家族の思いがたくさん込められた、「風格ある古民家リフォーム」の事例についてご紹介します。

1.リフォームのきっかけ

ここではF様が築130年のご自宅を、フルリフォームすることになったきっかけについてご紹介します。

(1)娘さんご夫婦との同居を開始

F様がお一人で住まわれていたご自宅をフルリフォームすることになったきっかけは、娘さんご夫婦との同居がきっかけでした。S様ご夫婦は結婚を機に、奥様のご実家であるF様宅に同居することになったのです。

F様のご主人は早くに亡くなられましたが、F様は女手一つで先祖伝来のご自宅を大切に守り抜かれてこられました。

同居するにあたっては敷地内に新しい家を建てることも検討していましたが、「せっかくの家なのだから残した方が良い」という意見も少なくなかったようです。S様ご夫婦も伝統あるご自宅をリフォームして住み続けることを選ばれ、築130年の古民家がフルリフォームされることになりました。

(2)寒くて段差の多い室内が悩み

F様邸は築130年の長い歴史を持つ由緒ある古民家です。
そのため、古民家でよくありがちな「寒い」「段差が多い」「使い勝手が良くない」などの問題も山積していました。

外部にサッシがなかったため、冬の寒さはかなり辛かったことと思われます。しかも40年前に葺いた瓦が崩れてきており、危険な状態になっていたのです。万が一、瓦が落下したときに下を歩いていたら命にかかわるところでした。

2.リフォームでのこだわりポイント

F様がフルリフォームする際に、特にこだわりたいポイントであげられたのは以下の3点です。

  1. 既存の柱や梁はそのまま使用
  2. 部材はヒノキなど国産材にこだわる
  3. 上段の和室はそのままに

順を追ってご紹介しましょう。

(1)既存の柱や梁はそのまま使用

F家のご先祖様が長きにわたって大切に住まわれてきたご自宅は、そのままF家の歴史のシンボルでもありました。

そのため、F様ご家族は今まで使われてきた柱や梁などの古材を、リフォームする家で再利用することをこだわりのひとつとされていたのです。F様の思いは強く、当社に対して「柱や梁は1本も抜かないでください」と要望されました。

(2)部材はヒノキなど国産材にこだわる

F様のご実家が林業をされていたことや、S様のご主人も住まいに関して見識が深いこともあり、今回のリフォームで使用する部材にはヒノキなど国産の高級木材が使用されました。

確かに安価な外国木材より価格は数倍するものですが、品質の点ではもちろん申し分ありません。床の仕上げ材には、住友林業オリジナルの国産ケヤキ・ヒノキを使用しました。結果的に大変ご満足いただけております。

(3)上段の和室はそのままに

お母様であるF様が強く希望されたことは、「上段の和室はそのままに」というものでした。

「上段の和室」とは和室にも「格」というものがあり、「家の中で一番格式の高い間」のことを指しています。旧家では、お客様がいらっしゃると奥座敷にお通しするのが一般的です。

F様は「上段・下段というものが昔の家にははっきりしており、それだけは残してほしい」ということを仰られていました。旧家の伝統を大切に守られてきたF様の思いが、当社にも深く伝わってきた次第です。

3.【部位別】リフォームの内容

ここでは築130年の古民家が、どのように快適な住宅に仕上がったのかをご紹介します。

(1)落ち着いた雰囲気の外観

F様邸は栃木県那須烏山市の、空気が清涼とした静かな環境の中に建てられた格調高い旧家です。

日本古来の伝統構法で建てられており、和風の落ち着いた外観が魅力となっています。
旧家の趣を伝える入母屋造りの風格ある佇まいはそのままに、外壁は白く塗り直しました。

崩れかけていた屋根は全面的にいぶし瓦に葺き替えて安全面を確保するとともに、高級感を漂わせています。

(2)玄関は広々とレトロな空間に

地方の旧家は寄合などが多いこともあり、玄関の間口が広いお宅は多い方です。
F様邸の玄関も広々として重厚感あふれる造りになっています。F様邸の玄関では上がりかまちに無垢の国産ケヤキ材を使用し、高級感を演出しました。

土間であった部分はそのまま活かし、二方向から入れるように玄関が2カ所つくられているのも特徴です。ちなみに地方の農家のお宅では、畑仕事から帰ってきたときに玄関が土で汚れるのを防ぐため、お客様用の表玄関と家族用の玄関を分けているところも少なくありません。

(3)まるでカフェのようにお洒落なキッチン

以前のキッチンは独立していて、配膳する時などに使い勝手が良くありませんでした。
今回のリフォームでは、土間の一部を取り込んでダイニングキッチンを一体化したことにより、動線が良くなっています。収納も出し入れしやすくなったので効率良く家事をこなせるようになりました。

天井には梁をむき出しで使用し、家の構造材としてだけでなく古民家カフェのようなシックな雰囲気を醸し出しています。アイランドキッチンなので、会話を楽しみながら調理を楽しめるでしょう。

(4)書斎はロフト付きで遊び心を

北向きに面した書斎は本棚スペースの上にロフトが設置され、遊び心ある雰囲気に仕上がっています。休日には一人で横になりながら、読書を楽しまれるのもよいでしょう。

こちらの部屋も天井に梁がむき出しのままで使用されているので、木の質感により温かい雰囲気を感じられます。

(5)収納力が抜群の使いやすい洗面所

収納力が抜群の使いやすい洗面所も魅力です。
以前は土間の隅にあり、物入れはあるものの収納力に欠けるのが悩みでした。

今回のリフォームではシックで重厚感のある大型洗面化粧台を設置し、収納力も問題ありません。大きめのサイズの洗面化粧台なのでゆったりと身支度を整えられるでしょう。
カラーは古材をイメージさせるダークブラウンで、家全体の雰囲気に調和しています。

4.リフォーム後の暮らしの変化

F様にリフォーム後の暮らしの変化について尋ねてみましたところ、以下のようなご回答をいただきました。

  • 暖かく快適に過ごせる
  • 段差が解消され動線が良くなり生活がしやすい
  • キッチンの使い勝手が良い

今まで冬の寒さが厳しい住まいでしたが、リフォームしたことにより暖かく快適に過ごされています。

水回りの配置など間取り変更もしたので動線がよくなり、段差もなくしたので安全な住まいへと生まれ変わりました。生活するのにとてもラクになったと、ご家族全員が満足されています。

キッチンの収納も使いやすく、効率良くクッキングできるようになりました。現在もキッチンに立たれることが多いF様は料理の腕を振るわれています。

5.住友林業のリフォームについて

F様が当社にリフォームをご依頼されたきっかけなどについてお伺いいたしました。

(1)住友林業ホームテックを選んだ理由

F様が当社を選んでくださった理由は、住宅展示場を見て回られたことがきっかけでした。かつてF様のご主人が「住友林業」が掲載されている雑誌をお持ちになっていたこともあるとのことです。

また、F様のご実家が林業をなさっていたこともあり、「国産のオリジナル木材」を部材として利用する当社に親しみを持っていただけたようです。

(2)住友林業ホームテックの対応

当社の対応についてもお伺いをしてみましたところ、以下のようなご回答を頂きました。

  • 担当者が地元の人で対応が良かった
  • 質の良い部材を使ってくれた
  • 実際に住み始めてからも不満な点が出てこない

偶然ではありますが当社の担当者が地元の人間であり、ご主人とは1歳違いであったため、色々とお客様側からのご要望を率直に話していただけました。大規模リフォームという大がかりな工事の場合、当然ですがお客様としては色々と不安な点が多いものです。お客様の立場に立ってさまざまプランを提案するなど真摯に対応させていただきました。

質の良い部材に強いこだわりをお持ちであったお客様のために、住友林業オリジナルの国産ヒノキ・ケヤキなどの高級部材を使用しています。価格も比例して高くなりましたが、結果的にお客様には大変ご満足いただけたようです。

実際にお客様が住み始めてからも不具合や使い勝手が良くないなど、マイナス面は現時点で報告されておりません。気持ちよく住んでいただけているようで、当社としては誠に嬉しい限りです。

6.まとめ

今回は築130年の古民家を格調高い住宅へと生まれ変わらせた、栃木県のF様のリフォーム事例についてご紹介させていただきました。

由緒ある古民家のフルリフォームが成功できたのは、娘さんご夫婦がお母様のお気持ちを尊重されながら積極的にサポートをしてくださったことが大きな要因といえるでしょう。娘さんのご主人であるS様は、「現在の住まいはご先祖からの預かりもの」であると深い言葉を仰られております。

ご主人亡き後は女手一つで旧家を守り抜かれてきたお母様(F様)と、F様を大切に思われている娘さんご夫婦に対して、天国のお父様は感謝の念を持ちながら温かく見守っていることでしょう。