「区分所有法」「管理組合」「マンション建替法」購入前に知っておきたいマンションの基礎知識

お金・資産

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マンションは1棟の建物に多くの世帯が居住するため、一定のルールがなくてはまとまりがなく、みんなが快適に暮らせません。管理組合の構成員のひとりとしてマンションの維持や管理に関わり、安全で快適に暮らせる住まい環境をつくっていきましょう。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

子どもの独立後、戸建てからコンパクトに暮らせるマンションに住み替えるシニアは少なくありません。また、30~40代の子育て世代では、利便性の高い分譲マンションを購入するケースも多いでしょう。

今回は、マンション購入前に知っておきたい予備知識として、「区分所有法」「管理組合」「マンション建替法」の3点を解説します。

区分所有法とは

「区分所有法」とは、分譲マンションなどに関する法律です。正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」というものであり、別名「マンション法」とも呼ばれています。
区分所有法はマンションに住むうえでとても重要な法律です。このルールにしたがうことで、すべての住民が快適に暮らせるようになります。

1.分譲マンションに関する法律

分譲マンションの各住戸は区分所有者がそれぞれ単独で所有していますが、住戸以外の建物(外壁や基礎など)は、各区分所有者が単独で所有することはできません。これは、マンションが戸建てなど通常の建物よりも利害関係が複雑であるぶん、トラブルが発生しやすいことが挙げられます。
区分所有法により、分譲マンションに関する権利関係や管理運営のルールが定めることで、誰もが暮らしやすい環境が実現されています。

2.専有部分と共用部分の2つで構成

マンションは「専有部分」と「共用部分」の2つで構成されています。
専有部分は、区分所有者が単独で所有しているマンションの1室のことで、区分所有権の対象です。一方、共用部分は専有部分以外の建物部分や付属部分を指しており、区分所有者が全員で共有しています。共用部分の範囲は幅広く存在し、大まかに分けると「法定共用部分」と「規約共用部分」の2種類となります。
なお、共用部分の持分割合は専有面積の床面積の割合で決まり、共用部分に関する費用も原則、区分所有者の持分に応じて負担するのがルールです。

内容

場所

専有部分

区分所有権の対象となる建物の部分

・マンションの1室

法定共用部分

当然に共用で使うこととされる部分

・エントランス

・エレベーター

・階段、廊下など

規約共用部分

規約により共用部分とされた部分や付属建物

・集会室

・倉庫

※筆者作成

3.敷地利用権

マンションを利用するには、そのマンションが建つ敷地を利用する権利が必要です。この権利を「敷地利用権」といいます。
原則、区分所有者は専有部分と敷地利用権を分離して処分することはできません。マンションを売却した場合は、マンション敷地の共有持分も一緒に移転することになります(一部例外あり)。

マンションの管理組合

マンションで住民同士がトラブルなく暮らすには、マンション内をまとめる管理者が必要です。ここでは、分譲マンションには必ず設置されている管理組合について解説します。

1.マンションの管理をする団体

管理組合は、マンションを管理する団体のことです。マンション購入者は自動的に管理組合の構成員になります。ちなみに賃借人(マンションを借りている人)は管理組合の構成員にはなれません。あくまでも区分所有者が対象です。
マンションの管理組合は、区分所有者以外(個人・法人も可)に実際の管理を委託することができます。通常であれば、マンションの維持管理を専門とする「管理会社」に委託することが多いですが、管理組合が管理員を直接雇用して、自主管理を行うケースもみられます。

2.リフォームをするときは管理組合の承認が必要

分譲マンションの専有部分(自分の持ち家)であっても、自由にリフォームできるわけではありません。分譲マンションには規約(マンションの利用・管理に関するルール)があり、リフォームする際には事前に管理組合に相談する必要があります。たとえば、間仕切りを取り払う場合にも、構造上、禁止されている部分があったり、水まわりの設備を変更する場合も配管状況や床の高さによっては移動できなかったりもします。これらはリフォーム計画の段階で、しっかり確認しておくことが必要です。

「マンション建替円滑化法」改正 売却後は居住か売却か選べるように

平成26年に改正された「マンション建替円滑化法」では、マンション敷地売却制度が創設されたほか、容積率の緩和が特例として認められるなど、大幅な変更がみられています。

1.マンション敷地売却制度が創設

"高経年マンション"と呼ばれる築40年超のマンションは、令和元年末現在92万戸を数えますが、10年後には約2.3倍の214万戸、20年後には約4.2倍の385万戸(※)と、急増することが見込まれています。これらマンションの老朽化は周辺に危険を及ぼすおそれがあるため、維持修繕が難しい場合は、マンションの再生に取り組む必要があります。
そこで新たに創設されたのが「マンション敷地売却制度」です。対象になるのは「耐震性不足」のマンションであり、区分所有者集会における5分の4以上の賛成で、マンションとその敷地を売却できるようになりました。以前は区分所有者全員の同意が必要でしたので、ややハードルが下がったといえます。
マンション売却後、再建したマンションに住むこともできますが、他のマンションや戸建てに引っ越すことが可能です。このように売却後の選択は自由になったことがメリットといえます。

国土交通省リーフレット「ご存知ですか?マンション建替法改正について」の情報を基に作図

2.容積率の緩和特例の創設

「容積率の緩和特例」も創設されました。こちらも対象となるのは、耐震性不足のマンションのみです。一定の敷地面積があり、街の環境の整備や改善に役立てるマンションであると都道府県知事が許可した場合に、容積率が緩和されるようになりました。なお、「容積率」とは、敷地面積における延べ床面積の割合です。たとえば4階までしか建てられなかったマンションが、6階建てまで建てられるようになります。

国土交通省リーフレット「ご存知ですか?マンション建替法改正について」の情報を基に作図

3.従来どおり「5分の4以上の賛成」で建て替えが可能

売却ではなく区分所有者の5分の4以上が賛成したうえでの建て替えも可能です。この場合、適用対象となるマンションに「老朽化」などの要件は必要ありません。事業の主体となる建替組合を設立し、建替組合が反対している区分所有者の権利を時価で買い取ることで実現できます。区分所有者の権利はそのまま再建マンションに移行し、組合による建て替え事業が行われる、という流れです。

まとめ

今回は、マンションを購入する前に知っておきたい「区分所有法」などの法律について解説をしました。

マンションは1棟の建物に多くの世帯が居住するため、一定のルールがなくてはまとまりがなく、みんなが快適に暮らせません。

マンションを購入した後は、管理組合の構成員のひとりとしてマンションの維持や管理に関わり、安全で快適に暮らせる住まい環境をつくっていきましょう。