気になるビルトイン食洗機のコスパとリフォームのポイントを設計士が解説

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水まわり設備のなかでもキッチンは使い勝手や作業効率が重要な場所です。現状のキッチンに問題があったり、設備が古かったりする場合にはリフォームで改善したいと思う人も多いでしょう。実際、キッチンに対する困りごとは、老朽化や機能性に関することが多いことがわかっています。

住宅産業協議会 CS評価研究会「平成27年度キッチンリフォームに関するアンケート調査報告書|P.8 キッチンに対する困りごと」の情報を基に作図

10~20年前と比べると、現在のキッチンははるかに性能が良くなっています。コンロや換気扇の能力の向上とともに、食洗機などの設備も普及率が高まってきました。特に食器を洗うことは時間や手間、さらには手荒れなど、さまざまな苦労がかかるものです。手洗いから食洗機に変えることで、そうした手間を省くことができれば......と思うこともあるでしょう。しかし、食洗機の使い勝手や利便性は、実際に使ってみてないと分からないものであり、悩みどころです。

今回は、近年人気の高まっているビルトイン食洗機のメリット、設置の費用感などをご紹介します。

食洗機のメリット

(引用)キッチン・台所リフォームの費用相場や事例を詳しく解説 年々進化し続けるシステムキッチン・台所の機能 住友林業のリフォーム

手洗いと比べた場合の最大のメリットは、食器洗いにかかる費用が削減できることです。食洗機では水を循環させながら洗うため、水を流しっ放しの手洗いと比べて水道の使用料金をかなり抑えられます。

筆者作成

また、食洗機に食器を入れたり、使用後に片付けたりする作業は人の手が必要ですが、食器を洗う作業は機械がやってくれるので、その分の時間を短縮できます。食洗器は高濃度の洗剤を使用し、泡立ちが少ない状態で洗浄するため、洗いやすすぎの時間も短く終えられます。

ビルトインタイプであれば、キッチンカウンターが広く使えるので、洗ったあとの食器の片付けや整理もスムーズに行うことができるでしょう。

より衛生的な食器洗いができることも魅力です。食洗機は手洗いでは難しい高温洗浄を実現しています。それに加えて、噴水のような強力水流で洗うため、目の細かいザルなども手洗いよりもキレイに仕上げてくれます。水筒やストローなどの細長い形状の物も食洗機なら筒の中まで水流が届くので衛生的です。

その一方、食洗器は選ぶ製品によっては、予洗い(手洗い)を必要としたり、並べかたによっては洗い残しや破損の原因になったりとデメリットもあります。フィルターのごみ捨てなど毎回のメンテナンスも必要になり、手洗いとはまた違う手間を要しますが、家事にかける時間と費用が確実に削減できる点は大きく、エコで効率的と言えるでしょう。

据え置きタイプとビルトインタイプ、どっちを選ぶ?

(引用)リフォーム事例 住友林業のリフォーム

食洗機は「据え置き(卓上)タイプ」と見た目やスペースのデメリット面を無くして、よりスマートに使えるよう設計された「ビルトインタイプ」があります。キッチンカウンター上に設置する据え置きと比べて、ビルトインはキッチンカウンターの下に設置されているため、以下のようなメリットがあります。

  • 見た目がスッキリする
  • 作業スペースが減らずに済むので料理の動線をじゃましない
  • 容量の大きい製品が多い(フライパンや鍋が洗える)
  • 動作音が小さい(キッチン下部にあるため騒音が広がりにくい)
  • 配管が見えない
  • 耐久年数が若干長い

ただし、以下のような場合では、据え置きのほうが適していることがあります。

賃貸であるためキッチンの工事ができない場合

マンションなどでは給排水の配管は共有部分であり、リフォームを行うことができません。築年数の新しいマンションのなかにはビルトイン食洗機を設置できるように配管設計されている場合もありますが、そうでない場合はビルトインが設置できないことがあります。

少人数(2~3人)の家庭

ビルトインは容量の大きなタイプが中心です。そのため、家族の人数が少ない場合や洗い物が少ない場合は、設置も費用も手軽な据え置き型もおすすめです。

腰や膝の痛みや、四肢や動作に不自由がある場合

こうした方症状をお持ちの方は上下に動く作業が困難な場合もあるでしょう。その点、据え置きはシンクから食洗器への移動が水平のため、からだへの負担が小さいといえます。特に不自由がなくても単純に横方向に食洗機があったほうが使いやすい場合もあるため、動線の計画も重要です。

(引用)キッチン・台所リフォームの費用相場や事例を詳しく解説 住友林業のリフォーム

暮らしのこれからをご覧いただき誠にありがとうございます。

本記事ではビルトイン食洗機を導入したキッチンのリフォーム費用について記載をしていましたが、以下を理由に削除をさせていただきました

・筆者(ライター)である工藤アラタ様が、過去工務店勤務の時代で経験された金額感であり、原料費の高騰や円安を背景とした現在の設備費用と大きく乖離があった点

・リフォームでは、本体工事、電気工事、配管工事、内装工事等さまざまな工事が付随しますが、本記事には本体工事費のみしか表示されておらず、お客様に誤解を招く表記であった点

ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。

メンテナンスや取り替えの時期は?

据え置きタイプもビルトインタイプも毎日のメンテナンスはほぼ同じです。残さいフィルターのゴミ捨て・洗浄のほか、庫内の洗浄、フィルター、ノズル、カゴといった各パーツの手洗いも定期的に実施しましょう。

ビルトイン食洗機の寿命は約10年ですが、正しい使い方をしていればそれ以上使用することが可能です。ただし、この場合は部品などの製造を終了していることも多く、修理対応ができないケースが出てきます。取り替えの場合も新設や後付けと費用は変わりませんが、給排水管の工事など追加工事が不要なため、全体的な費用は初回よりも安くなります。

まとめ

食洗機を導入しても、フライパンや鍋などの大型の調理器具や、食器の予洗いなど、手洗いの作業が尽きることはありません。「予洗いするなら、全部手洗いのほうがいいんじゃない?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、機械に任せることで、必ずキレイな状態に仕上げてくれる気持ちの余裕は大きく、手洗いと食洗機の利用を家事の量に合わせて選べることも、気持ちの余裕につながるでしょう。

家事の負担は、実際の作業だけでなく、「やらなきゃいけない家事がたまっている」という状態だけでも、精神的な負担になるものです。食洗機を使う場合にも「洗い物がある程度溜まってから」「一度にたくさんの洗い物が出たときだけ」など、手洗いとの使い分けを前提に使用するのがおすすめです。