リフォーム前に要確認 ウォークインクローゼットのメリット・デメリットと収納の注意点

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(引用)リフォーム実例  住友林業のリフォーム

日本の住宅で収納といえば「押入れ」ですが、現代はベッドを使うことがほとんどであるため、布団を収納するための押入れの需要は減少しました。代わりに衣類やバッグ、アクセサリー類などの収納に特化した「クローゼット」が一般的になっています。

その一方で、シーズンもののコートや毛布など、四季に合わせた衣類や寝具が必要な日本では、壁付のクローゼットでは収納容量が少ないと思うことも。

今回は「ウォークインクローゼット」の活用についてご紹介します。ウォークインクローゼットの間取りはもちろん、収納方法や注意点などもあわせてご覧ください。

ウォークインクローゼットのメリット・デメリット

ウォークインクローゼットは、壁付のクローゼットと比べて収納容量が多いため、季節ものから毎日の着替えまで多くの衣類を1部屋に収納できます。
「どこに片付けたっけ?」とシーズン毎に探し物をすることも少なくなるほか、置き場に困るスーツケースや大型のバッグ、型崩れしやすい帽子や厚手のコートも、難なく収納できるので、住む人にとってやさしい収納方法といえるでしょう。

ウォークインクローゼットのメリット

  • 収納場所が分散しないので紛失物が減る(どこに収納したかすぐわかる)
  • 衣替えの必要がない
  • スーツケースやカバンなど、大きなバッグ類も複数収納できる
  • 大型のもの(扇風機やストーブなどシーズン家電含む)が収納できる

ウォークインクローゼットは、これだけ大容量の衣類や家電をまとめて保管できるぶん、広めのスペースが必要です。さらには、移動スペースも必要となるため、壁付クローゼットと比べて必要面積は倍以上になると考えてよいでしょう。また、移動スペースを設けるぶん収納棚は奥行きが小さく、布団などの幅の広いものは収納しにくいでしょう。そのため、造り付けのハンガーパイプを用意したり、収納棚の位置や幅に合わせて収納したりすることが前提となるため、収納物や使う人の身長などに合っているかどうかも重要です。

ウォークインクローゼットのデメリット

  • 広いスペースが必要
  • ハンガーの位置や棚の位置により収納方法が限定される
  • クローゼット内に移動スペースを確保しなくてはいけないため、収納スペースが小さくなる

ウォークインクローゼットの計画

ウォークインクローゼットの収納棚の奥行きは400~600mm程度とします。400mmは畳んだ洋服を平置きするのにちょうど良く、収納ケースも収まる寸法です。一方、600mm以上の奥行きになってしまうと、手が届きにくい箇所が出てくるため使いづらく、ムダなスペースができてしまいかねません。また、ウォークインクローゼットは、棚の奥行きに加えて900mm程度の通路幅が必要となります。これらを考慮したうえで、どのような配置が適しているかを計画しましょう。

クローゼットの配置:I型(片面)

(引用)リフォーム実例  住友林業のリフォーム

もっとも省スペース、かつデッドスペースがなく、どこに何が収納してあるのか一目でわかりやすいタイプです。細長いスペースを活用したいときや、片側に窓がある場合などに適しているでしょう。

クローゼットの配置:I型(両面)

(引用)リフォーム実例  住友林業のリフォーム

I型片面と同じく細長いスペースで有効です。使う人によって1面ずつ分ける、ハンガースペースと引き出しスペースを分けるなど、棚の配置を利用して収納物を区別することにも役立ちます。

クローゼットの配置:L型

(引用)リフォーム実例  住友林業のリフォーム

2方向にドアを設置したい場合や、窓を避けて棚を配置したいときに適しています。
L型に棚を配置すると、棚のコーナー部は収納しにくいデッドスペースとなりますが、マンションなど部屋の角にコンクリートの柱が突出している場合には、この柱に沿って棚を配置することで、デッドスペースを効率的に使用できます。

クローゼットの配置:コ型

(引用)リフォーム実例  住友林業のリフォーム

もっとも収納容量の多いタイプです。正方形のスペースや、広いスペースがある場合では、開口部以外の壁面を収納棚にする「コ型」のレイアウトが良いでしょう。L型と同じく、コーナーがデッドスペースになりやすいため、クローゼット内の広さと棚のサイズ、配置のバランスが大切です。

収納の目的をイメージしましょう

ウォークインクローゼットの設置にあたって考えておきたいのは、「主に何を収納するのか」です。たとえば、通勤するのか在宅ワークなのか、スーツ着用かカジュアルでOKなのかによっても手持ちの衣類の種類が変わるものです。シャツやジャケットなど、ハンガー利用がよい物が多いのであれば、ハンガースペースが多く必要になります。
一方、Tシャツやカーディガンなど、畳んで収納する衣類がメインであれば、引き出しなどの収納が多く必要になるでしょう。

もう一つ考えておきたいのが、「どこで使うか」です。ウォークインクローゼットは、着替えを行う部屋に隣接していると、動線が短く済むため便利です。そのため、一般的には寝室の隣、もしくは寝室の一部に配置されます。寝室はベッド以外の家具は少ないため、広いスペースを必要としません。その分のスペースをウォークインクローゼットに回しやすいということもあります。

部屋の一角をウォークインクローゼットとするのであればドアの設置も必要なく、その分の省スペース化や費用の削減につながるでしょう。

クローゼット内にあると良いもの

ここでは、クローゼットの付帯設備として用意したいいくつかを紹介します。

照明

ウォークインクローゼットには、広さに応じて適切な照明を設置します。暗くて見えにくいというだけで、使い勝手が大幅に下がるだけでなく、衣類の汚れや傷みに気づきにくくもなってしまいます。なるべくならコストを削りたくないポイントです。
なお、設置にあたっては、上段の収納のじゃまにならないよう埋め込み式か、シーリングライトなどの平らな形状のものを選びましょう。

コンセント

掃除機や除湿器、サーキュレーターの使用のためにコンセントがあると便利です。ウォークインクローゼットの一角に化粧台や書斎スペースなどを設けたい場合にも、コンセントが必要です。

窓もしくは換気扇

ウォークインクローゼット内の環境をより良くするためには、通気のための小窓の設置がおすすめです。クローゼット内はとにかく湿気がたまりやすいため、換気は必須です。部屋の広さや衣類の量によっては換気扇との併用も必要です。

ウォークインインクローゼットの注意点

棚のレイアウトと合わせて重要なのが「ドアのタイプ」です。たとえば壁付クローゼットのドアは、フルオープンが可能でドアの可動域が少ない、折れ戸が一般的です。一方、ウォークインクローゼットでは、フルオープンにする必要がないものの、布団など大きな収納物がある場合には広い開口が必要になるため、引き戸や可動間仕切りの設置がおすすめです。
引き戸や可動間仕切りの設置にあたって床のレールがじゃまになる場合には、天井吊り下げタイプを選ぶと、床の障害物が少なく移動が楽になるでしょう。

(引用)リフォーム実例  住友林業のリフォーム

なお、ドアなしのウォークインクローゼットや、クローゼット内を通り抜けられるウォークスルークローゼットにするのもおすすめです。特に省スペース化を図りたい場合は、ドアなしの間取りをおすすめします。

まとめ

クローゼットは、収納する物や収納の方法によって、必要な棚のサイズやハンガーの高さが変わってくるため、使いやすい形も人それぞれ違うでしょう。しかし、住宅を購入するときや新築するときには、こだわるべき部分が他にたくさんあるため、クローゼットまではなかなかこだわれないのが現状です。
実際に住んでみて、「収納の使い勝手が悪い」と感じる人は少なくないものです。しかし、リフォームなら計画する範囲が限られているので、たとえば棚板の寸法やレイアウトなど、細かい部分まで好みに合わせて造り変えるなど、しっかりこだわって計画することが可能です。収納方法や棚の寸法など、収納計画がまだ定まっていない場合には、可動棚の設置もおススメです。