ゴミ屋敷にしないために!いつもスッキリした住まいを確保する収納リフォームの考え方

住まいのこれから

不要な物が家の中にたくさんある状態では、リフォームだけで住まいをスッキリさせることができません。まずは、思い切って物を処分することが、片付く住まいの第一歩となります。

【ライタープロフィール】松野雄二

長年生活した住まいには多くの物が溜まり、目に見えて物が溢れているという状態が多く見られます。物が整理された片付いた暮らしをするためにはどのような住まいや暮らし方をしていけばいいのでしょうか。

実は、リフォームは片付く住まいを作るチャンスでもあります。今回は物が片付いたすっきりとした暮らしを送るため、収納リフォームについて考えていきましょう。

不満の出やすい収納スペース

東京都と大阪府の2都市で住まいに関する不満点を調査した当社のデータによると、「収納の多さ、使いやすさ」の不満を挙げる人は多く、東京では第3位(40.5%)、大阪では第2位(40.3%)と、いずれも上位に挙がっています。

住友林業のリフォーム「2019年版・住まいの実態調査【東京都編】」「2019年版・住まいの実態調査【大阪府編】」の情報を基に作図

これは一見、敷地や住まいの面積が比較的小さい傾向にある都市部であることが要因のようにも見えますが、全国的に見ても「収納の多さ、使いやすさ」に関する不満は40.4%(※1)にのぼっており、大都市部と同等の高い割合となっています。

一方で、国土交通省による統計によると、リフォームを行った場所のうち、最も多いのは「リビング」。次いで「キッチン」「トイレ」と続き、「収納」にいたっては、下位になっています。

国土交通省住宅局「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」P241 リフォームの部位を参考に筆者作成

ここからは、リビングなど長時間を過ごす場所やキッチンやトイレなど設備機器の更新が必要となる場所と比べ、収納は不満を持ちながらも後回しとする傾向にあることがわかります。しかし、リフォームにかけるコストを考慮すると、リビングや設備機器が優先されるのはごく自然なことなのかもしれません。

それであれば、リビング、水まわり、個室などそれぞれのリフォームに合わせて、収納棚を追加するなどのリフォームを選択することが賢い方法と言えるでしょう。
リビングのリフォームに合わせて壁面収納を作ったり、キッチン台の交換と同時に棚を充実させたりと、場所ごとに収納スペースを少しずつ確保していくだけでも効果があります。

片付く住まいとするためには、他の部位のリフォームと合わせて収納場所を整理していくことが大切です。

リフォーム前に物の処分を

片付いた暮らしをするためには、収納スペースの確保の前に、まずは不要な物をなくすことが大切です。そのような意味で、リフォームは物を処分するためのよい機会と言えます。リフォーム工事を行うために、必然的に物を減らす必要があるからです。その際にまず必要なことは、必要な物と不要な物を部屋ごとに分けることです。

就職や結婚で子が家を出ている場合、どうしても子の荷物の処分をためらってしまうことがあります。その際は子に連絡を取って処分の有無を確認する、どうしても必要なものは子に引き取ってもらうなど、できる限り住む人の物のみを残すようにしていくことが大切です。
また、不要であってもまだ使うことができる物は知人に譲る、リサイクルショップに引き取ってもらうなど、無料で処分できる物は早い段階で整理しておけば、工事前に慌てずに済みます。

このように、物で溢れない快適な生活を実現するためには、リフォームによって生活をリセットするつもりで、不要なものをなくすことが大切です。そうすることで初めて、間取りや収納の工夫で片付いた住まいを実現することができるのです。

物は適切な場所に収納する

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

片付く暮らしを行うためには、まずそれぞれの物を、使われる場所ごとに適切に収納することが大切です。それぞれの物が本来あるべき場所に戻っていないと、すぐに住まいは雑多になってしまいます。

物を適切な場所に収納するには、屋外、玄関、キッチン、洗面所、寝室などそれぞれの場所ごとに使う物をイメージし、それらを収納するスペースを作る必要があります。たとえば、洗面所であればタオルやドライヤーに加え、洗剤のストックや掃除用具、玄関であれば靴のほかに傘や靴ベラ、自転車の空気入れの収納スペースが考えられます。普段の生活をイメージし、それぞれに適切な量の収納スペースを確保することで物の居場所を明確にしましょう。

物の居場所を確保できたら今度は、使ったら元の場所に戻すことを徹底し、家のなかが散らかるのを防ぎましょう。リフォーム前に不要な物が処分されていれば、物の居場所を把握しておくことは簡単です。使いたい物をどこにしまったのかを忘れて、家中を探し回るようなこともなくなるはずです。

見えないように片付ける

リビングやダイニングなどの長時間過ごす場所や、玄関など来客時に利用する場所から物が見えないようにすることで、すっきりとした印象が生まれます。
収納スペースには扉やカーテンなどの目隠しをつけましょう。隠されていれば、そのなかに物がたくさんあっても問題ありません。普段過ごすリビングなどを物で囲まれないように工夫することが大切です。

引用)住友林業のリフォーム「戸建てリフォーム 収納

また、納戸やパントリー、ウォークインクローゼットなど、収納用に小さな部屋を確保すると、その場所に日用品や食料品のストックなどをまとめて置くことができます。玄関近くにも、小さめでもよいので玄関収納のスペースがあれば、屋外で作業する道具やバケツなどを適切に隠すことができます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

外に出す物は飾る物に限定する

物を隠すための場所を確保したら、収納スペースの外に出す物は見せていいもの、つまり飾る物だけに限定することも大切です。外に置いておいたほうが便利だからといって、日用品や家電を少しでも出しっぱなしにすると、たちまち物が外に溢れ出します。店舗のディスプレイを整理するイメージで、花瓶や小物、最新の雑誌など生活感が出ない物だけを外に出すことを心がけましょう。

引用)住友林業のリフォーム「戸建てリフォーム 収納

漫画や大量の本、趣味で集めた物などをディスプレイしたい場合、人によっては雑多な印象を受けることもあるので、リビングなどの共用部を避け、個室に飾るのが適切と言えます。
来客にとって印象が大きい場所である玄関も、日常的に使う靴以外は靴箱にしまい、しまう物、飾る物を明確に分けることですっきりとした印象を与えることができます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

まとめ

収納スペースは多くの人が不満を持つ場所です。既存の住まいの収納スペースでは物をしまいきれず、物が家中にあふれている家庭は多く見られます。そして、収納スペースは、不要な物で埋まっている場合も多いのが実情です。

不要な物が家の中にたくさんある状態では、リフォームだけで住まいをスッキリさせることができません。まずは、思い切って物を処分することが、片付く住まいの第一歩となります。

最近では、写真をデータ化することで大きなアルバムを持つ必要がなくなったほか、電子書籍が普及し、雑誌や本自体を購入しなくても読めるようになりました。こういったデジタルの力を使って物が増えるのを抑制することも大切です。

物を少なくし、増やさない生活を心がけるとともに、リフォームにより間取りや収納スペースを工夫していけば、片付く暮らしは実現できます。また、物が片付くことで、普段の掃除もグッと楽になり、短時間で済むようになりますし、物を探すことに時間が取られることもなくなります。
物が片付いた暮らしを実現することは、日常的な時間を有効に使うことにもつながるのです。

※住友林業のリフォーム「2019年版・住まいの実態調査【全国編】」
https://www.sumirin-ht.co.jp/oyakudachi/feature/sumailab/004065.html

ライタープロフィール

松野雄二

一級建築士

建築設計事務所で公共建築、商業施設、住宅等を担当し、独立。現在、住宅・リノベーション・店舗などの設計監理を行っている。