趣を受け継ぎ、約220年の旧家を住み継ぐ。さまざまな「つながり」を込めたリフォーム
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大阪府のTさまご夫婦がお住まいになっているのは、江戸時代より代々受け継いできた歴史ある建物です。ご家族の思い出が刻まれた既存材を活かしながら、耐震性や断熱性を高め、これからの世代も安心して住み継げる住まいへとリフォームしました。
歴史ある旧家を住み継ぐ決断
Tさま邸は、約220年の歴史を持つ旧家です。以前はご両親が暮らしていましたが、旧家特有の大きな段差や寒さなどが日々の負担になっていました。同じ敷地内には、Tさまご夫婦が約30年前に住友林業で建てた別棟があり、ご両親の暮らしやすさを考えてご両親は別棟へ移り、Tさまご夫婦が旧家を受け継ぐことを決断。
Tさまには「先祖代々受け継いできた家をこれからも大切に残したい」という強い想いがあり、当初から建替えではなく全面リフォームを希望されていました。そして、先祖から受け継いだ家はもちろん、そのまわりに広がる山や田畑とともに暮らしを育み、次の世代へとつないでいく。今回のリフォームには、そんなTさまの想いが根底にありました。
住友林業のリフォームを選んだ背景には、別棟で長年快適に暮らしてきたという確かな信頼感があったといいます。加えて、リフォームエンジニアが暮らし方や要望を細かく聞き取り、CGパースを用いて具体的なイメージを共有しながら提案していったことも、依頼の大きな決め手になったそうです。

外観は旧家の趣を受け継いだまま。大きな開口部が、庭と室内をゆるやかにつなぐ
耐震性・断熱性を高め、安心して過ごせる住まいへ
築約220年の旧家リフォームにおいて不可欠だったのが、耐震性と断熱性の向上です。Tさま邸は平成7年に他社でリフォームされており、新築当初から間取りや壁の位置が変わっている箇所がありました。そのため、事前に現況調査と耐震診断を行い補強計画を立てたうえで、解体後に実際の梁の位置を確認。必要に応じて耐震診断を再度実施しながら計画を調整しました。
「潰すつもりはなかったから、何とかこの家をリフォームしたい」とTさま。その想いに応えるため、220年の間この家を支えてきた骨組みを活かしながら、耐震性と制震性の両面から性能を高めています。耐震性は、耐力壁などで骨組みを揺れに耐えるよう強化。制震性は、制震ダンパーを設置し、地震の揺れを吸収することで建物への負担を軽減しました。また、寒さ対策として床下に断熱材を入れ、窓にはペアガラスやサッシを設置。湿気が気になるというお悩みには、床下に防湿コンクリートを打つことで対策しました。

雨戸と障子のみで、隙間から外気が入り込んでいた開口部。窓ガラスの設置で断熱性が向上
庭を望む南側を、家族が過ごすLDKへ
Tさまご夫婦にリフォームのこだわりについて尋ねると、「自然と庭を眺めながら過ごせる間取りにしたかった」と話してくださいました。もとの間取りでは、ご夫婦が多くの時間を過ごすダイニング・キッチンは北西側にあり、南側の庭に面した最も眺めのよい場所は、来客をもてなす応接室や二間続きの和室に面していました。
そこで、応接室と和室一室をなくし、南側の庭に面した場所にLDKを設けることに。窓を大きく取り、LDKのどこにいても庭の緑を楽しめるように計画しました。「室内から庭が見えることで、外とのつながりが生まれます。美しい緑を感じながらの生活は、日々をより豊かにしてくれると考え設計しました」とリフォームエンジニアは語ります。
かつて来客用だった特等席を、ご家族が普段過ごす生活の中心へと変えたことで、Tさまからも「一番いい部屋を、自分たちが毎日使えるようになった」と喜びの声をいただいています。

窓が大きく、LDKのどこからでも美しい庭を眺められる
こだわりと思い出が詰まったLDK
ご夫婦が多くの時間を過ごすこのLDKには、快適性を高める工夫とともに、ご家族の大切な思い出を受け継ぐしつらえが随所にちりばめられています。
天井裏に隠れていた大和天井をあらわしに
LDKの設計において象徴的なのが、既存の低い天井を撤去し、天井裏に隠されていた大和天井をあらわしにしたことです。大和天井とは、2階の床板と梁をそのまま1階の天井として見せる伝統的な建築意匠のこと。リフォームエンジニアは、大和天井を見せることで天井高を約3.5mまで引き上げ、長い年月を重ねた旧家ならではの重厚感を活かせると考えました。
しかし、いざ天井板を外してみると、ダイニング側は木材であるのに対し、リビング側には竹が使われていることが明らかに。ひと続きのLDKとして統一感をもたせるため、ダイニング側の既存天井はそのまま活かし、リビング側には新たに木部材を張って黒く着色。旧家の趣を損なうことなく、一体感のある空間に仕上げました。
「天井を張ってクロスで仕上げる方法もありましたが、それでは旧家らしい梁や高天井の迫力が薄れてしまいます。リフォームであっても、リビングとダイニングが異なる雰囲気になることなく、ひとつの天井として調和することにこだわりました」と、リフォームエンジニアは話します。

220年の時を刻んだ木と、新しい木が響き合う、ひとつづきの天井
家族が自然と集まる薪ストーブ
LDKの一角にある薪ストーブにも、Tさまの想いが込められています。お話を伺う中で「受け継いだ家だけでなく、山や田畑などの自然も活かして暮らし、次の世代へ残していきたい」と語ってくださったTさま。所有されている山林の木を薪として活用するため、薪ストーブの設置を希望されました。完成した薪ストーブは、暖を取るための設備としてだけでなく、ご家族が自然と集う温かな居場所となっています。

薪ストーブ背面の耐火壁の裏は書斎になっている

適度な籠もり感がある書斎。床を一段上げることで、ダイニングで過ごす家族の気配が伝わる。
受け継いだ良質な木を、新しい暮らしへ
Tさまご夫婦からは「歴史ある家なので良質な部材はできる限り活かしてほしい」というご要望もありました。その想いを形にするため 、リビングのテレビ背面に設けたアクセントウォールには、かつて広縁で使われていた床材を活用しています。
広縁は、お盆になると親戚が集まってスイカを食べたという、ご家族にとって思い出深い場所。板には、当時のコップの跡や傷がそのまま残っています。現代では手に入りにくい貴重なものであり、家族の思い出を刻んだ床材は、リビングの一角で、住まいの歴史を静かに語り継ぐ存在となりました。

「思い出の床を再利用してもらい、親戚が集まった時にはすごく喜ばれました」と奥さま
キッチンから玄関まわりの気配を感じられる工夫
キッチンまわりでは、玄関側への視線の抜けにも配慮しています。作業をしているときでも、玄関や外の気配を感じられるよう、壁の一部にアイアン格子入りのガラスをはめ込みました。格子入りにすることで玄関側からの視線をほどよく遮りつつ、キッチン側からは人の動きが把握できるようになっています。奥さまも「お客さまがいらした際など、キッチンにいても外の気配や玄関の様子がわかるので、おもてなしの準備がしやすくなった」とお喜びです。

旧家の空間に調和するデザインで、視線の抜けと落ち着きを両立
キッチンには、玄関と直接つながるパントリーも併設。土間からキッチンへと直接つながる空間となっているため、買ってきた荷物を直接キッチンへ運べるようになりました。日々の家事に寄り添う、細やかな配慮です。

玄関から入って右手(写真右奥)が、キッチンに併設されたパントリーにつながっている
旧家の奥座敷の格式を残す和室
LDKに隣接しているのは、Tさまが「子どもの頃から簡単には入ることができない特別な空間」として大切にされてきた奥座敷(和室)です。歴史ある趣をそのまま継承するため、既存の欄間や違い棚、雪見障子といった貴重な造作を大切に保存しました。
和室はあえて元の床の高さを残し、周囲のリビング・ダイニングの床を一段下げることで、空間に緩やかなメリハリを生み出しています。これにより、座敷としての高い格式を保ちながらも、玄関からリビングにかけての日常的な動線の段差を最小限に抑えることができています。

和室の小上がり部分にも、広縁の床を活用
玄関で使われていた桜材を、正面のしつらえへ
テレビ背面のアクセントウォールや奥座敷のほかにも、もとの家の趣を残す場所があります。それが玄関です。
かつては1帖程度とコンパクトだった玄関まわりを、ゆったりとした空間へと改修しました。一歩足を踏み入れると、正面の飾り床に設けられた風格ある美しい木部材が出迎えてくれます。これは、以前の玄関で使われていた桜の框と式台。地域の人々が腰を下ろし言葉を交わした、思い出深い部材です。
リフォームエンジニアは「家を象徴する大切な部材だからこそ、新しい玄関の『顔』として再生させたい」と考え、飾り床への移設を提案。現代では入手困難なほど大きな桜材が持つ、何十年もの年月が刻んだ深みのある色合いをそのまま活かすため、あえて塗装は施さずに自然な風合いを残しています。かつては地域の人とのつながりの場となっていた桜材は、その姿を変え、新たな家の顔として受け継がれています。

飾り床には間接照明を設け、掛け軸や花を飾れるように計画

子どもたちが手づくりしたテーブルを置いた土間の一角。ご近所の方との語らいの場となっている
過去と未来をつなぐ、これからの暮らし
リフォーム後に親戚一同が集まった際には、一様に写真を撮り始めるほど皆さまから喜ばれたといいます。さらに、子どもたちが帰省する頻度や、ご友人を招いて食事をする機会も増えたそうです。
「子どもたちに『歴史ある家を継ぎなさい』と強制するのではなくて、子どもたち自身が『この家だったら住みたい』『頻繁に行き来したい』と思えるような住まいになったと感じています」とTさま。既存材を活かしながら歴史ある旧家を住み継ぐことで、自然や家族、そして過去と未来など、さまざまな「つながり」を育む家へと生まれ変わりました。
このリフォームを担当したのは
住友林業のリフォーム 大阪中央支店
〒540-6017
大阪府大阪市中央区城見1-2-27 クリスタルタワー17階
TEL:0120-46-1091
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