大黒柱と丸太梁が美しい家|築100年の古民家が安全に暮らせる快適な住まいに

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埼玉県加須市にお住まいのK様ご夫婦は、築100年の古民家で娘さんご夫婦と家族4人で暮らしています。
由緒ある旧家の味わいを残しながら、耐震性と利便性を高めるために大がかりなリフォーム工事を行いました。

今回は「快適に暮らせる家にするための古民家リフォーム」に成功した事例として、ご紹介をさせていただきます。ぜひ参考にしてください。

1.リフォームのきっかけ

ここではK様がご自宅を、リフォームすることになったきっかけについてご紹介します。

(1)築100年の古民家のため耐震性に不安

K様のご自宅は築100年の由緒ある古民家です。
築年数がかなり古いため、耐震性に大きな不安がありました。
近年の日本では、大きな地震が定期的に発生することも多いので、お孫さんも「家が潰れて家族が下敷きになってしまうのではないか」と心配されていたそうです。

そのようなことからお孫さんが当社の「旧家リフォーム」の資料を取り寄せになり、K様は旧家再生のリフォーム事例などをDVDでご覧になっています。その後、イベントに足を運んでくださったことをきっかけに、本格的にリフォームの計画が進んでいきました。当社が企画開催している「百年の家 倶楽部バスツアー」にもご参加いただき、実際に存在する「再生した古民家」を見学されています。

(2)由緒ある古民家を後世に伝えていきたい

築年数100年という歴史があるY様宅は、ご家族を始めとする多くの方にとって、たくさんの懐かしい思い出が詰まったかけがえのない住宅です。
そのため、娘さんご家族や親戚の方も「大好きな家なので、壊さずに残しておいてほしい」という要望があったため、解体して新築するというのではなく、既存住宅をリフォームするという方向になりました。
築年数が古いため、「耐震性」「耐熱性」「利便性」などにさまざまな問題がありましたが、今回のリフォームですべて解決しています。

2.リフォームでのこだわりポイント

K様がリフォームする際に、特にこだわりたいポイントであげられたのは以下の3点です。

  • 大黒柱を目立たせたい
  • 家全体の耐震性を高める
  • 奥座敷・床の間をそのまま残したい

順を追ってご紹介しましょう。

(1)大黒柱を目立たせたい

奥様が特にこだわられた点のひとつに、「大黒柱を目立たせたい」というご要望がありました。
大黒柱は家全体の構造を支える大切な役目を担っている部材ですが、K家の歴史を伝える重要な存在でもあります。ご先祖様から大切に受け継がれてきた大黒柱を、これからもK家のシンボルとして残していきたいという思いがあったのです。

今回のリフォームでは、大黒柱の左横にリビングのドアを設置し、右横には格子を設けました。格子を設置することで、風通しが良くなり大黒柱を目立たせる効果も得られています。
床材に使用したウォルナットの落ち着いたカラーが、大黒柱の色味と調和して味わい深い雰囲気になりました。(上の写真)

(2)家全体の耐震性を高める

築100年の古民家であるK様宅は、耐震性の面で重大な懸念がありました。
工事をする前に耐震診断をしたところ、なんと結果は耐震診断の基準(is値)が0.3であり、震度6~7程度の規模の地震が発生すると、「倒壊または崩壊する危険がある」というレベルです。

今回のリフォームでは基礎を新しくして、耐震補強工事を行ったことで、is値を1.5に引き上げています。is値が0.6以上は「倒壊、又は崩壊する危険性が低い」ため、安心して暮らせます。*1

(3)奥座敷・床の間をそのまま残したい

以前の住宅の面影を家の中に残しておくために、「奥座敷と床の間をそのまま残したい」という点もこだわりのポイントでした。
経年劣化で傷みが激しかった和室は、壁を聚楽に塗り替えて障子は木枠ごと取り替えたことにより、新しく生まれ変わっています。
また、床の間の横にあった押し入れをなくして、かわりに仏壇を置きました。以前の面影を残しながら、美しい和室へと仕上げています。

3.【部位別】リフォームの内容

ここでは築100年のご自宅が、どのように快適な住宅に仕上がったのかについてご紹介します。

(1)古民家の面影を残した和風の外観

以前の住宅の面影を残した和風の外観です。
屋根には光沢が美しいいぶし瓦と、一部に軽量なガルバリウム鋼板を葺き替えました。
玄関の入口右手にある格子が温かみを添えています。
外壁は住友林業オリジナルのシーサンドコートで美しく仕上げました。

省エネ対策の一環として、太陽光パネルを設置しているため、LDKに床暖房を入れても電気代の負担が重くなりません。夏になると、売電収入のほうが多いそうです。

(2)使いやすい対面式のキッチン

今回のリフォームではすべての水回りを一新しています。
天井の丸太梁がインテリアのアクセントになっている、おしゃれなキッチンが完成しました。最新型の対面式システムキッチンを導入して家事動線が良くなっています。ガスレンジの部分は壁で囲み、ダイニングから見えないように仕上げました。

キッチンの背面には家電などを置く収納キャビネット、キッチン右奥にはストック食品を収納するパントリーなどを設置しているため収納には困りません。いつもスッキリと片付いているキッチンが実現しています。

(3)和の雰囲気が演出された洗面コーナー

和の雰囲気が感じられるスタイリッシュな洗面コーナーです。
高級感ある木のキャビネットにまるい手洗い器が、和モダンを演出しています。
勝手口や玄関の近くに設置されているため、帰宅後にすぐ手を洗えるのがメリットです。

こちらの洗面コーナーはセカンド洗面所で、バスルームにつながった洗面脱衣室にも洗面台が取り付けられています。家族の誰かが入浴する時に、わざわざ洗面脱衣室に入らなくても手が洗えるので気を遣いません。

(4)丸太梁があらわになった風格ある玄関

広々とした玄関ホールの天井に、立派な丸太梁が横たわっている印象的な玄関です。
既存の玄関より少し小さめにつくりました。

天井にはスギの無垢材、床には栗の無垢材を使用して、それぞれの木の良さを活かした空間です。経年変化により木の色が飴色に変わるのを楽しめます。清々しい空気の中、訪れるお客様を温かく迎え入れてくれることでしょう。

上がり框は腰掛けられる高さに設定しており、来客が多いK様宅では、玄関内で談笑を楽しむご近所の方もたくさんいらっしゃいます。

(5)立派な丸太梁で支えられた小屋裏収納

上の写真はK様宅の小屋裏収納です。玄関を入って右横の扉を開けると中に入れます。
以前は外部からしか入れませんでしたが、今回のリフォームでは内部からも入れるように仕上げました。立派な丸太梁をそのまま活かした広い空間となっています。

普段使用しないものを収納するのにちょうどよいスペースです。

4.リフォーム後の暮らしの変化

K様にリフォーム後の暮らしの変化について尋ねてみましたところ、以下のようなご回答をいただきましたのでご紹介します。

  • キッチンが新しくなり家事がラクになった
  • 家の中が温かくなり快適に過ごせる
  • 味わいのある梁をいつでも見られる

最新型の対面式システムキッチンを設置し、収納力たっぷりのキャビネットとパントリーも背面に備え付けました。家事動線が良くなり、料理をするときの効率性もアップしています。「食材を出す」「料理をする」「お皿に盛りつける」などの工程がスムーズに行くため、家事がラクになったと喜んでいただいております。ダイニングもすぐそばにあるので、配膳や片付けにも手間がかかりません。

「暖かい家」になったこともうれしいポイントです。築年数が古いこともあり、冬になると家の中が寒いのがK様宅の悩みでした。寒さ対策として断熱材を新しく補充し、LDKには床暖房を施工したので、真冬でもポカポカと暖かく快適に過ごせます。

家の中のさまざまなところで、むき出しにした丸太梁をいつでも眺められるので、古民家ならではの味わい深い雰囲気を楽しめるのもうれしい点です。

5.住友林業のリフォームについて

K様が当社にリフォームをご依頼されたきっかけなどについてお伺いいたしました。

(1)住友林業ホームテックを選んだ理由

お孫さんが当社に資料をご請求してくださったことがきっかけで、今回K様とご縁をいただくことになりました。最終的に当社を選んでいただいた理由としては、「旧家に関して実績がある」「図面やパースでの提案が分かりやすかった」ことなどがあげられます。

当社は築年数が古い旧家のリフォーム実績が豊富であり、今回のリフォームでもお客様のご希望を実現するためにさまざまなご提案をさせていただいております。

(2)住友林業ホームテックの対応

リフォーム工事に際しての当社の対応についてお伺いをしたところ、以下のようなご回答をいただきました。

  • 難しい要望に対してプランを考えてくれた
  • 間取りの工夫やリビングの天井高さを変えるなど提案力が高い

今回のリフォームでは、間取りを変更したり天井の高さを工夫したりするなど、生活動線を良くして開放感のある家づくりを目指しました。梁をむき出しにして天井の高さを上げるとともに、インテリアの一部として古民家の趣を演出しています。
リフォームが完了した後に見にいらしたお客様たちが、皆さん口々に「梁がすごい!きれい!」と褒めてくださったそうです。「もっと早めにリフォームすればよかった」とK様におっしゃっていただき、スタッフ一同心から感謝申し上げます。

6.まとめ

今回は築100年の古民家を、「安全・快適に暮らせる家」にリフォームした、埼玉県加須市のK様の事例について詳しくご紹介をさせていただきました。

築年数が100年のため、耐震性が危険な状態であったK様宅ですが、今回のリフォームで耐震補強工事を行ったことにより、安全に暮らせる住まいが実現しています。また、断熱性を高めて床暖房を導入したため暖かく過ごせるようになりました。お孫さんの代にも快適に暮らせる家として、これからもK様ご家族を温かく守ってくれます。

参考エビデンス
*1 一般財団法人 日本耐震診断協会「耐震診断の基準(is値)