丸窓のある古木調の家|築150年の古民家を美しく再生リフォーム

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旧家の後継者であるN様は、ご先祖様から受け継がれてきた古民家を、伝統を残しながら美しく再生したいというご希望をかねてからお持ちでした。

今回は「伝統を残しながら美しく再生した古民家」に成功した事例として、ご紹介をさせていただきます。ぜひ参考にしてください。

1.リフォームをした理由

ここではN様が築150年の古民家を、リフォームすることになったきっかけについてご紹介します。

(1)老朽化が進んだため

N様は千葉県市原市に、先祖代々受け継がれてきた築150年の古民家を所有されています。ここ30年ほどは空き家になっており、老朽化が目立ち始めていました。N様も小学2年生頃までは住んでいましたが、その後転居をされており、現在は誰も住んでいません。

空き巣に入られたこともありましたが、それすらもしばらくはわからなかったそうです。
N様はリフォームの必要性を感じながらも、居住していないということもあり、そのままにされていました。しかし、とうとう古くなった雨戸が落下するという状態になってしまい、いよいよリフォームを実行しています。

(2)代々続いた家なので継承していきたい

N家はもともと醤油の醸造を営んできた家系で、江戸幕府が成立したときに紀州から移ってきました。戦後まで醬油醸造所として家業を続けてきたそうです。
由緒正しい家柄であるため、築150年という歴史のある住宅を老朽化したとはいえ、壊すということは考えられませんでした。

本宅は別にあるため、こちらは別荘としてのご利用を検討されており、「住む」というよりは歴史ある建造物を「保存する」という意味合いで、今回のリフォームを行っています。
また、外科医であるN様は、将来的に「高齢者用の施設」としても建物の利用を考えていらっしゃいます。

2.リフォームでのこだわりポイント

N様がリフォームする際に、特にこだわりたいポイントであげられたのは、おもに以下の3点です。

  • 近代的なイメージは入れない
  • 使える古材は再利用する
  • 照明は和風のものをセレクト

順にご紹介していきましょう。

(1)近代的なイメージは入れない

N様はリフォームをするにあたり、「近代的なイメージは入れない」ということにこだわられていました。今回のリフォームの重要な目的は、伝統ある建物を「昔のままの趣」で保存することだったからです。

上の写真は伝統的な和風建築でみられる広縁(ひろえん:和室の南側に面して設けられた、細長い板の間の部分)です。昔はよく取り入れられた造りですが、現代の住宅の間取りではあまり見かけなくなりました。

住宅全体のカラーコーディネートも、「濃い茶色と漆喰の白色」のコントラストを大切にしており、和モダンな雰囲気に仕上げています。

(2)使える古材は再利用する

N様宅は150年前に建築された建物のため、貴重な古材や芸術性の高い建具が多く使われています。今となっては手に入れられない逸品もあり、リフォームする際にはこれらの部材を取り入れることも重要な目的でした。

上の写真はリフォーム後の玄関ホールですが、既存の住宅で使用されていた障子の腰絵を、絵画のように壁にかけてアートな空間に仕上げています。こちらの腰絵は80年ほど前に自宅に来た絵師さんが描いたものです。腰絵を飾ることにより、玄関ホールに華やいだ空気が広がっています。

(3)照明は和風のものをセレクト

照明はインテリアの中でも重要な位置を占めるものです。
築150年という重厚感ある建物にふさわしい照明には、和風のモダンなタイプを選びました。アンティークな雰囲気で、大正ロマン風な独特の世界が広がります。

3.【部位別】リフォームの内容

ここでは築150年の古民家が、どのように快適なお住まいに仕上がったのかについてご紹介します。

(1)緑の中に佇む純和風の建物

近代的なイメージは入れないというN様のご要望に沿い、建物外観は昔の素朴な面影をそのまま残しました。和やかな雰囲気を持つ純和風の建物が、庭の緑の中に佇んでいます。
屋根は一部のみを野地板からいぶし銀の瓦に葺き替えて、伝統的な趣を醸し出しています。

(2)旧家の雰囲気を残した最新式のキッチン

【キッチンのbefore】

上の写真はリフォーム前のキッチンです。
昭和初期の台所のような仕様になっています。
古民家の雰囲気は感じられますが、現代風に使いやすくしないと効率良く家事ができません。調理器具なども出しっぱなしになっており、雑然とした台所でした。

【キッチンのafter】

リフォーム後のキッチンは上の写真です。
伝統的な雰囲気を残しながらも、最新型の対面式システムキッチンを設置して、美しく使いやすいキッチンになりました。水回りの設備にはIHヒーターを取り入れています。腰の高さにある大容量のカップボードを取り付けたので、収納にも困りません。電動シャッター付きの窓を3箇所設け、明るい日差しがキッチンへと入り込みます。

(3)繊細な組子の建具が美しい和室

【和室のbefore】

上の写真はリフォーム前の和室です。
広々としていますが家具などが放置されており、雑然とした印象がありました。
昔は優雅な雰囲気であったものの、今となっては老朽化が進んでいます。

【和室のafter】

リフォーム後の和室が上の写真です。
和室二間の仕切りとして、繊細な組子(くみこ:釘を使わずに組み付ける木工技術)の建具を残しました。建具を閉めていても向こう側が見渡せるので、開放的な印象を与えます。
まるで大正時代にタイムスリップしたような、ロマンティックな気分を味わえます。

(4)古木調の意匠が際立つダイニング

ダイニングは和室が二間続きであったところを、フローリングにして広々と仕上げました。
天井の梁をむき出しにして、古木調の意匠が際立つモダンな空間になっています。
生活する場所として利用するダイニングやリビングは、掃除しやすいフローリングの床がぴったりです。

ダイニングテーブルセットや和ダンスも濃い茶色でまとめて、クラシカルな雰囲気にまとめています。

(5)高齢者にも対応できる広めのトイレ

N様は別荘として利用するほかにも、高齢者向けの施設としてもこの住宅を活用することを考えています。そのため、トイレは高齢者の介助がしやすいように、広々とした安全な造りに仕上げました。手すりも広範囲に設置して、高齢者が利用する際の負担を軽くしています。

便器の右手にはコンパクトな洗面ドレッシングも配置して、使いやすい仕様です。アーム付きのタンクレス便器なので、足腰の弱い方でも利用しやすくなっています。

4.リフォーム後の暮らしの変化

N様にリフォーム後の暮らしの変化について尋ねてみましたところ、以下のようなご回答をいただきましたのでご紹介します。

  • 別荘としての利用を検討
  • ご家族も喜んでいる

N様のご自宅は別にあるため、こちらの住宅は週に一度、別荘としてのご利用を検討されています。奥様やお嬢様も美しく生まれ変わった古民家に驚かれているそうです。お母様も大変喜んでくださり、たまに遊びに来られています。

5.住友林業のリフォームについて

N様が当社にリフォームをご依頼されたきっかけなどについてお伺いいたしました。

(1)住友林業ホームテックを選んだ理由

N様はインターネットで検索して当社を見つけましたが、決め手となったのは、「技術的な根拠」があったからだそうです。当社は「古民家の再生」では実績が豊富であり、たくさんの施工例をホームページや資料などで詳しくご紹介をしております。

当初は「宮大工を紹介する」というお話もあったそうですが、最終的に古民家の施工実績が豊富な当社を選んでいただきました。

(2)住友林業ホームテックの対応

リフォーム工事に際しての当社の対応についてお伺いをしたところ、以下のようなご回答をいただきました。

  • 担当営業の旧家に関する知識がすばらしい
  • 大工さんがよくやってくれた

N様を担当させていただいた営業は、古民家の知識を深く身につけており、さまざまなプランをご提案させていただきました。

下の写真は、当社の担当者が提案させていただいた「和室の丸窓」です。

丸窓は取り付けるだけでおしゃれな印象になり、こちらの和室も和モダンな雰囲気となりました。寺院など日本の伝統的な建築にも多用されており、N様宅の古民家にもぴったり合っています。デザインは当社の担当者がこだわりぬいたもので、N様にも大変気に入っていただいております。

また、当社は腕の良い大工さんにお仕事をご依頼しておりますので、技術面でもご安心いただけます。

6.まとめ

今回は築150年の古民家を、「伝統を残しながらも快適に住める古民家」にリフォームした、千葉県市原市のN様の事例について詳しくご紹介をさせていただきました。

古民家は新築の家ではなかなか出せない、深い味わい深さを楽しめます。古き良き時代の香りが漂う美しい古民家で、ゆったりとした時間をお過ごしください。