京風のデザインが印象的な老舗店|伝統を継承していく店舗併用住宅のリフォーム

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埼玉県草加市にお住まいのK様は、築40年の店舗併用住宅で暮らしているご夫婦です。
明治40年頃創業した「草加せんべい」の老舗としてお店を経営されており、近くには後継者である三女ご夫婦が住んでいます。

今回は銘菓「草加せんべい」を作り続けている老舗店の、店舗併用住宅のリフォーム例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

1.リフォームのきっかけ

ここではK様がご自宅を、リフォームすることになったきっかけについてご紹介します。

(1)お店が目立たないので何とかしたい

K様の店舗は国道旧4号線沿いにあり立地は悪くないのですが、店舗があまり目立たないことを以前から悩まれていました。駐車場も1台分しかないため、複数のお客様が来店された際は駐車スペースが十分でありません。店舗のデザインを目立つようにすることと、駐車場を確保することが重要な目的でした。

今回のリフォームでは、使用しなくなった蔵を解体して更地にし、駐車場の敷地にしています。お店のすぐ隣にあるので、お客様も駐車したらすぐに店内に入れるようになり、利便性を高めています。(下の写真)

(2)店舗と住まいの改装を同時にすることに

K様が経営されている草加せんべい店は三女ご夫婦が後継者となり、ご両親とともに毎日美味しいおせんべいを焼いています。いずれは同居する可能性もあるため、店舗と住まいの改装を同時にすることになり、2階には子供部屋もつくりました。他にはリビングを増設し、水回りをすべて新しくしています。

店舗の改装にも力を入れており、蔵に使用されていた古い梁を店内の意匠として活用しました。古材ならではの重厚感が感じられ、堂々とした雰囲気を醸し出しています。(下の写真)お店に来店されるお客様も「梁がすごい」「草加では珍しい」と口々にほめていただいております。

2.リフォームでのこだわりポイント

K様がリフォームする際に、特にこだわりたいポイントであげられたのは、おもに以下の2点です。

  • 店内に工夫がほしい
  • 仕事とプライベートを分けたい

順にご紹介していきましょう。

(1)店内に工夫がほしい

K様は草加せんべいのお店を経営されていますが、他のお店とはひと味違うお店づくりを希望されていました。
今回のリフォームでは、店内の天井を吹き抜けにして蔵の梁を再利用し、味わい深い趣をつくり出しています。陳列棚は造り付けにして商品が引き立つように設計しました。
若いお客様も増えてその意匠に感動されているそうです。売上もアップしてお店の経営も上手く行っています。

(2)仕事とプライベートを分けたい

K様宅は本家であり商売をされていることから、日常的に多くのお客様が訪ねてきます。そのような事情から三女ご夫婦は「プライベートと仕事を区別したい」というご希望を持っており、今回のリフォームでは「プライベートとパブリック」を区別しやすい仕様にしました。

家族が使用するプライベートリビングと、取引先の方に応対する畳スペースは光を透過する仕切りを閉めることにより、プライベートと仕事の時間を適度に分けられます。(下の写真)

3.【部位別】リフォームの内容

ここでは築40年の店舗併用住宅が、どのように快適なお住まいに仕上がったのかについてご紹介します。

(1)店舗と自宅の建物外観

【店舗の外観】

上の写真はリフォーム後のお店の外観です。
新たに大きな看板塔を設置して、道路からもかなり目立つようになりました。白い外観に京町家などでよく見られる「虫籠窓」を建物のデザインに取り入れて、和モダンな印象を与えています。

こちらの建物は基礎の高さがもともと低く、建築確認申請を提出する際に「添え基礎」が必要となりました。筋違いも全て新設し、建物の強度をかなり向上させています。

【自宅の外観】

上の写真は、自宅部分の建物外観です。店舗と同じように落ち着いた雰囲気に仕上げています。玄関入り口と2階には縦長のスリット窓を設置して、外界から適度な光が入るように設計しました。白いしっくい壁が映える美しい外観の建物です。

(2)ゆったりとくつろげる癒しの畳スペース

こちらの畳スペースは、ゆったりとくつろげる和の空間で、お店と作業場の近くに位置しています。仕事の合間に少し横になって、休憩するのにぴったりです。特にお父様がこだわったスペースで、家族の憩いの場以外にも、お客様をもてなす場所として利用しています。小上がりになっているので、ベンチ代わりに腰かけてリラックスするのにも最適です。

(3)広々としてくつろぎやすいリビング

K様宅は来客が多いため、広々としたリビングを希望されていました。
リビングダイニングは増築し、嫁がれた2人の娘さんがご家族で訪ねてきてもゆったりと過ごせます。そのため、ダイニングテーブルは大人数での食事に対応できるように、テーブルを伸ばせる仕様にしました。家族だけのときには折りたたみをするため、スペースを有効活用できます。床材には使い込むほど味が出る竹材を使用し、和モダンな雰囲気に仕上げた素敵なリビングです。

(4)明るくて使いやすいモダンなキッチン

以前のキッチンは北側にあるため採光が悪く、昼間でも電気を付けないと暗い空間でした。
作業もしにくいため、家事が効率良くできないのが悩みです。
今回のリフォームでは北側に縦長のスリット窓を3つ設置して、明るさを確保しました。窓は開閉できるため、換気の点でも問題ありません。システムキッチンは落ち着いた赤色を選び、収納力が豊富なタイプを採用しました。調理器具などをきちんと収納できるので、いつもスッキリとしたきれいな空間をキープできます。

(5)明るくて風通しの良いバスルーム

以前の住宅ではバスルームは別棟にあり、使いにくいのが悩みでした。
寒い冬の時期には、移動しているだけで震えあがってしまいます。
そのため、今回のリフォームでは、同じ家の中に新設しました。お風呂場はキッチンの近くにあり、生活動線も良好です。

浴槽は大きめのタイプを選び、ゆったりと足を伸ばしながら気持ちよく入浴できます。浴槽の上部には格子状の窓を設置して、明るさと通気性を確保しました。

4.リフォーム後の暮らしの変化

K様にリフォーム後の暮らしの変化について尋ねてみましたところ、以下のようなご回答をいただきましたのでご紹介します。

  • 仕事とプライベートを分けられるようになった
  • キッチンが明るくなった

店舗併用住宅のメリットは、自宅で仕事ができるため効率良く時間を使えることですが、一方、プライベートとの線引きが難しいため、「家にいながらリラックスできない」という悩みもしばしば発生します。

今回のリフォームでは、プライベートで使用するリビングと、仕事&プライベートで使う畳スペースを仕切ることで空間を分けました。気持ちの切り替えがしやすくなり、オンとオフの区分けが実現します。

北側にあるキッチンにはスリット窓を設置して光が取り込めるようになり、明るい空間の中で水仕事を快適に行えます。

5.住友林業のリフォームについて

K様が当社にリフォームをご依頼されたきっかけなどについてお伺いいたしました。

(1)住友林業ホームテックを選んだ理由

K様は「日本建築なら住友林業」というお考えをされており、当初から当社にリフォームを依頼することを決めていたそうです。そのため、展示場でモデルハウスを見学されることもなく、すべてK様と当社の担当者で工事内容について話を進めていきました。

お店の部分に関してはK様ご家族からのご要望をヒアリングしたうえで、担当者が適切なプランを提案させていただいております。住居に関しては、ほぼ当社がご提案したプランに同意していただきリフォームを行いました。

住友林業ホームテックは「伝統ある木の家」「古民家の再生」などで知られているハウスメーカーです。K様には当初から厚いご信頼をいただいたことを大変うれしく思います。

(2)住友林業ホームテックの対応

リフォーム工事に際しての当社の対応についてお伺いをしたところ、以下のようなご回答をいただきました。

  • こちらの要望に対して現場でその都度、対応してくれた

リフォーム中もK様ご家族は敷地内で生活されていたので、まめに工事の様子をご覧になっていました。K様は毎日、工事担当者と話をして、飾りや照明の追加など変更したい点をその都度、伝えています。K様のご要望に対して現場の大工さんも上手く調整してくれたため、仕上がりには大変ご満足いただいております。

6.まとめ

今回は築40年の店舗併用住宅を、「伝統的な和の意匠が印象的な建物」にリフォームした、埼玉県草加市のK様の事例について詳しくご紹介をさせていただきました。

明治40年頃に創業した「草加せんべい」の老舗店として、地元の人々により愛される素敵なお店に生まれ変わりました。自宅の部分も快適に住める環境になっています。
これからも訪れるお客様が深く感動するような、素敵な空間のお店です。