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つくば支店からのお知らせ

住友林業のリフォーム つくば支店 完成現場のご紹介10

2025年11月20日

実例紹介

 

みなさんこんにちは。

今回はつくば支店で行った守谷市の書院(推定明治5年築)を曳家で残すリフォーム事例をご紹介します。

 

周辺市街化開発の影響で敷地内に計画道路が掛かることになり、先祖から引き継いだ書院を残すか、取り壊すかを考えた際に

弊社の「旧家リフォーム実例見学会」に参加し、旧来の姿を残しつつ現代的な住みやすさも兼ね備えた旧家を目の当たりにし、

"こんな風になるのなら書院を残せる!"と感じたそうです。

"先祖から受け継いだ建物を後世に残すことが、受け継いだ私の最後の大事業だと思う。"

そんな当主の決意から、曳家による旧家再生が始まりました。

 

ただ、老朽化も進んでいたこの建物が本当に残す価値があるのか、曳家にこの建物が耐えうるのか、不安と迷いもあったと言います。

当主の不安と迷いを受けて建物調査を行った結果、蟻害や築年数なりの躯体のゆがみは見られるものの、

構造躯体に大きな損傷は無く、今回の曳家に耐え得るものと分かりました。

 

①外観

書院部分は旧来の佇まいを残すべく、大胆な間取り変更などの手法はとらず、足りないスペースは増築という形で補いました。

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門をくぐると想い出の旧家が姿を現します。

敷石のアプローチの先に旧家が見え、右側の増築部分はあえて市の保存樹のソテツで隠れる配置とし、旧家ならではの庭の景観も残しました。

 

曳家とは

「曳家」とは建物や橋、重量物を移動する伝統的な工法です。

道路拡張計画や土地区画整理などに伴い、建物の移転を迫られた際や歴史的な建築物や貴重な文化財等をそのままの姿で移動して保存するといった場面で採用されます。

古来から受け継がれて現代も進化し続ける工法であり、専門的な知識と高い技術力が求められます。

 

【工事前】

図4.png

図7.jpg 図9.jpg

1)移築する建物はスケルトン状態に解体し屋根を養生します。

2)建物を基礎から切り離しジャッキで浮かします。

3)その際に建物全体の歪みを修正(建入れ直し)、劣化した柱・土台の入れ替えを行います。

 

【工事中】

図5.png

図10.jpg 図11.jpg

4)1で建入れを修正した形状に合わせて移動先に新しい基礎を作ります。

5)建物下部にレールを敷きジャッキで浮かせた建物をレールに乗せて移動させます。

 

【工事後(完成)】

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図13.jpg 図14.jpg

6)新たに作った基礎の上に建物を移動後、建物を下ろし基礎と緊結させます。

建物を解体することなく移動させることができる。これが曳家工事です。

 

②リビング・ダイニング

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家族の生活の中心となるリビング・ダイニングは、広縁の大きな開口を残して陽当たりを確保し

床と天井材をオークに替えて明るく開放的な空間に再生しました。

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部屋と庭を行き来できるように広縁は土間に変更し、開放的な空間としました。

 

③内装(事務所)

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代々引き継いだ書画や花器などを床の間と違い棚に飾り、プライベートな住居とはあえて切り離して地域の方々や来客に開かれた空間に。

既存の建具や欄間、造作は極力残し、もとの旧家の佇まいを残しながらも広縁と和室をつなげて広々とした空間を実現しました。

畳だった床はフローリングに張り替え、なぐり調フロアならではの質感が床の間ともよく馴染んでいます。

 

④内装(玄関)

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事務所用玄関には襖を、居住用玄関には欄間を移設しました。

欄間は本来、部屋と部屋の境目や、部屋と縁側の境目に設けられ、採光・通風・装飾などの目的で使われます。

今回は、リフォームならではの新たな価値で再利用をしました。

 

100年先も使い続けられることを見据え、「受け継いだ建物を後世に残す事」、「耐震・断熱・省エネ性能のUP」、

「世代が変わっても使い続けられる間取りとすること」を大事にしてリフォームをしました。

 

 

いかがでしたでしょうか?

つくば支店では今回ご紹介したようなリフォーム実例を実際にご覧いただける現場見学会を定期的に開催しております!

また、随時リフォームのご相談も受付けておりますので、お気軽にご相談ください。

 

 

担当:リフォームエンジニア 松岡