Vol.09『町の遺産』奈良県奈良市 O様邸 築約120年
情緒あふれる奈良の町並みに美しい旧家が佇んでいた。
奈良県奈良市、歴史と伝統を感じさせる町並み。
観光客も訪れるというその町の一角に、一軒の美しい旧家が佇んでいた。
この家の奥様によると、明治時代に建てられたもので、築100年はくだらないのだそう。
「もともとは米屋を営んでいたんです」そう語ると、なつかしそうに家を見上げた。
「奈良町の景観形成建造物に指定されました」
この旧家は終戦直後に購入して以来、店舗兼住宅として使っていたため、修理が難しかったのだと言う。
本格的に改修を考え始めた頃、奈良町の景観形成建造物に指定されたこともあり、ようやくりフォームに踏み切ることにした。「私がお嫁に来た当時の姿を、この先もずっと守り続けたい」その想いを、住友林業ホームテックに打ち明けた。
「景観に溶け込むように工夫を凝らしました」
住居であると同時に、地域の大切な財産でもある家。
役所の担当者とも綿密に打合せを重ね、景観に溶け込むデザインにするのはもちろん撤去した瓦や廃材置場には室内の一部を使用するなど、工事中も景観を損なわないように徹底。さらに外観を美しく保つために堅樋を目立たない場所に移動、室外機を格子の内側に設置するなど、数々の工夫を重ねた。
「景観はそのままに室内が明るく、心地よくなりました」
2階には天窓を設け、裏側の屋根にはガラス瓦を採用。景観を損なうことなく明るさを手に入れた。
「近所の方に驚かれました。観光客の方も、喜んで写真を撮って行かれます」とうれしそうに微笑む奥様。美しい旧家はこの先も、歴史ある町並みと、大切な思い出を次の世代に守り継いでいくのだろう。
奈良県奈良市 O様邸のリフォームデータ
所在地 | 奈良県奈良市 |
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築後年数 | 約120年 |
総工事床面積 | 160.76㎡ |
工事期間 | 4ヶ月 |
歴史ある町並みに溶け込む、美しい旧家。
旧家の間取りはそのままに、内装を一部リフォーム。
二階にトップライトを設けることで、心地よく明るい空間へ。
外観(リフォーム前)
外観(リフォーム後)
終戦直後に改装されて以来手つかずだった旧家は、歴史ある町並みに溶け込む美しい姿へと生まれ変わった。
和室
二間続きの和室は、広々として光があふれる空間に。
洋室
洋室にもたっぷり光が入るよう工夫を施した。
梁
梁の間から室内へと光が射し込む。
階段
歴史を感じさせる箱階段。足元も明るくなり安心。