人も動物も快適に!
ペットと楽しむ植物・アロマの使い方
植物やアロマは、快適で癒やしのある空間作りに欠かせないアイテムです。特にペットと一緒に暮らしている場合、ペット特有のニオイが気になっている方も多く、消臭効果のあるハーブやアロマを試してみたいという声もよく聞きます。しかし、人にとっては有益でも、ペットにとっては危険な植物やアロマもあります。そのため、インテリアに取り入れる際には注意が必要です。
そこで、ペットにとって有害な植物・アロマのほか、危険を減らすための使い方や置き方までご紹介。ペットと一緒に過ごすお部屋をより快適にするためのヒントをお伝えします。
ペットとの暮らしに植物・アロマを上手に取り入れるには?
人が感じる植物やアロマの癒やし。ですが、多くの場合、ペットにとっては異なる感じ方をしています。そのため、導入の仕方や扱い方を間違えるとペットを苦しめてしまう可能性があります。ペットとの生活に植物やアロマを導入する前に知ってほしいメリットと注意点をご紹介します。
植物を取り入れるメリットと注意点
酸素を生み出したり不要な化学物質を表面に吸着したりと、植物には空間を清浄化する効果があります。そのため、ペットを飼っている家庭でも、植物は積極的に取り入れたいアイテム。
しかし、人間の子供もそうですが、ペットは気になるものが目の前にあると触れたくなるものです。場合によっては食べてしまうことも。少量であれば問題ない場合もありますが、植物の種類によっては食べると中毒症状を起こすものもあります。植物をペットとの暮らしに取り入れるためには、触れたり・食べたりできないよう置き方を考えなければなりません。
アロマを取り入れるメリットと注意点
アロマにはリラックス効果があり、香りによってはペットも人間も癒やされる空間を作ることができるでしょう。特に犬はラベンダーやローズの香りを好むことが多く、嗅ぐとリラックス効果を得られることもあります。また、上手に使えば、ペット特有のニオイ対策にも活用できるはずです。
ただし、人間とペットは嗅覚が異なるため、香りの感じ方が大きく異なることを知っておいてください。ニオイは鼻の中にある嗅覚受容体にニオイ物質が吸着することで感じます。人の鼻には嗅覚受容体が約5百万個、犬は約2億2千万個あると言われていて、その差は44倍。人が感じることのできないわずかなニオイもしっかり嗅ぎとっています。さらに、犬が最も好む香りは腐った肉や魚のニオイです。一方、犬が好まない香りは酢酸などのツンとしたニオイや柑橘系のニオイです。つまり、人とペットでは好きなニオイや安心するニオイ、また反対に嫌いなニオイが異なるということ。人間にとって良い香りが必ずしもペットにとっては好ましい香りではないため、強制的に嗅がせることでストレスを与える可能性があることも頭に入れておきましょう。また、ペットは基本的に自分のニオイが大好き。なわばりに自分のニオイをつけるのも安心して過ごせるからです。そのため、人にとって気になるペット特有のニオイも、ペットにとっては安心するために不可欠なニオイだということを覚えておいてください。
【ペットの種類別】ペットNGな植物・アロマ
ペットと暮らす方に特に知っておいていただきたいのが使用禁止の植物やアロマがあることです。アメリカの動物毒物管理センター(ASPCA)では、ペットの種類別に有害な植物や家庭用品などを公表しています。この記事で取りあげる植物やアロマ以外にも犬・猫にとって有害なアイテムはたくさんあるので、気になる方は以下のサイトも確認してみてください。
参考:ASPCA「Animal Poison Control」
犬にとってNGの植物
犬にとってNGの植物は主に次の通りです。
- ネギ類
- ユリ科の植物(スイセン・チューリップ・アロエなど)
- ヒヤシンス
- ポインセチア
- ポトス など
上に挙げた植物をかじることで嘔吐や下痢などの中毒症状が出ることもあります。(※犬の体調や体格によって許容量は異なります)
犬にとってNGのアロマ
犬にとってNGのアロマは主に次の通りです。
- ユーカリ
- ティーツリー
- ペパーミント
- ペパーミント
上に挙げたアロマオイルを舐めてしまうと、犬の肝臓に負担をかける可能性があるため、犬と暮らす場合は使用しないほうが良いでしょう。
猫にとってNGの植物
猫はデリケートなので、NGの植物は犬よりも多くなります。
- ユリ科の植物(スイセン・チューリップ・アロエなど)
- シクラメン
- アジサイ
- ポインセチア
- ダリア
- デイジー
- ゼラニウム など
特にユリ科の植物は猫にとって有害で、少量でも摂取すると急性腎不全を引き起こす可能性があります。
猫にとってはアロマ全般がNG
猫を飼っている場合は、どのようなタイプのアロマであっても使わないほうが無難です。
アロマに使われる精油には、猫の体内で分解できない成分が含まれています。猫は自分の体をきれいにするためによく毛繕いをしますが、その際に体毛に付着したアロマオイルを口に入れてしまうこともあります。このことからも、猫を飼っている家庭ではアロマの取扱に十分注意しなければなりません。
ペットとの暮らしに植物・アロマを取り入れるときに注意したいこと
ペットとの暮らしに植物やアロマを取り入れる際はその置き方にも工夫が必要です。
植物はペットが触れない場所に置く
先ほども書いたように、ペットが誤飲すると有害な植物があります。食べなかったとしても、犬や猫は興味本位で植物をかじったり土を掘り返したりすることがあるため、できるだけペットが触れられない場所に置きましょう。
そこで、おすすめなのがハンギング。吊り下げて飾れば、ペットは簡単に触れることができなくなります。ただし、猫は吊り下げた植物に飛び乗ることもあるため、植物をサークルで囲ってしまうほか、ジャンプしても届かない位置の壁に付けるなどの工夫が必要です。そのほか、鉢植えの土は大きな石や網で覆うと掘り返し対策になります。
締め切った場所でアロマを使わない
アロマを使う場合は、締め切った空間で使用しないことも大切です。一般的に犬が好むとされるラベンダーやローズであっても、体調や香り方のほか、犬によっては不快に感じる可能性があります。もし犬が嫌だと感じたら自分で香りとの適切な距離感をとれるよう、窓やドアを開けておくなどいつでも移動できる環境にしておくことが大切です。
リードタイプのディフューザーがおすすめ
アロマの香りを楽しむとき、ディフューザーとして加湿器タイプや加熱式タイプ、噴霧式タイプなどを使う方が多いのではないでしょうか。このようなディフューザーは香りを部屋に充満させるのには適していますが、ペットのいる空間ではおすすめできません。もしペットの苦手な香りだったり香りが強すぎたりしたときに、ペットが逃げ場を失ってしまうからです。
そこで、おすすめなのはリードタイプのディフューザーです。リードタイプでは、アロマオイルにさしたスティックから香りをゆっくり放ち、部屋全体に充満させるというよりは、周辺に香りを漂わせることのできるディフューザーです。また香りの強弱はスティックの本数などで調整しやすいので、ペットにストレスを与えにくいでしょう。
その代わり、リードタイプのディフューザーは倒してしまうと、アロマオイルがこぼれる危険もあります。そのため、ペットが触れられない場所に置くようにしましょう。
ペットとの暮らしに植物やアロマを使う際に一番大切にしたいのが、置いたり、使ったりしたときにペットがどんな反応を示すのかよく観察すること。リラックスしてニオイによっていくこともあれば、落ち着かなかったり、明らかに嫌がることもあるでしょう。
家族同然の存在だからこそ、植物や香りを押しつけず、ペットが自ら自分の居場所を選べるような環境を作っていきましょう。
監修者プロフィール
-
獣医師・博士(獣医学)
茂木 千恵(もぎ ちえ)さん - 東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学博士課程修了。専門は獣医動物行動学。2022年1月に往診専門動物病院モンパニエを開設。ペットと飼い主のQOL向上を目指し、各所で講師としても活動中。