これなら始めやすい!

「株主優待」の楽しみ方

新NISA制度が始まり、資産運用に興味を持っている方が増えてきている昨今。投資に関するニュースもよく聞かれるようになりましたね。最近、株式投資で得られる「株主優待」の人気が復活していることはご存じでしょうか。株主優待は、対象となる企業の株式を一定数保有している人だけが得られる特典のことです。今回は、投資の楽しみとして人気を誇る株主優待の基礎知識や銘柄の探し方をご紹介します。

これなら始めやすい!「株主優待」の楽しみ方

株主優待の基礎知識

株主優待の基礎知識

一般的に株式を保有すると年に1~2回配当金を受け取れます。そこに加えて受け取れるのが、「株主優待」です。株主優待のある銘柄を保有すると、保有株数や保有期間に応じて自社商品や商品券などさまざまな品物がもらえます。つまり、株主優待とは、自社株式を一定数保有する株主に対する謝礼のようなもの。そのため、すべての企業が行っているわけでも、必ず配布されるものでもありません。そこで、株主優待目的の投資を始める前に知っておくべきポイントをご紹介します。

株主優待は日本独自の制度

株主優待は日本独自の制度といわれています。実は諸外国でも日本と同じように株主優待を提供している企業はあるものの、その数はわずか。一方、日本で株主優待制度を実施している企業は2024年10月現在約1,500社あり、上場企業の4割にあたります。諸外国では基本的に企業の利益は現金で還元するという傾向にありますが、日本ではお中元やお歳暮といった贈り物文化が浸透しているため、株主優待のある企業の人気が高いという説もあるようです。

日本における株主優待の歴史は古く、明治時代には鉄道会社が株主に対して株主優待乗車証を発行したという記録が残っています。

株主優待は企業のファンを増やせる制度

企業側から見ると、株主優待は少々手間のかかる制度です。商品の準備や発送には手間も費用もかかります。純粋に利益を還元することを目的にするなら、配当金を増やしたほうが楽といえるかもしれません。しかし、それでも株主優待制度を実施する企業が多いのは、株主優待が企業のファンを増やせる制度だからです。

株主優待を求める方の多くが、株式の長期保有を考えている個人株主です。個人株主は企業の商品やサービスを利用する消費者でもあります。その消費者に対して、企業利益を商品でかんげん還元することは、いわば自社商品を配布して宣伝をおこなうようなもの。その宣伝効果を期待して、株主優待制度を続けている企業も多いと考えられます。

なぜ今注目されているの?
株主優待の人気が復活している理由

なぜ今注目されているの?株主優待の人気が復活している理由

コロナ禍においては、株主優待を廃止する企業が相次ぎました。それが2023年以降に一転し、株主優待を新たに開始したり、内容を充実させたりする企業が増えています。株主側としても株主優待への期待感が増していて、さまざまなメディアで株主優待の特集が組まれています。では、今なぜ株主優待の人気が復活しているのでしょうか。

新NISAによって個人の投資家に期待する企業が増えているから

大きな理由の1つとして、2024年から導入された新NISA制度の存在があるでしょう。一般的に株式を保有する際は、運用益の約20%を所得税として納税しなければなりません。しかし、NISA制度を利用すれば非課税となります。新NISA制度では従来のNISA制度よりも年間投資枠が大きくなり、1年間に最大で360万円まで非課税で資産運用できるようになりました。また、非課税のまま保有できる期間も無期限となっています。

新NISA制度を利用すると投資がよりお得にできるため、新しく投資を始めたり投資額を増やしたりする方も増えると考えられます。そうした方に投資先として選んでもらえるように、企業側は株主優待を充実させて、魅力的にみせているというわけです。

株主優待が家計を支えるありがたい存在になり得るから

ここ数年世界情勢が不安定になり、物価が高くなったと感じている方も多いのではないでしょうか。それだけではなく、天候不良や災害の発生によって、特定の商品が品薄状態になることもあります。
こうした状況下において、さまざまな商品をもらえる株主優待は家計を支えるありがたい存在になる可能性も。普段からよく使う食料品や消耗品、少し贅沢をしたいときのための外食やレジャーなど、株主優待で利用できるなら、それだけでも価値があります。

株価の動きを気にしすぎなくて済むから

2024年に入ってから、国際情勢や国内の政治動向を受けて株価の値動きが乱高下する時期がありました。短期間で株式を売買する際は、こうした株価の乱高下を見て一喜一憂することもあるでしょう。しかし、株主優待を目的と考えれば基本的に長期保有が中心となるため、必要以上に株価を気にする必要がなくなります。このように見ていくと、株主優待目的での投資は、今の世の中にマッチしているといえるかもしれません。

初心者も楽しめる!
株主優待の買い方&探し方

初心者も楽しめる!株主優待の買い方&探し方

株主優待を受けるためには、株主優待を実施している企業の株式を購入する必要があります。上場企業は約4,000社あるので、どこの株式を選んだらいいのか迷う方も多いでしょう。また、もっと前段階で「株式をどうやって購入したらいいのかがわからない」という方もいるはずです。そこで、初心者の方にもわかりやすく、株主優待の買い方や探し方をご紹介します。

株主優待をもらうまでの流れ

株主優待をもらう前の、株式を購入するところから始めましょう。初めて株式を購入する場合は、口座開設など時間がかかるので、早めに手続きを済ませることをおすすめします。

1.証券会社の口座を開設する
株式を購入するためには証券会社の口座が必要です。まずは証券会社の窓口や郵送・インターネットで口座開設の手続きをしましょう。どのような方法であっても必要事項への記入や本人確認書類の提出が必要なので準備します。手続きから口座開設までの期間は証券会社によって異なりますが、郵送なら10日、インターネットなら1日くらいが目安です。証券会社に出向いて窓口で手続きをする場合は即日で口座開設できることもありますが、待ち時間が長くなりがちなので事前に来店予約をすることをおすすめします。新NISA制度を利用して資産運用したい場合は、新NISA用の口座を開設することになりますので、口座開設時に注意しましょう。
2.株式を購入する
証券会社の口座開設が完了したら、株式を注文できるようになります。株式の注文方法として一般的なのは証券会社の会員用サイトからのオンライン注文です。まずはオンラインで注文するためには、株式を購入するための資金を証券会社の口座に入れなければなりません。サイト内の「現物買」という箇所で購入したい銘柄を検索して、注文する株式数や金額を入力して注文します。どの銘柄を購入したいかについては、企業の業績や株主優待の内容を見ながら事前に検討しましょう。
株式を注文するときは、次のどちらかの方法で行います。
指値(さしね):株価を指定して注文する。価格重視で注文するときに使う。
成行(なりゆき):株価を指定せず注文する。価格を問わず、必ず購入したいときに使う。
3.権利確定日まで一定数の株式を保有する
株主優待を受けるためには、権利確定日まで一定数の株式を保有しておく必要があります。多くの企業では、事業年度末や上半期末の決算日などを権利確定日として設定しています。事業年度は企業によって異なるため、購入を検討している銘柄がある場合は権利確定日を事前に確認しておきましょう。

株主優待を受けるために株式を購入する際は、権利確定日の2営業日前の「権利付き最終日」までに購入が完了していなければなりません。これは配当金や株主優待の権利を得るために必要な株主名簿への記載に2営業日かかるからです。権利確定日に株主名簿に名前が記載されていれば、株主優待を受けられます。
4.株主優待の受取
企業によって異なりますが、権利確定日から2~3カ月ほどで株主優待の商品が届きます。複数の商品から選択する必要なケースあるので、適宜指示に従って連絡しましょう。

株主優待銘柄の探し方

株主優待を楽しみに国内株式投資に挑戦してみたいけれど、どうやって銘柄を選んだらよいのかがわからないという方もいるかもしれません。そこでおすすめの株主優待銘柄の探し方を3つご紹介します。

① 普段利用しているお店やサービスの銘柄をチェック
よく利用するお店やサービスを調べてみると、上場企業が運営しているケースがあります。飲食店や交通サービス、スポーツクラブなどを運営している企業は、株主優待として自社のサービスの無料券や割引券を発行していることが多いのでぜひチェックしてみましょう。
② もらったら嬉しい品物を送ってくれる企業を探す
普段使っていなくても、もらったら嬉しい商品を株主優待として送ってくれる企業を選ぶのもおすすめです。たとえば、地方銀行などではその土地の名産品を株主優待の商品にしていることがあります。ほかにも、食品や日用品を扱う企業では自社商品の詰め合わせセットを送ってくれることもあるので、注目してみましょう。
③ 投資金額から探す
投資は初めてだけど株主優待を楽しんでみたいという方には、少額の投資金額で株主優待を得られる銘柄から始めるのをおすすめします。少額だと5万円程度から権利を得られるので、ぜひチェックしてください。注文する銘柄を探すときは株式情報サイトを閲覧すると、最低単元株数や金額、株主優待の内容を確認できます。

株式を注文するのに適したタイミング

気に入った銘柄を見つけたからといって、すぐに注文するのはおすすめできません。こまめに株価をチェックして、「この株価なら購入してもよい」と思える金額で指値注文するとよいでしょう。株式情報サイトでは、期間ごとの株価の値動きを示すグラフを確認することができます。また、業績評価や投資家の意見などを見られるので、今後の株価を予想しながらなるべく安く買い付けできるように注文してみましょう。株価の値動きをチェックすることが習慣になると、株式投資初心者も投資の楽しさや奥深さを経験できるはずです。株主優待が人気の銘柄の場合、権利付き最終日は株価が上昇することもあります。狙った銘柄はなるべく早めに値動きのチェックを始めるとよいでしょう。
株式の変動に左右されにくく、気軽に始めやすい株主優待で、投資をもっと身近に楽しんでみませんか?

監修者プロフィール

藤川ゆきえ
(終活ライター/2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
早稲田大学政治経済学部卒業後、化学メーカーの経理部に勤務。夫の海外駐在に帯同するため、結婚と同時に退職し専業主婦に。専業主婦期間中に祖父母の認知症介護、相続、遺品整理に直面したことで終活の大切さを実感し、終活ライターとして活動し始める。Webサイトや雑誌向けに終活関連の記事を多数執筆。
プライベートでは株式投資歴20年。無理のない長期保有を心がけ、株主優待を利用しての外食や旅行も楽しんでいる。