「除湿」と「冷房」どっちがお得?
エアコンの賢い使い方
今年の夏も、異常とも言えるうだるような暑さが続きました。家の中で過ごす時間が増えた方も多かったのではないでしょうか。そんな時に気になるのが、エアコンにかかる電気代。冷房と除湿の仕組みやなるべく電気を低く抑える方法など、住友林業の家でより快適に、おトクに過ごして頂くためのポイントをダイキン工業株式会社の武井萌々子さんと西川明里さんに解説していただきました。
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意外と知らないエアコンの仕組み。
どうやって室温を下げているの?
今や生活に欠かせないエアコン。特に近年の夏はエアコンなしでは過ごせないほど高温の日が続き、毎日稼働させている家庭も多いでしょう。では、外も中も暑いのに、なぜエアコンは室内温度を下げることができるのでしょうか。そのヒントがゆで卵にあります。
ゆで卵を作るとき、ゆでた卵を冷水で冷やしますが、冷やした冷水はぬるくなってしまいますよね? この熱の移動を利用したのがエアコンです。
エアコンには「室内機」と「室外機」のほかに、それらをつなぐ「パイプ」が通っています。中には冷媒と呼ばれる冷たい液体が流れており、室内の熱をもった空気が室内機に送られると、パイプの中を通る冷媒が熱を奪い、冷たい空気が室内へと戻されます。ゆで卵が部屋、冷水が冷媒のようなイメージです。でも、そのままだといずれ冷媒もぬるくなってしまいますよね。そこでエアコン内では、熱を蓄えた冷媒がパイプを通って室外機へと送り出され熱を外に捨てているのです。
熱を奪われて冷たくなった冷媒は、そのままパイプの中を移動し、また室内機に戻ります。つまりエアコンは、部屋の空気から熱だけを部屋の外に追い出すことによって、室温を下げているのです。
ちなみに、外も暑いのになぜ冷媒は熱を放出できるのか? その答えは圧力鍋と同じ原理にあります。より低い温度でも圧力をかけると熱くなるのと同様に、圧力をかけて取り込んだ熱を外気温より上昇させ、部屋の外に熱を移動させているのです。
冷房と除湿は何がどう違う?
エアコンには「冷房」と「暖房」のほかに、「除湿」という機能があります。除湿の仕組みは実は冷房と同じ原理。コップに冷たい水を注ぐと周りに水滴がつくように、冷たい空気は水分をため込めなくなります。つまり、部屋の温度を下げると蓄えられなくなった水分がどんどんホースから出ていくことに。この「温度が下がると水分量が減る」ことを利用して、室内の水分量を減らしているのが、除湿機能なのです。
ということは冷房と除湿は同じ、なのでしょうか?実は除湿機能には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」という2つのタイプがあります。「弱冷房除湿」は、空気中の水分を減らすために温度を下げた空気をそのまま部屋に戻して、室温を下げるものです。文字通り弱い冷房をかけているようなものなので、冷房までの空冷効果はなくても少し寒く感じることがあります。
一方、「再熱除湿」は、温度を下げた空気を再度温めなおして、ちょうど良い温度の空気に直してから部屋に戻します。温度を変えずに湿度だけを下げることができますが、空気を温め直す分「弱冷房除湿」よりも少し消費電力が上がります。
一般に「再熱除湿」は各メーカーの上位機種に搭載されていることが多いのですが、最近では「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の良いところを取り入れた機能を開発して、消費電力を抑えつつ寒くなりにくい工夫をするメーカーも増えています。
ダイキンの「さらら除湿(リニアハイブリット方式)」は、温度や湿度に合わせて最適な除湿方式を自動切替。パワフルに除湿を行い、寒くなりにくいうえ、再熱除湿より電気代が低く抑えられます。
ここがポイント!電気代を安く抑えるエアコンの使い方
ではエアコンをどのように使えば、快適かつ節電につながる使い方ができるでしょうか。
温度・風量の設定を見直す
環境省が推奨する夏の室温目安は28℃ですが、外気温や湿度、日当たりなどによって、快適に過ごせる室温は異なりますので、健康を第一に考えて、エアコンの温度は柔軟に調節することが大切です。設定温度は消費電力に大きく関わり、冷房の設定温度を1℃上げると約13%の節電になるといわれています。そこで活用したいのが風量です。およそ風速1m/sで体感温度は1度下がるといわれており、温度を下げる代わりに風量を上げれば、体感温度は下がります。
おすすめは、エアコンの風量自動機能を使うこと。冷房で28度に設定しても、まだ暑いと感じる場合は風量を上げて調整してみましょう。電気代の節約につながります。
室内の温度ムラをなくす
冷たい空気は重いため、床(下方向)にたまる性質があります。エアコンは機体の周りの温度によって運転を行うため、室内の温度ムラがあると過剰に冷やしている可能性があります。そこで冷房運転の風向は「下向き」ではなく「水平」にし、上から下に冷気が自然に下りるようにするのがポイント。室内の温度ムラを防いで電気代の節約につながります。
さらに、空気清浄機や扇風機、サーキュレーターなどを併用すれば効果が高まります。エアコンと上下左右の対岸に置き、天井方向に風を送るようにすると、冷たい空気が循環し、効率よく部屋が冷やされます。空気清浄機を使用する際は風量を強くするのがポイントです。
スイッチのオン・オフは控えめに
エアコンのスイッチを入れた直後は、早く部屋を冷やすために消費電力が多くなります。そのため、食事や入浴で一時的に部屋を空ける間や、買い物に出かけている間など、少しの時間であればエアコンをつけっぱなしにしておいた方が節電になることがあります。特に外気温が高い夏の昼間などは、30分~1時間程度であれば切らずにおくほうがお得です。
2週間に1度を目安にフィルター掃除を
エアコンは空気を吸い込んだり吐き出したりすることで室温を変えています。そのため、エアコン内部のフィルターが目詰まりすると、一度に交換できる空気の量が少なくなり、より多くの電気を消費することになります。フィルターはこまめに掃除するように心がけましょう。また、意外と見逃しがちなのが室外機。「空気の通り道」を作るためにも室外機まわりはすっきりと、余計なものは置かないようにしましょう。
「冷房」と「除湿」を上手に使い分けて
人間が快適と感じる環境は、温度と湿度のバランスで決まります。雨の日や夜間などは湿度を下げるだけで不快感が減ることも。一般的に消費電力は「弱冷房除湿<冷房<再熱除湿」の順で高くなるため、蒸し暑さを感じる時は冷房ではなく弱冷房除湿にすると、電気代の節約につながります。
買い替えも視野に入れて、健やかな毎日を!
技術は日々更新されているため、長く同じエアコンを使っている方は、これを機に最新のものに買い替えるのも、節約効果を高める一つの方法です。エアコンの省エネ性能は年々向上しています。まずはカタログで消費電力を計算して、現状と比べてみてはいかがでしょう?
また、エアコンの快適性もアップしています。エアコンを苦手とする理由として「風が体に当たるのが嫌だ」「冷えすぎるのがつらい」「フィルター掃除が面倒」などを挙げる人は少なくありません。最近のエアコンは気流をコントロールする機能や、部屋を素早く適温にする機能、掃除を楽にする機能などが搭載されている機種も多くあります。
エアコンはもはや生活インフラのひとつ。エアコンを上手に使って健やかな毎日を過ごしましょう。
(参考)
1時間あたりの電気代の目安を調べる方法
1.カタログで該当機種の消費電力を調べます。
≪カタログ記載例≫
2.計算式にあてはめて1時間の電気代を計算します。
1時間あたりの電気代 = 消費電力( kW )× 電力料金単価( 円 )※1 × 1( 時間 )
※1. 一般的に電力料金単価は31円/kwh(税込)で算出します。(主要電力会社10社平均単価)
1時間あたりの定格電気代 ・・・ 0.5KW × 31円 / KWh × 1時間 = 15.5円
1時間あたりの最小電気代 ・・・ 0.105KW × 31円 / KWh × 1時間 = 3.3円
1時間あたりの最大電気代 ・・・ 0.92KW × 31円 / KWh × 1時間 = 28.5円
例えばこの機種の場合、冷房の1時間あたりのおおよその電気代の目安は15.5円となります。
エアコンはお部屋の状況により能力を変化させるため電気代も変動し、約3.3円~28.5円の間で運転します。
取材協力・画像提供:ダイキン工業