特別対談
知る人ぞ知る家具
「sphere」
その誕生を語る。
〈前編〉第3話
2025.2.14
個性的にして
普遍的なデザインの誕生
川村
カリモクさんの中でも僕がとても好きな家具がありまして。そのデザイナーさんと話した際に、「自然界には、いわゆる直線や直角はないんですよ、どこか必ずカーブしている」と伺ったのが、すごく印象に残っていました。
そういう、自然の持つ優しさを取り入れたいという思いはありましたね。
副島
とてもよくわかります。
川村
というのも、住友林業の家は木の家で、無垢のフロアが特徴的なわけです。無垢の床というのは、使い始めてから深みが増していく良さがある。家も、お引渡しした後にお客様が住みながら育てていく。
それが「普遍的」な、本物の家の良さだと思うんです。だから、そこに入れる家具もやっぱり本物じゃなきゃいけない。
副島
経年変化で、家具も家も深みが増していく。そういうことですよね。
川村
家具というのは、毎日使う、座る、触れる、横になる…、そういう大事な道具。
でも単に便利な「道具」というだけではないと思うんですよ。
本当に気に入った家具を使うことで、気持ちよく使え、どんどん愛着が増す。
そういう、家具の持っている力があるんじゃないかなと思っているんです。
副島
僕もそう思います。
川村
とある外国人の方の家にお邪魔したときに、大きなチークのダイニングテーブルがありまして。
その方が言うには、「このテーブルは祖父が買ったものです。世界中どこの国に転勤になっても大事に持っていくんです」と。
そういう思い入れを受け止めるものが、本物の家具だと思うんですよ。
副島
いい話ですね。
川村
住友林業の家に住んでいる方も、同じように、子、孫の世代までずっと住み続けてくれたらいいなと。
まあ、家具メーカーさんにとったら買い替えてもらった方がいいかもしれないけど(笑)。
副島
いえいえ、最近は修理をしながら長く使いたいというお客様も増えてきて、うれしく思っています。
川村
スフィアの話に戻ると、長く使ってもらえる普遍的な家具、パッと見て「かっこいい」じゃなくて、長くしっくり気持ちになじむ。
そういう家具をカリモクさんに作ってもらいたいという思いがありましたね。
副島
世界の中では、北欧の家具にそれを体現するようなものがありますね。
スフィア開発のコンセンサスをとる時に、参考にしたのを覚えています。
川村
そう、北欧の家具は日本の家にも合うと僕も思います。
副島
当時の時代背景もあって、お客様に選ばれる特徴のあるものでなくてはいけない。でも、ずっと使い続けてもらえる、普遍的な家具にしたい。
そういう中から、価値が変わらないデザイン、ということにまとまっていきました。
川村
そうだったね。
副島
普遍的でありながら、当時の「カリモク」らしさとは異なるものを目指した結果、スフィアのデザインが生まれた。
このデザインは、他メーカーさんでも似た雰囲気のものはあるかもしれませんが、カリモクの中では抜きん出たデザインなんです。
川村
いや、他のメーカーさんと並べても、個性的なデザインだと思いますよ。
細部まで神経が行き届いていて、綺麗にまとまっていて、全体には普遍的な印象がある。
個性的で普遍的。相反することに見えて、それが両立しているんです。
個性はあるけれども、空間に溶け込む。そのバランスがいいと思います。


