特別対談

知る人ぞ知る家具
「sphere」
その誕生を語る。 〈前編〉第2話 2025.2.14

後にも先にもない
開発の手法だった

開発時のデザイン画

副島

「普遍的」なデザイン、という川村さんからのテーマをどう捉えるか。
長く使っていただいて飽きない、タイムレスな家具デザインというのはどういうものだろうか、と実際に長く愛されている世界の家具の写真を集めたりしながら、まず最初にカリモクの開発チームでコンセンサスを取っていきました。

川村

そこが一致していないといけないからね。

副島

最初が違っていると、どんどん違う方向に行ってしまいますから。ここでデザイナーが何パターンか絵を実際に描き、それがコンセンサスしたものと合っているかどうかを見極めたうえで、試作品を作っていく。通常の家具なら、そこで社内的に検討してブラッシュアップして発売、となるんですけれども。

川村

スフィアでは違った、と。

副島

そうですね。
試作ができたところで、川村さんはじめ住友林業さんに実際に見ていただいて、そこからブラッシュアップさせた。これがスフィア開発の特徴ですね。

川村

そうそう。カリモクさんの名古屋の本社に行ったり、新横浜のショールームに試作品を見に行ったり。

副島

川村さんたちと一緒にデザインから試作、ブラッシュアップを繰り返して。
発表まで、すべて住友林業さんと協力してやりましたが、後にも先にもこの開発方法をとったことはないです。スフィアだけ。
まったく今までになかった動きでした。

川村

こちらからは、当初はざっくりしたことしか言わなかった。
相手はプロですから、その方が期待以上のものが出てくるものです。
あ、そうだ。最初に「カリモクらしくないデザインにしようよ」、ということは言いましたね。

副島

そうですね。コンセンサスを取る段階から、「らしくない」ことを考えていました。

川村

試作品については、どんどん意見をくださいというので、開発した人を前に細かいことまでずいぶん遠慮なく言ったなあ(笑)。
カリモクさんから見れば得意先に当たる私たちが開発のテーブルに一緒についているというのはなかなかないことで、開発チームにも新鮮だったかもしれないね。

副島

そのやりとりも面白いというか、貴重な経験でした。開発チームのメンバーにも恵まれていましたし、いいタイミングでした。

<第3話に続きます>