認知機能、身体能力の低下...高齢者の困りごとをリフォームで解決しよう!

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日本人の高齢化は今後も進んでいくと予測されています。(※) そこで気になるのが、年齢を重ねるごとに進む、身体能力や認知機能の衰えです。
高齢になるにつれ、若いころは当たり前にできていたことが不自由になるものです。そんな高齢者のさまざまな困りごとには、どのように対応すればよいのでしょうか。

今回は、高齢者の認知機能の衰えと、それが原因で起きること、その対応策についてご紹介します。

高齢化社会と認知機能の低下

日本の総人口に対する65歳以上の人口が占める割合(高齢化率)は、28.4%にのぼっています。

内閣府「令和2年版 高齢社会白書(全体版)」表1-1-1より筆者作成

また、平均寿命は平成30年現在、男性が約81歳、女性が約87歳と伸び続けているのが現状です。(※1)

高齢になると脳の機能が低下して、記憶力や判断力に衰えを感じるようになります。「財布をどこにしまったのかしら?」「今日は何日だっけ?」といった、もの忘れの経験がある方も多いのではないでしょうか。

日常生活を送るうえで問題がなく、何かきっかけがあれば思い出せるもの忘れは、認知症ではありません。一方、体験したことそのものを忘れてしまったり、もの忘れをしたこと自体の記憶がなかったりする場合は認知症の疑いがあります。
「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いをまとめておきましょう。

政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報>もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン」の情報を基に作図

認知機能の低下によって起こることとその対策

画像引用)住友林業ホームテック「最新設備体験レポート

年齢を重ねることによって、もの忘れが起きるのは、老化現象のひとつであることがわかりました。では、日常生活を送るうえでもの忘れによって困る出来事には、実際にどのようなものがあるのでしょうか。

コンロの消し忘れ

高齢者は認知機能や運動機能が低下することから、ガスコンロやストーブなど、火を使用する器具には特に注意が必要です。安全面を考えると、キッチンをリフォームしてIHコンロや自動消火機能が付いているガスコンロを採用するのがおすすめです。
最近のガスコンロは、高齢者向けのサポート機能が充実している製品もたくさん見られます。そのなかでも高齢者向けのガスコンロに欠かせないのが、消し忘れ防止機能です。これは、一定時間が経過すると自動的に消化する機能を搭載しているため、高齢者を火災から守れます。
コンロを清潔に保つことも、高齢になると体力を使う家事のひとつです。その点、天板がフラットでメンテナンスしやすいコンロにすると、家事のストレスを軽減しつつ清潔な環境で生活を送れるでしょう。

蛇口の閉め忘れ

キッチンだけではなく、洗面所、浴室、トイレなどの蛇口を閉め忘れた経験がある方も多いのではないでしょうか。長時間流しっぱなしになった水はもったいないだけでなく、高額の水道代の請求につながります。特にひとり暮らしの高齢者の方は、家族やヘルパーさんなどが気づくまで蛇口から水が流れっ放しになってしまうケースも見られます。

そこでおすすめしたいのが、水まわりをリフォームして自動水栓を採用する方法です。近年、キッチンだけではなく、トイレや洗面所でも自動水栓に対応した製品が販売されています。吐水口に内蔵されたセンサーが物や手の動きに反応するため、締め忘れが起こりません。

玄関ドアの鍵の閉め忘れ

玄関ドアの鍵の閉め忘れは、空き巣や窃盗の被害やトラブルに巻き込まれるケースにもつながる危険な状況です。窃盗を目的として住宅へ侵入する場合は、窓を割ったり、ピッキングをしたりするイメージがありますが、実際は空き巣被害の半数以上が無施錠の住宅です。

警察庁ウェブサイト「住まいる防犯110番|侵入窃盗の侵入手口」の情報を基に筆者作成

空き巣は犯行前に下見をすることが多く、玄関の鍵を閉め忘れがちな家は目を付けられる危険があります。家の中にいても、鍵を閉め忘れた玄関から空き巣が忍び込んでくるかもしれません。
そこで、検討したいのが玄関ドアのリフォームです。ボタンを押すだけの簡単操作で開け閉めが可能な玄関ドアに取り替えると、防犯面のみならず荷物が多いときに便利です。

画像引用)住友林業ホームテック「玄関リフォームの費用相場や事例を詳しく解説

いつも外出時に持ち歩くバッグに鍵を入れたままにしておけば、ワンタッチで鍵の開け閉めができ、鍵を探す手間も省けます。

照明のつけっ放し

画像引用)住友林業ホームテック「バリアフリーリフォームのポイントや事例を詳しく解説

すぐに事故やトラブルにつながるわけではありませんが、照明のつけっ放しも続くと気になる高齢者ならではの悩みです。そこでおすすめしたいのが、人の動きをセンサーで感知してスイッチがオンオフする、人感センサー付きの照明です。夜中にトイレへ起きたときの廊下や、階段、玄関外のポーチなどに取り付けると、動きに応じて点灯して必要がなくなれば自動的に消灯してくれます。

まとめ

年齢を重ねると認知機能の衰えにもの忘れが増えることによって、身近な生活上の悩みが多くなります。ひとつひとつの悩みは小さくても、それらが重なることで日常生活の不便さにつながります。
こうしたと困りごとを解消し、快適に生活する方法のひとつとして、今回ご紹介したようなリフォームがあります。いまは、消し忘れや閉め忘れによって起こる被害やトラブルを未然に防ぐために高齢者の視点に立ったさまざまなリフォームプランが用意されています。
これを機に、高齢者が暮らしやすく、安心安全な住まいに向けたリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。