リフォーム時に考えよう ゴキブリ駆除や侵入対策に強い建物

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ゴキブリは見た目が不快なだけでなく、人間の生活や健康にさまざまな害を及ぼすものです。健康被害では、サルモネラ菌や赤痢菌などの病原菌を媒介させるおそれがあります。フンや死骸はアレルゲン物質となり、空気中にそれらが飛散することで、さまざまなアレルギー症状を引き起こす原因にもなりかねません。また、住宅への被害では、ゴキブリによる電気系統のショートなども発生するおそれがあります。このような影響があるにもかかわらず、ゴキブリの侵入を一切許さない住宅というのは、現実的には難しいものです。
では、ゴキブリの侵入を少しでも防ぐためにはどんな方法があるのでしょうか。今回はその対策やそのためのリフォーム方法についてご紹介します。

ゴキブリが好む環境とは

ゴキブリが好む環境によく当てはまるものは「キッチン」です。「エサがある」「家電の放熱であたたかい」「暗いすき間がある」「水まわりである」という"好条件"がそろっています。また、給排水管のすき間などが侵入経路になるため、浴室や洗面所などでも目にすることが多いでしょう。
現在の住宅は高気密高断熱のエコ住宅が増えていますが、一年を通して快適な温度が保たれるため、ゴキブリにとっても住みよい環境になりかねないのです。

ゴキブリが嫌う環境

ゴキブリが嫌う場所とは、ずばり「好む環境とは正反対の環境」です。あたたかくジメジメした場所を好むゴキブリは、反対に乾燥した場所や寒い場所をきらいます。また、暗い場所に潜むことが多いため、明るい場所やかげの少ない広い場所にはいつきません。こうした条件から、冬場は姿を見かけることも少なくなり、居なくなるものだと思いがちですが、冬はあたたかい場所で越冬しています。そのため、冬場は保温効果のあるダンボールなどを撤去し、定期的な換気によって冷たく乾燥した空気を家じゅうに送ることで、住宅内での越冬を防止できます。

住宅でできるゴキブリ対策

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ゴキブリの侵入を防ぐためには、侵入経路をふさぐことが一番の鉄則です。ここでは、どのようなすき間に注意したいのか、そのポイントを紹介します。

配管のすき間

まずは屋外からの侵入を防ぐために、配管のすき間を埋めましょう。流し台の下には配管が通っていて、その配管と底板や床板とのあいだにわずかなすき間ができている場合は多いものです。流し台の下が戸棚になっている場合は、戸棚の底板と配管のすき間も要チェックです。配管のすき間を埋めるパテはホームセンターなどで売られています。

エアコンドレン

エアコンには、排水用の細いホース(ドレン)があります。ドレンの片方は室内のエアコン本体に、もう片方は屋外につながっているため、侵入経路になりやすい場所です。専用のキャップを購入し、取り付けておくとよいでしょう。

配電盤やブレーカーの蓋のすき間

電気系統のショートを防止するためにも、配電盤への侵入もシャットアウトしましょう。ここは普段ほとんど使わないため、異常に気づきにくいものです。日常的に利用しない場所は、侵入を防ぐことを特に意識しましょう。

防虫グッズを配置する

冷蔵庫の下などの手入れがしにくい箇所は、あらかじめ防虫シートを敷いておくと、一定期間の虫よけ効果を発揮してくれます。発生してしまったゴキブリには毒エサが有効です。ゴキブリを見かけた場所や、部屋の隅などにこれらを設置しておくと、知らないうちに効果を発揮してくれているので、直接ゴキブリと対決したくない方におすすめです。住宅内だけでなく、ベランダや植木鉢の近くなどにも屋外用の毒エサを仕掛けておくと、屋内へ侵入する前の対策が可能になります。

燻煙剤やスプレーを定期的に散布

燻煙剤やスプレーは、多くのメーカーからさまざまな種類の製品が出ていますが、同じ製品ばかりを繰り返し使うと、ゴキブリが成分に慣れて効果が薄れることがあります。使用する薬剤は定期的に変えたほうが良いでしょう。なお、化学合成薬剤をなるべく使用したくない場合は、天然成分を使用した製品がおすすめです。

ゴミや食料品の保管を徹底する

キッチンでは、調理くずや野菜くずがエサとなってしまうため、こうしたゴミを毎回しっかり掃除することが重要です。また、ゴミ箱は蓋つきを使用し、排水溝や三角コーナーのくずも放置しないことが、ゴキブリを寄せ付けないためにもっとも有効な対策です。ゴミだけでなく、使い終えた食器類にも食べ物が付着しているため、洗い物の放置もしないようにしましょう。食器をすぐに洗うことが難しい場合は、食洗機の利用もおすすめです。

リフォームで目指したい対策

風の抜ける窓設計で通気性を確保

あたたかい場所で越冬するゴキブリは、寒い場所が苦手です。ですので、冬場に冷たく乾燥した空気を定期的に送ることで、住みつきにくい環境づくりに役立ちます。
現代の住宅は、プライバシー性と断熱性を重視し、窓が少ない傾向にありますが、風が住宅内を通り抜ける配置であれば、窓の量が少なくても十分な換気が可能です。北から南、東から西というように、風が通るルートをイメージしましょう。また、住宅密集地など、そもそも風が入りにくい場合は、エアコンや除湿器を活用することで対策できます。この場合も、住宅内に冷気や乾燥した空気を回すため、住宅内の通気性が重要になります。

掃除をしやすい環境づくり

ゴキブリの繁殖を防止するためには、エサとなるゴミが落ちていない衛生的な環境が大切です。そのためには掃除が重要ですが、間取りが単純で、物が少ない部屋ほど掃除をしやすくなります。ものかげをつくらないことはもとより、不要なものを置いたままにして隙間を作らないようにしましょう。脚の短い家具も床とわずかな隙間をつくるため、ゴキブリが好みやすい場所になります。水まわりなど、ゴキブリの好むところには置かないようにしたいものです。これらはゴキブリの発生を防ぐだけでなく、発見を遅らせないことにも役立ちます。

ゴミ置き場、ダンボール置き場を確保する

ゴミやダンボールを一か所にまとめて置くようにすると、ゴキブリ対策が分散せず重点的に対処できます。ただし、ゴミ置き場であっても通気性は必要です。ゴミ箱をなるべく床から浮かせることを意識することで、ゴミの取りこぼしを防ぎ、掃除のしやすさが向上します。
戸建て住宅であれば、屋外にゴミ置き場を設置するのも良いでしょう。その際は、近隣の迷惑にならないよう、ニオイ漏れにも注意が必要です。ゴミ置き場を作る場合は、キッチンから出入りできる勝手口の近くで、汚れたら水洗いできるつくりとしましょう。

まとめ

住宅はもともと風通しの良さや採光量を十分に考慮して設計されていますが、そこに家具や家電、ものが増えてくることでかげになりやすく、湿気が溜まりやすい場所が徐々に増えてしまうものです。

家具を減らすことは難しいものですが、家具と床との距離を床掃除ができる程度あけることで、掃除がしやすくなり、通気性も向上します。掃除用ロボットを使用している家庭では、ロボットの可動範囲も広がるでしょう。こうした対策は、ゴキブリの発生だけでなく、ホコリ溜まりやカビの発生防止にも役立ちます。

ゴキブリ対策には「湿気対策と掃除」がもっとも重要ですが、これは人間の住環境をよくするためにも役立ってくれます。湿気対策や掃除をしやすくなるリフォームが、ゴキブリ対策のリフォームとなってくれるでしょう。
ちなみに、近隣で解体工事やリフォーム工事などが行われる場合は、そこから逃げてきたゴキブリが流れてくることもあるので要注意です。すき間のチェックや、出入口のスプレー散布などを行い、侵入を防ぎましょう。