「転勤が心配で家が買えない」 マイホーム購入のベストタイミングとは

暮らし・住まい

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マイホームを購入する予定のある方、いずれは購入したいと思う方は、自分のライフイベントや収入に合わせて検討するようにしましょう。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

30代、40代は転勤が多い時期であり、マイホームを購入しようかどうか迷う方が多いのではないでしょうか。マイホームを購入したとたんに転勤となってしまうのは、精神的にも金銭的にもつらいものです。だからといって先送りしてしまうと、ご自身の年を重ねてしまい、住宅ローンの審査が通りにくいといった別の問題と直面するかもしれません。また、社宅暮らしの場合は住居費が安いぶん他の出費に回してしまい、マイホーム資金を十分貯蓄できない、ということも起こりえます。

今回は、マイホーム購入のタイミングや、購入後に転勤になってしまった場合の対策について解説します。

マイホームを購入するタイミング

国土交通省の調査によると、どのような住宅の場合でも30代後半から40代前半のうちにマイホームを購入する人がもっとも多いという結果が出ています。

国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査報告書|P36」より転載

この場合の購入金額ですが、国土交通省によると「注文住宅」の4,486万円が一番高く、このうち78%を住宅ローンでまかなっています。次に多いのは「分譲マンション」の4,393万円。こちらも74.4%が住宅ローンです。自己資金比率(頭金が購入金額に占める割合)が一番低いのは分譲戸建住宅(3,757万円)で、79.4%を住宅ローンが占めています。
一方、購入価格が一番低いのは「中古マンション」の2,213万円で、住宅ローンの占める割合は63%です。「中古住宅」も購入金額は2,696万円、住宅ローンの割合は67.5%になっています。中古住宅の場合は借入金額が少ないぶん、無理なく返済できる要素が高いといえそうです。

国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査報告書|P42」より転載

ローンの負担はどのようになっているのでしょうか? 住宅ローンは非常に高額の借り入れになるため、返済期間は長期になるのが一般的です。住宅金融支援機構が2018年度に新規契約した約定貸出期間は平均で26.7年。この期間は2015年度の調査以来、年々微増しています。(※1)

マイホームを新築した場合は年間に120~140万円近くを長期的に支払い続けていくため、退職後の収入も考慮しながら借入しなければなりません。無理な返済金額を設定すると途中で滞納してしまう恐れがあります。なお、住宅ローンの年間返済金額は「分譲マンション」の取得世帯がもっとも高く139.1万円です。世帯年収に占める返済負担率は、「分譲戸建住宅」がもっとも高く(18.6%)、「リフォーム住宅」がもっとも低く(10.4%)なっています。

国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査報告書|P45.」より転載

勤務先の「住宅手当」や「社宅制度」が充実している場合、在職中はそれらをフルに利用するのも一案です。
厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」によると、住宅手当の平均額(令和2年)は1万7,800円であり、大企業になるほど高い傾向がみられています。(※2)。
住宅手当が出る場合はこの制度を利用し、民間の賃貸住宅や社宅に住んだりしながらお金を貯めて、定年後に現金でマイホームを購入するのも良い方法です。退職後なら転勤の不安に脅かされずに「終の住まい」として暮らせます。利息もかからないので購入資金の合計金額を抑えられるのもメリットです。

30~40代でマイホームを購入するメリット

マイホーム取得の相場や住宅ローンの現状を知ったところで、30~40代の働き盛りでマイホームを購入するメリットをみていきましょう。

自分の資産になる

マイホームを購入する大きなメリットは、ずっと住み続けられることです。自分の資産になるので、死ぬまでずっと暮らせます。一方、社宅の場合は勤務先の退職と同時に利用できなくなるので民間の賃貸物件に入居する必要があります。賃貸は住み続ける限り家賃を払わなくてはならず、退職後の暮らしの大きな負担になります。高齢になると物件や家賃保証会社などの審査が通りにくくなる傾向もあるので、気に入った物件に入居できないこともあるでしょう。その点、マイホームなら子どもに財産として残せますし、いざというときには担保に入れて借り入れすることも可能です。

返済計画を立てやすい

30~40代はキャリアアップして年収が右肩上がりになる世代なので、返済計画が立てやすくなります。厚生労働省のデータによると、「30~39歳」は614.8万円、「40~49歳」は694.8万円と収入が安定してくるのが分かります。

厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況|P10. 3 世帯主の年齢階級別の所得の状況」より転載

年収が高くなると住宅ローンの審査が通りやすくなるばかりでなく、返済金額も無理のない範囲で設定できるようになります。ただし、40代後半で高価格の物件を購入してしまうと、返済状況はやや厳しくなるので注意が必要です。住宅ローンの審査も厳しく、退職までの期間が短いため返済の負担も重くなります。
40代後半でマイホームの取得を考えている場合は、頭金をある程度用意してローン総額を抑えるようにしましょう。

間取りや内外装などを自分好みに選べる

注文住宅の場合、自分のライフスタイルや好きなテイストに合わせて自由に家づくりを楽しめます。分譲住宅の場合は自分の好みに合った物件を選ぶことができます。老後を見据えて最初からバリアフリー仕様のマイホームを入手したり、入居に合わせてリフォームしたりと、自分の資産だからこそ自分の視点で家をデザインすることが可能です。

マイホームを購入したあと転勤になったらどうする

一般的に、30~40代は働き盛りの年齢であり、転勤になることも多い世代です。マイホームを購入したとたんに遠方へ転勤になる、ということは実際起こりうるものです。ここでは、マイホームを購入後に転勤になった場合の対策についてご紹介します。

本人が単身赴任で家族が家に残る

第1のパターンは「本人が単身赴任で家族が家に残る」というものです。子どもの転校を避けるために、ローン契約者が単身赴任するのは珍しくありません。なお、ローン契約者が転勤になった場合、融資種別や転居する人によって手続きが必要なため、取扱いの金融機関に届け出を行います。
家族が居住していれば住宅ローン控除もそのまま受けることが可能です。ただ、転勤先が国外のケースでは取得時期によって取り扱いが異なります。下記にわかりやすくまとめました。

▼単身赴任の住宅借入金等特別控除の取り扱い

平成28年3月31日以前に住宅の取得

平成28年4月1日以後に住宅の取得

・基本的には適用されない

・帰国して家族と年末まで住んだ場合は、残った控除期間のみ受けられる

・家族が年末までそのまま住んでいれば適用される

・住んでいる期間中に、給与所得などの総合課税の対象となる国内源泉所得がある年分に限られる

国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」を基に筆者作成

一時的に賃貸に出す

第2のパターンとして、転勤の期間がほぼ決まっている場合は一時的に賃貸に出す方法が考えられます。その際は戻ってきたらすぐ住めるように、「定期建物賃貸借」で借主と契約を締結することが必要です。定期賃貸借契約なら賃貸借契約期間が決められるため、契約期間が終了すれば借主は更新できません。そのぶん家賃はやや低めに設定するケースが多くみられます。ただし、住宅ローンが残っている場合にはローンを組んだ金融機関に相談する必要があります。基本的に住宅ローンは「賃貸用にする住宅購入」には利用できないからです。
住宅ローンの契約後に転勤が決まった場合の対応は金融機関によって異なります。相談なく貸し出すと、住宅ローンの残債を一括請求される場合もあるので気をつけましょう。
住んでいなくても住宅ローンは返済しなければなりません。しかし、家賃収入を得られれば返済に充てられます。転勤が多くありそうな人は、貸し出しやすい利便性の良い物件を選ぶのも一案です。

売却をする

第3のパターンは売却です。転勤先での暮らしが気に入り、そのまま定住する人も実際に存在します。こうした場合には、売却する人も少なくありません。
売却が念頭なら立地条件が良いなど、資産価値の高い物件を購入したほうが高値で売却できる可能性があります。住宅ローンの残債が多い場合は、売却後に多額のローンが残らないか注意しましょう。

まとめ

今回は転勤族がマイホームを購入する時期や、購入した後に転勤になった場合の対策について解説をしました。
会社の業種、ご自身の職種によっては、転勤の辞令は切り離せないものです。よほどの事情がない限り、会社の決定にしたがわざるをえません。ただ、転勤があるからといっていつまでも賃貸や社宅に住んでいると、マイホームを購入するタイミングを逃してしまうことも考えられます。マイホームを購入する予定のある方、いずれは購入したいと思う方は、自分のライフイベントや収入に合わせて検討するようにしましょう。

※1 住宅金融支援機構「2019年度 民間住宅ローンの貸出動向調査」P11

※2 厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」P3