心理的瑕疵物件の告知義務はわずか3年 事故物件の範囲や調べ方は?

暮らし・住まい

この記事をシェアしよう

心理的瑕疵物件は価格が安くなることが多いため、気にならない方にとってはリーズナブルに住めるお得な物件であるといえます。とはいえ、気になる物件が心理的瑕疵物件である場合は、どんな内容であるのかをきちんと知り、納得したうえで住むことが求められます。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

不動産物件を探しているときに「心理的瑕疵あり」という記載を、概要覧で見たことはありませんか。価格や賃料が相場よりかなり安いため、気にならない方にとってはコスパが良い物件ともいえます。ただ、居住用不動産の場合、重大な事件が発生した場合はやはり避けたい、というのが人間の心理でしょう。

この記事では、心理的瑕疵(かし)物件の概要や告知義務、調べ方などについて解説をします。

心理的瑕疵物件とは

「心理的瑕疵物件」とはいわゆる「事故物件」のことです。物件自体の性能・機能としては問題ないのですが、心理的に嫌悪感を持ってしまうおそれが高いという特徴があります。具体的には、過去に自殺や他殺、遺体発見までに長期間かかった孤独死、事故死などがあった物件が範囲に含まれます。しかし、心理的瑕疵が問題となる事由は年々幅広くなり、近年では嫌悪施設に関わるものも含まれています。嫌悪を感じる施設は人によりさまざまですが、たとえば近隣に火葬場、墓場、ゴミ屋敷、ゴミ焼却場、反社会的勢力の事務所が存在している場合に該当します。(※1)直接的な被害はないものの、嫌悪や不安な感情が生じやすいといえます。

国土交通省「心理的瑕疵に係る現状と課題について|P1 心理的瑕疵とは」より転載

賃借貸や売買など商取引のシーンでも「心理的瑕疵物件」であると、物件の価格に影響を及ぼします。具体的には下記のとおりです。

賃貸借における価格への影響

売買における価格への影響

・殺人事件:30~50%

・自殺:30%程度減額

・孤独死:原則として減額も借主への説明も行わない(発見までに日数を要した場合は10%程度減額)

・殺人など深刻な事件:50%程度減額

・自殺:30%程度減額(発見までに日数を要した場合は50%程度の減額)

・自然死:発見されるまでに日数を要した場合、10%程度減額

国土交通省「不動産取引における心理的瑕疵について|P7-8」を参考に筆者作成

老衰や病死などが原因で亡くなった場合は「自然死」に当たるため、基本的に減額や消費者への説明は必要とされません。しかし、発見までに日数がかかり、特殊清掃が必要なレベルの場合には10%程度減額されるのが一般的です。他殺や自殺などの場合は30~50%減額されるなど、かなり影響を及ぼします。
クリーニングやリフォームは通常行われていますので、心理的瑕疵物件であっても気にならない場合は、かなりお得に購入や賃貸ができます。駅近なのに格安な物件も少なくありません。

心理的瑕疵の告知義務は3年間

令和3年10月、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。(※2) ここでは具体的な3つのポイントを紹介します。

1.告知義務は3年まで

心理的瑕疵物件(いわゆる事故物件)の告知義務は3年間です。原則として3年間を経過した後は、借主に対して告げなくてもよいとされています。ただし、世間を騒がせるような事件にかかわっている場合はこの限りではありません。居住用の住まいは生活する場所として使われるため、買主や借主は快適で住み心地の良い暮らしを期待して購入または賃借するのが一般的だからです。しかし、あまりにも凄惨な事件性を持った物件の場合、人によっては心理的に抵抗があることも考えられます。このように人の死に関する事案は、その内容によって取引の判断に大きな影響を及ぼすものといえるでしょう。(※3)

2.契約の判断に重要な影響を及ぼす場合は告知義務がある

先述のとおり、不動産の購入や賃借の契約を判断する際に重要な影響を及ぼす場合、宅建業者は買主や借主に対して告知する義務があります。
心理的瑕疵は時間の経過とともに希釈され、やがて消滅するとの裁判例もありますが、事実が取引相手の判断に重要な影響を及ぼす可能性が高い場合は、これを告げなければなりません。

3.日常生活における不慮の死は対象外

死は必ず訪れるものです。したがって、自然死または日常生活のなかでの不慮の死(老衰や病死、入浴中の溺死や転倒事故など)は告知義務の対象外とされています。ただし、長期間にわたって人知れず放置されて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、買主・借主が契約を判断する際に重要な影響を及ぼすと考えられるため、取引相手に告げなくてはなりません。(※4)

心理的瑕疵物件かどうかを調べる方法

宅建業者が提出する「物件状況等報告書」には物件に関する過去の情報が記載されています。しかし、この報告書は売主からの聞き取りを元に作成されたものなので、事実が隠されている場合も考えられます。
ここでは、心理的瑕疵物件であるかを調べるための方法をご紹介しましょう。

1.物件概要の備考欄を確認する

心理的瑕疵物件である場合には、不動産会社や不動産情報サイトで見る物件概要に「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」等の記載がされています。不動産情報サイトでは「心理的瑕疵あり」で検索するとヒットしますが、詳細は記載されていない場合もあります。内容によっては気にならない場合もあるかもしれません。物件に興味がある場合は、仲介会社に問い合わせをしてみましょう。その場で調べてもらえることもあります。

2.民間の事故物件サイトを利用する

近年では、民間の事故物件サイトでも情報をリサーチできます。ただ、公的機関が作成したものではないので、あくまでも参考データとして過去の事件や不動産情報サイトなどと照らし合わせながら確認するのがおすすめです。

3.売主や貸主に聞き取りをする

原則、仲介するだけの宅建業者は、売主・貸主・管理業者でない場合、自ら周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットで調査したりといった自発的な調査を行う義務はなく、売主や貸主が正確な情報を告げなかった場合は、知らないこともあり得ます。そのため正確な情報を知りたい場合は、売主や貸主本人に聞いて正確な情報を得るのをおすすめします。ただ、売主や貸主もオーナーや管理会社が変更になると、過去に何があったのかを把握できないケースもあるようです。

まとめ

今回はいわゆる「事故物件」である心理的瑕疵物件について詳しく解説をしました。
心理的瑕疵物件は価格が安くなることが多いため、気にならない方にとってはリーズナブルに住めるお得な物件であるといえます。物件の機能性には問題がないため、生活に不便をきたすことはありません。とはいえ、気になる物件が心理的瑕疵物件である場合は、どんな内容であるのかをきちんと知り、納得したうえで住むことが求められます。