後悔しない地方移住のために 自治体の支援金や仕事の見つけ方を詳しく解説

暮らし・住まい

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地方で暮らすことは、豊かな自然を満喫しながら地域社会とつながりを持ち、多様なライフスタイルを実現できる可能性を秘めています。しかし、家族の暮らしや人生にもかかわる大きな決断です。家族全員が納得したうえで移住が実現できるよう、まずはしっかり話し合うことが大切です。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

「自然豊かな場所で暮らしたい」「海のそばで暮らしたい」など、さまざまな理由で地方に移住する人が増えています。その憧れ自体は素敵なことですが、移住はそれだけで上手くはいかないところもあり、多くの準備も必要です。
この記事では、地方移住を成功させるためのヒントを一緒にみていきましょう。

地方移住の最前線

地方で暮らすことは、豊かな自然を満喫しながら地域社会とつながりを持ち、多様なライフスタイルを実現できる可能性を秘めています。転職や転業、結婚や離婚など新しい人生のスタートを切ることをきっかけに、ワークライフバランスの充実を目指し、地方へ移住する人は少なくありません。

新型コロナウイルスをきっかけに自宅などで仕事をする「テレワーク」という働き方が増え、仮に感染が収束しても、この働き方はそのまま定着するという見方がされています。このように働き方の多様性が増したことによって、地方移住が注目されています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、コロナ前と後で居住地を選択する判断理由に大きな差はないものの、一つひとつの項目をつぶさにみていくと、「通勤のしやすさ」を挙げた回答者はコロナ後に大きく減少している一方、「医療・福祉機関の充実」「周囲の自然環境」を挙げる回答者は増えていることが分かります。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「移住の決め手はコロナ前後で変化したか? 自然環境は移住の決め手になりうるか?(2021年8月4日)」の情報を基に作図

地方移住で気を付けたい3つのポイント

理想の田舎暮らしを実現させるためには、移住する前に準備しておくことや確認しておきたいことがあります。ここでは、地方に移住する際に気を付けたい3つのポイントを紹介します。

1.生活が維持できる収入があること

移住後の生活を支えるためには収入が必要です。「地方で暮らすのは都会より生活費がかからない」と思われがちですが、地域によっては都市圏とそれほど変わらないところもあります。
総務省「家計調査(2020年)」によると、1カ月の生活費の全国平均は約27.8万円(年間支出金額335.5万円、世帯人数2.95人、世帯主の平均年齢59.7歳)なので、目安としてはこの程度の収入を目指したいところです。

政府統計の総合窓口|家計調査(2020年)/ 家計収支編 二人以上の世帯 年報

地方では物価や家賃などの住宅費は安いのですが、車がないと生活できない場合も多く、車両費は削れません。筆者が暮らしている北関東の片田舎では、成人した家族ひとりにつき車1台が必須で、近所でも多くが車を3~4台所有しています。都会のように公共交通機関が発達していないので、病院や買い物、通勤など日常生活を送るうえでまさに「足がわり」として必要なのです。
毎年、自動車税と自動車保険がかかり、車検代は2年に1度、通勤などで毎日乗る場合はガソリン代も結構かかります。都会ではそれほど必要でなかった経費が発生することも念頭に置きましょう。

2.日常生活に必要なサービスや生活関連施設があること

地方で不便なく生活していくためには、買い物や娯楽など日常生活に必要なサービスや生活関連施設のあることが望まれます。上述の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査でも、「医療・福祉機関の充実」は、居住地を選択する際の判断理由のひとつになっています。
スーパーや病院、学校など生活に関連する施設があまりに遠いと、実際に住むときに苦労します。年齢に関係なく、いざという時にすぐに診察してもらえる病院があることも必須です。地方に移住する際は、立地の利便性も考えて場所を選ぶとよいでしょう。

3.パートナーや家族の合意がある

パートナーや家族にその気がなければ、田舎暮らしは実現できません。夫は田舎暮らしを満喫したいが、妻はまったく興味がないというケースでは上手くいく可能性は低いでしょう。
妻や子どもたちの反対を押し切って夫だけ移住をするケースもありますが、最悪の場合、家族の断絶や離婚につながることも考えられます。慣れない土地で暮らすわけですから、家族間できちんと話し合わないと、移住後に「こんなはずではなかった」と誰かが不満を漏らすかもしれません。家族みんなでじっくり相談しましょう。

地方移住で失敗しないために

憧れの田舎暮らしを成功させるには、事前に準備やリサーチが必要です。ここでは、地方移住を失敗しないためにしておきたいことについて解説します。

移住の「お試し」をしてみる

縁故関係がまったくない初めての土地に移住する場合は、「お試し移住」を体験しておきましょう。近年は実際に現地の生活が体験をする「田舎暮らし体験ツアー」や「長期滞在体験」など、さまざまな企画が用意されています。1泊2日から手軽にその地域の特色を知ることができます。

ライフスタイルに合った住居を探す

移住する地域が決まったら住居探しを始めます。移住先で実現したいライフスタイルにより一軒家か集合住宅か、賃貸か購入かなど住まいの種類が違ってきます。したがって、「どのような暮らしがしたいのか」を重点的に考えて物件を探すようにしましょう。
なお、過疎化が進んでいる地域では民間の不動産業者が存在しない場合もあるので事前に調べておくことが必要です。家の購入を考えている方は、自治体が運営している「空き家バンク」を活用してみるのもよいでしょう。ただ、予想以上に建物が傷んでいる場合があるので、情報だけを見て決めるのではなく、水まわりを中心に必ず自分の目で確認することが必要です。

移住後の仕事を確保しておく

まだまだ働き盛りの方は、移住後の仕事の確保も大事です。地方の求人情報を集める場合には、ハローワークのインターネットサービスを利用しましょう。手軽に就職活動ができます。
首都圏では「UIターン就職フェア」といった、地方自治体が主催する各種就職支援イベントが定期的に開催されているので、それらを利用するのもおすすめです。農業の経験がない人が就農を希望する場合には、国や自治体が主催する短期間の農業体験に参加するのもよいでしょう。自分の適性を把握しやすくなります。

地方移住で使える補助金

政府や自治体では地方移住を推進しています。ここでは、地方移住で使える補助金を紹介します。

移住支援金が活用できる

地方創生移住支援事業では、東京23区に在住または通勤する人が東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給しています。「東京圏」とは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県が該当し、移住先には東京圏内の条件不利地域(東京都では奥多摩町や大島町など)も含みます。補助金は100万円以内(単身の場合は60万円以内)です。(※)
詳細は、下記よりご確認ください。

令和3年度「地方創生移住支援事業」実施都道府県・連携市町村一覧

移住支援金の対象

移住支援金は移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している人が受け取れます。
移住先にも要件があり、東京圏以外の道府県または東京圏の条件不利地域への移住者、移住先で「地域の中小企業に就業」「テレワークによる移住前の業務の継続」「地域での起業」などのいずれかに当てはまる必要があります。移住してから移住先の市町村へ申請することで、移住支援金を受け取ることができます。

まとめ

今回は、地方へ移住する際に知っておきたいポイントや補助金制度について解説しました。田舎暮らしを実現するには入念な準備とリサーチが必要です。旅行で訪れる場合と実際に住んでみるのとでは状況はまったく違うと思ってよいでしょう。
ご自身のみならず、家族の暮らしや人生にもかかわる大きな決断です。家族全員が納得したうえで移住が実現できるよう、まずはしっかり話し合うことが大切です。

※内閣官房・内閣府「移住支援金