安心できる家づくり

もしも災害が起こったら? リスク回避のための「ハザードマップ」活用術

暮らし・住まい

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安心して長く住み続けられる家を建てるには、土地を購入する前にハザードマップで災害リスクを確認しておくことが大切です。

この記事の監修

大西 勝士

フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

これからマイホームを購入する場合、その土地が安心して家を建てられる場所なのか気になるのではないでしょうか。近年は自然災害が増えており、災害リスク対策の重要性は高まっています。

土地の災害リスクを把握するなら、「ハザードマップ」を活用するのが有効な手段です。ハザードマップを使えば、地震や水害などのリスクの高さが一目で確認できます。

今回は、災害リスクを回避するためのハザードマップ活用術を紹介します。

ハザードマップとは

ハザードマップとは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路の位置などを表示した地図のことです。自治体によっては「防災マップ」と表記されていることもあります。

近年は地球温暖化の影響もあって、地震や台風・豪雨といった自然災害が頻発しています。土砂災害や浸水、強風による建物の損壊などの被害が出ており、死者や重軽傷者も発生しています。
下記に大きなニュースになったものだけを挙げてみました。印象に残っている人も多いのではないでしょうか。

発生年

災害名称

被害状況

2018年

北海道胆振東部地震

最大震度7(M6.7)の地震が発生

死者42名、重軽傷者762名、家屋の全半壊等14,632棟

2019年

台風第15号

関東地方を中心に観測史上1位の最大風速・最大瞬間風速を観測

7都県で最大約934,900戸の停電

8都県において全半壊等約76,700戸

2019年

台風第19号

長野県、茨城県など広範囲で河川の氾濫、がけ崩れ等が発生

死者90名、行方不明者9名、全半壊等4,008棟、浸水70,341棟

国土交通省「近年の自然災害の発生状況」を参考に筆者作成

自然災害のリスクは地形や地盤、周辺環境によって異なり、リスクが高い地域もあれば、比較的リスクが低い地域もあります。災害リスクを回避・軽減するうえで、ハザードマップの重要性は高いといえるでしょう。

ハザードマップでわかること

ハザードマップでは、以下の災害リスクや防災情報がわかります。

  • 洪水
  • 土砂災害
  • 高潮
  • 津波
  • 内水(浸水)
  • ため池
  • 火山
  • 地震防災・危険度(揺れやすさ、液状化、建物被害)
  • 火災
  • 道路防災情報
  • 土地の特徴・成り立ち

具体例として、新宿区の洪水ハザードマップを見てみましょう。

新宿区「新宿区洪水ハザードマップ」からのキャプション

浸水した場合に想定される水深がランク区分されており、リスクが高い地域が一目でわかるように色分けされています。土砂災害や津波、地震などの災害についても、同じような表記になっています。

ハザードマップの入手方法

ハザードマップの内容は、国や地方自治体によって異なり、入手するには以下2つの方法があります。

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を利用する

国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」の2種類を確認できます。

「重ねるハザードマップ」は、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図に重ねて表示できるのが特徴です。地域を指定して、複数の災害リスクを一度に確認できます。たとえば、千葉駅周辺の災害リスクを知りたい場合、地図を表示して画面左上にある災害種別を選択すれば、該当するリスクが高い地域の色が変わる仕組みです。特定の場所をクリックすれば、洪水や高潮で想定される浸水深も表示されます。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」からのキャプション(「千葉市」を表示のうえ、「災害種別:洪水、土砂災害、高潮」を選択して作成)

一方、「わがまちハザードマップ」は、都道府県や市区町村を選択すると、地方自治体が作成したハザードマップのリンクが表示されます。内水やため池、火山、地震など、重ねるハザードマップでは表示されない災害リスクも確認できます。

国土交通省「わがまちハザードマップポータルサイト」からのキャプション(「千葉県印西市」を表示)

広範囲の災害リスクをざっくりと把握したい場合は「重ねるハザードマップ」、特定の市区町村の災害リスクを詳しく知りたい場合は「わがまちハザードマップ」を使うといいでしょう。

地方自治体のウェブサイトや窓口で入手する

地方自治体のウェブサイトに直接アクセスして、ハザードマップが公開されているかを調べる方法もあります。
地方自治体のハザードマップは災害リスクが高い地域はもちろん、災害への備え方や避難場所、避難の仕方・心得などもまとめて掲載されています。印刷して手元に保管しておくと、いざというときに安心です。印刷するのが難しい場合は、地方自治体の窓口で受け取ることも可能です。

安心して家を建てるためのハザードマップ活用法

家を建てるための土地をこれから購入する場合は、ハザードマップでその土地の災害リスクを確認しましょう。
まず確認しておきたいのは地震と洪水、土砂災害のリスクです。リスクの大小はありますが、地震や台風・豪雨はどの場所でも被害を受けるおそれがあるからです。「地盤が弱い」「河川が近い」といった地域は、災害リスクが高い傾向にあるので要注意です。また、津波やため池、火山など、その土地特有のリスクについてもチェックしておきましょう。災害リスクが高い場合は、その土地の購入を見送るのも選択肢といえます。

これから土地を探す場合は、まず価格や利便性、周辺環境などから複数の土地をピックアップします。ハザードマップで災害リスクを比較したうえで、どの土地にするか最終判断をするといいでしょう。

災害リスクの高い場所に家を建ててしまったときの対処法

災害リスクの高い場所に家を建ててしまっている場合は、何らかの対策が必要です。これまでは何も被害が発生していなくても、災害リスクが高いことに変わりはないため安心できません。具体的には、以下のような対処法が考えられます。

避難場所と避難経路を確認しておく

災害の兆候を感じたら、早めに避難して身の安全を確保することが大切です。ハザードマップで、自然災害が発生したときの避難場所や避難経路を確認しておきましょう。いざとなったらすぐに避難できるように、衣服や食料などの準備も必要です。

保険で経済的な負担に備える

火災保険や地震保険に加入すれば、災害で家が損壊した場合に保険金を受け取れます。すでに保険に加入していても、その内容によっては補償されない場合もあるので注意が必要です。たとえば、地震による津波や土砂災害で損害が発生した場合、火災保険のみでは補償対象外となってしまいます(※)。災害が発生してからでは遅いので、早めに保険の補償内容を見直しておきましょう。

住み替えを検討する

新居の購入資金を準備できるのであれば、住み替えも選択肢です。災害リスクが低い場所へ住み替えることで、被災するリスクを下げられます。
ただし、現在の家が希望条件通りに売却できるとは限りません。また、ハザードマップ上では災害リスクが低い場所でも、被災する可能性がゼロになるわけではないことを理解しておきましょう。

まとめ

安心して長く住み続けられる家を建てるには、土地を購入する前にハザードマップで災害リスクを確認しておくことが大切です。家を建ててから後悔することがないように、ハザードマップの見方や活用法を知っておきましょう。

※ 一般社団法人 日本損害保険協会「地震保険