家庭菜園を始めたい! 土づくりは? ベランダでもできる? 詳しく解説します

暮らし・住まい

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自家栽培野菜の本当の魅力は、食に対する意識の変化にあると考えます。まずは、土地や手入れをする人に合わせた菜園を作ることが、家庭菜園を楽しむための第一歩となるでしょう。

この記事の監修

工藤アラタ

専門学校を卒業後、建築士として住宅やビル、工場、各種施設などの設計業務に携わる。
現在は飲食業の傍ら、フリーで建築図面作成やライター業を兼務。
建築以外に、旅行やアウトドアなどの趣味を通しての記事なども執筆。

庭のメンテナンスやリフォームにあたって、家庭菜園をつくってみませんか。
草取りや枯れ葉の掃除に追われるのではなく、自宅の庭で野菜を育て食べる楽しみが増えると、庭の手入れも楽しくなるかもしれません。

家庭菜園は、一般的に広い庭の一部を耕して地面に畑を作るイメージが強いのですが、「プランター菜園」も家庭菜園のひとつです。プランター菜園では、土が露出している箇所がない家庭や、庭のないマンション、また賃貸物件でも楽しむことができます。
とはいえ、地面を耕して栽培する場合とプランターで栽培をする場合では、必要な条件や適している野菜が異なってきます。まずは、土地や手入れをする人に合わせた菜園を作ることが、家庭菜園を楽しむための第一歩となるでしょう。

総務省統計局によると、65歳以上の男女の娯楽のなかで「ガーデニング」がもっとも人気が高いことが分かっています。
ガーデニングは、その他の人気の娯楽と比べても、運動量や屋外での作業が圧倒的に多く、高齢者の健康維持にも大きな期待が得られるものですが、腰やひざを曲げて行う作業も多いため、体力や筋力に見合った適正な作業量に留めることも大切でしょう。

政府統計の総合窓口「平成28年社会生活基本調査 調査票Aに基づく結果 生活行動に関する結果」から「表番号4 男女,年齢,趣味・娯楽の種類別行動者率,平均行動日数」の情報を基に作図

今回は、初心者や高齢者でも始めやすい家庭菜園のつくりかたや、注意点をご紹介します。

畑をつくる方法

畑づくりは、まずどのような形で行うかを決める必要があります。大きくは「プランター菜園」と、庭を耕して畑をつくる「地植え」の2つがあります。

鉢植え(プランター菜園)

プランターは、地面に直接手を加えないため、マンションや借地でも菜園をつくれる点が最大のメリットです。また、2階のベランダや芝生の上、デッキテラスなど、土がない場ところでも大丈夫です。菜園をつくる工程も比較的カンタンで、初心者でも始めやすい家庭菜園です。

地植え

地面を耕す家庭菜園は、所有している庭があることが条件です。力仕事の多い作業が必要になりますが、そのぶん栽培できる野菜の種類は多いでしょう。
広い範囲を耕す必要はなく、まずは1畳分からでもスタートできます。スペースに余裕がある限りは、徐々に範囲を広げていくことができるので、まずは小規模からスタートしてみましょう。

家庭菜園をつくる場所

家庭菜園は住まいの空いているスペースで始めることになりますが、それでもいくつかの条件があります。

水はけの良い場所

家庭菜園で重視したいのは、日当たりよりも「水はけ」です。日当たりが悪い場所なら「野菜がうまく育たなかった」だけで済みますが、水はけ問題は最悪の場合、住宅に汚れやダメージを及ぼしかねません。特にベランダなど地面に遠い場所に菜園をつくる場合は、水やりしたときにプランターからあふれた水がどこへ流れていくのかをしっかりと確認し、ちゃんと排水されているか、ゴミが詰まらないか、土のシミが建物に付かないかなどを確認しましょう。

日当たりが良い場所

次に大切なのは、やはり「日当たり」です。加えて、風どおりの良さも確認しましょう。
特に地面を耕す場合は、プランターのように後で移動させることが難しいため、最初の設計が重要です。南側に配置することが理想ですが、建物の位置や隣家との距離などによっても日当たりは違ってきます。どの季節もなるべくたくさんの時間、日に当たる場所を目と感覚で確認しましょう。

水栓に近い場所

水やりは、ほぼ毎日行う手入れです。手入れにかかる苦労は、家庭菜園を維持できるかどうかにも大きく影響します。負担を軽減するためにも、近くに水栓がない場合はリフォームで水場を確保することを検討するとよいでしょう。スプリンクラーなどの自動散水装置の設置もおすすめです。

隣家や道路に近すぎない場所

畑では、使う肥料によってはニオイが強いものがあります。また虫の発生や鳥などの動物による被害も付きものです。風向きや隣家の敷地との距離によっては、隣家に影響を及ぼすことがあるかもしれません。なるべく隣の敷地から離れた位置に菜園を設置するようにしましょう。
また、歩道や車道に面していて、柵や目隠しがない場合では、ゴミ投棄の被害も多いものです。道路に面していない場所を選びたいところですが、難しい場合は柵や塀などを設置するようにしましょう。

プランター菜園用ベースのつくりかた

プランターであっても、手入れの際に水や土が散ってしまったり、鉢の底から排水される水が流れたりするため、床の土汚れは必ず発生するものと考えなくてはいけません。ベランダやコンクリートなど、舗装済みの地面の上にプランター菜園を置く場合は、掃除がしやすいことや、枯れた葉などの大きなゴミがベランダの排水溝に流れて詰まらないようにすることが大切です。床に人工芝やウッドタイルなどを敷くと、大きなゴミが流れにくく、拾いやすくなります。また、地面に流れた土や土汚れが見えないように隠す効果も期待できます。ただし、土や砂は敷物の下に落ちてしまうので、定期的に敷物をはずして掃除をする必要があるでしょう。なお、水がなるべく床に流れないように、鉢受けを設置すると土汚れを減少させることができます。
ちなみにプランター菜園は土の深さが比較的浅いため、上に生える植物がおすすめです。葉物やハーブ、トマトやナスなどの生りもの野菜に適しているでしょう。
プランターは強風に弱く、鉢ごと倒れてしまったり、ベランダから落下してしまったりすることがあります。特に2階以上のベランダなどに置く場合は、転倒防止ストッパーの利用や紐による固定といった安全対策を行いましょう。

地植え用ベースのつくりかた

畑を耕すのであれば、せっかくだからたくさんの種類を植えられる畑を作りたいものです。たとえば、大根やジャガイモなどの根菜野菜は、地植えだからこそ育てられる作物です。ちなみにこれらを育てるには、地中40cmの深さが理想です。しかし、人力だけで40cmの深さを掘るのはかなり難しいため、「地面を掘る+盛土」の構造をおすすめします。
盛土を行うことで、地面との高低差を出せるため、雨天時の浸水などの被害を防止できます。

畑のつくり方ですが、まずは位置を決め、地面を耕しましょう。全体で40cm程の深さになれば良いので、地面を20cm掘ったら20cmの盛土をします。盛土をする場合は、畑をブロックなどで囲うことが必須です。

なお、花壇や家庭菜園等を含む庭の手入れの専門事業者などでは、何もないところから土壌作りまでを施工してくれるところもあります。力仕事に不安がある場合は、そうした事業者に相談・見積もりを依頼してみましょう。

菜園づくりの注意点

マンションや借家の場合は、菜園をつくる前に賃貸契約やマンション規約を必ず確認しましょう。特にマンションの場合は、景観保護や安全上の理由でベランダの利用が制限されていることがあります。
ベランダは共有部分であり、火事や災害時の避難経路とされています。通常使用外の利用は推奨されていません。隣室のベランダとの境界壁も避難経路の一部であるため、人が通れるスペースが確保できるようにプランターを配置しましょう。

庭付きの戸建てであっても、借家の場合は庭を耕すことは要注意です。契約終了後に現状回復が求められる場合、元通りにすることは手間が非常にかかることや、畑に使用したブロックや土などの廃棄物処分費が発生します。地植えの家庭菜園をつくりたいと考えている場合は、菜園じまいまでを見据えることが大切です。

まとめ

家庭菜園を持つと、野菜を買う量や頻度を減らすことができ、また野菜の安全性なども明確であるため、家計や食の安全性の助けになります。しかし、自家栽培の野菜は、菜園をつくるためのコストに加え、肥料や種、苗の購入費用などのランニングコストが発生するうえ、さらには多くの手間や苦労がかかるものです。害虫対策として薬剤散布を行わなくてはならないことも多々あり、無農薬や有機栽培をするにはそれなりの知識と経験がなくては成功しません。現実的にはスーパーで野菜を買うほうが安上がりということも多いでしょう。

しかし、自家栽培野菜の本当の魅力は、つくりかたによって変化する野菜の味を楽しめること、野菜の旬や種類を知ること、そして野菜を育てることの苦労を経験すること。つまりは、食に対する意識の変化にあると考えます。趣味として栽培を楽しむだけでなく、日々口にする食べ物に関しての知識を増やすことができ、また収穫した野菜をどう調理しようかと思い巡らすところまで趣味の幅を広げることもできます。なにより毎日継続して楽しめる趣味を持つことは、精神健康にも大きな効果があります。

自宅で適度にからだを動かしつつコミュニケーションをとりながら楽しめるよう、親世帯・子世帯で協力して菜園をつくるのもまた、家族にとってよいひとときになることでしょう。